第七章 アルの危機
アルのランタンは、地面に転がっていた。
その周囲には、数十枚の金・銀・銅のコイン。
アルは無数の攻撃を受け、血の海の中に横たわっている。
「アル……?
アル、大丈夫なの……?」
呼びかけても、返事はない。
動かないアルを前に、コインたちがカルディに気づき、
カチャカチャと音を立てて攻撃態勢に入る。
その瞬間、カルディの中で何かが切れた。
「アルに……ひどいことしやがって」
低い声だった。
「許さない。
……手段なんて、選んでやるもんか」
砕け散った花瓶の光景が、脳裏をよぎる。
「――あの花瓶みたいに、してやる」
カルディは、瞬時に叫んでいた。
「収納!」
コインの群れが、一斉に消える。
続いて、
「放出!」
次の瞬間、コインたちは高速で壁へと叩きつけられ、
跳弾し、床と壁を跳ね回る。
「痛い!」「痛い痛い!」
コインたちの悲鳴が、回廊に響く。
「アルに……アルに……
許さない、許さない、許さないぞ――!」
カルディは反撃の隙を一切与えず、
何度も、何度も、攻撃を繰り返した。
やがて、
「ママ……助けて……」
泣き叫ぶ声とともに、コインたちは逃げ出す。
次の瞬間、左側の壁が崩れ落ちた。
現れたのは――
家一軒はありそうな、巨大な宝箱。
宝箱の口からは、ぬらりと大きな舌が伸び、
カメレオンの舌のような動きで、カルディへと襲いかかる。
「子供たちに悪さをするのは……誰だい?」
宝箱に、ぎょろりとした目が現れ、カルディを睨みつける。
コインたちは慌てて、
ママと呼んだ宝箱の口の中へと逃げ込んだ。
巨大な舌が、一直線にカルディへ迫る。
「あの花瓶みたいに――
粉砕してやる!」
「収納!」
宝箱の動きが、ぴたりと止まる。
「放出!」
次の瞬間、宝箱のモンスターは丸ごと射出され、
右へ、左へ、壁に叩きつけられた。
だが、宝箱はまだ動く。
「舌がダメなら……
踏みつけてやるよ!」
宝箱は突進してくる。
「収納!」
「放出!」
何度も、何度も。
アルのように半壊し、
ついに宝箱が動かなくなるまで、
カルディは叩きつけ続けた。
静寂が訪れる。
しばらくして、
ボロボロになったコインたちが、白旗を振りながら近寄ってきた。
その中の一枚が、
一枚の羊皮紙をカルディの前に、そっと差し出した。




