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第二十四章 英雄ケンタ
帝国から、カルディが本当に牢獄で反省しているかを見極めるため、観察官が派遣されてきた。
それは、かつてカルディを叩きのめした、あの大男だった。
男は牢屋の前に椅子を置き、どかりと腰を下ろすと、勝手に話し始める。
「俺の名はケンタ。お前は?」
「……カルディ」
「俺たちサタンの手先を全部倒せば、帰国できるんだ」
「そうなんだ」
「倒し終わった暁には英雄祭が開かれる。
英雄目当てで集まる女は、よりどりみどりだ。うらやましいだろ?」
カルディは特に反応せず、黙って聞いていた。
「元の世界に帰ったら、重量挙げの世界一になるつもりなんだ」
「重量挙げって知ってるか?」
「知ってるよ。僕、転生者だし」
「だから変な能力があるのかよ」
「いやいや、僕は女神に会ってこっちに来たわけじゃないし」
ケンタは鼻で笑い、話を続ける。
「もうすぐサタンの手下討伐も終わりそうなんだ。
帝都の東にある小国――彼の国を落とすために、今、人を集めている」
「今年中には陥落させて、帰国する予定だ」
その言葉に、カルディの胸の奥で、何かがざわりと動いた。




