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第二十三章 水で竜を救う

カルディは両手を組んで大きく伸びをした。

「さて……やるか」

高圧収納から、水を取り出す。

竜種に向けて、ほんの一瞬だけ――

高圧水を浴びせた。

「よし、成功」

竜は反応した。

井戸に突っ込んでいた頭を引き抜き、周囲をきょろきょろと見回す。

乾ききっていた体表が、わずかに潤いを取り戻していく。

竜が伸びを始めたのを確認し、カルディは声をかける。

「そのまま動くなよ」

上体が持ち上がった瞬間を狙い、高圧水を斜め下――湖の方向へ射出した。

「噴射っと!」

水流に押されるように、竜はまるで泳ぐかのように湖へ戻っていく。

巨体が湖に沈み込んだ、その直後――

「次だ」

今度は湖の中心から、上空に向けて高圧水を噴射する。

「……よし、これも成功」

水は霧となり、雨のように降り注ぐ。

湖面はみるみるうちに水位を取り戻し、干上がっていた湖が再び満ちていった。

その光景を遠巻きに見ていた、魔法使いの装いをした姉姫は、困惑した声を漏らしたらしい。

「……私たち、竜を捕まえに来たのに。どうしましょう?」

――と。

それを聞いていたのは、コインだ。

カルディは、そのまま逃げるように家へ帰った。

そして父に事情を話す。

「王族はお前の顔を知らん。まあ、大丈夫だろう」

父はそう言った。

だが、世の中はそう甘くなかった。

カルディが牢に入れられている間に、現地へ後から到着した兄のどちらかが、

目撃証言を集め――

「竜を湖に返したのは、カルディだ」

と、あっさり口にしてしまったのだ。

報告を受けた父は、深いため息をついたあと、こう言った。

「……反省してるフリをして、牢屋にでも入ってろ」

というわけで――

カルディは、今ここにいる。

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