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第二十章 初めての誇り

「こいつらが、アルたちを亡きものにした犯人だ」

コインの確認は短く、しかし確かだった。

全員、すでに事切れている。

かたきを討ったカルディは、魔獣と犯人の亡骸を収納へ収めた。

路地には、血溜まりと、何かを引きずった痕だけが残る。

「……憲兵が来る前に、戻らないと」

収納の中の宝箱のママが目の前に置かれた魔獣を見て

「これ、食べていいかい?」

と首を傾げたが、

「だめだよ、ママ」

とコインたちが即座に止めた。

――それどころじゃない。

屋敷へ戻ると、カルディはまっすぐ二番目の兄のもとへ向かった。

通された部屋には、父も同席していた。

「……お前は、まだ旅立っていないのか」

呆れたような視線。

カルディは黙って、受領書と次の発注書を机に置いた。

「期日内に、すべて届けました」

兄が目を見開く。

「……現金回収までやったのか?」

「物を届けるだけでいいと言われましたが」

その時、父が口を挟んだ。

「現金は次でいい。それより――

 誰も無事に帰れなかった王国商談を、成功させた事実が重要だ」

父はカルディを見据える。

「お前をビルに預けた判断は、正しかった。

 引き続き、王国との商談はお前に任せる」

カルディは一度、息を吸った。

「……父さんと、ビルさんに

 見てほしいものがあります」

屋敷の庭。

カルディが取り出したのは、

魔獣と犯人の亡骸だった。

「……これは」

ビルが言葉を失う。

「アル、モエ、そして三番目の兄を襲った

 犯人の亡骸です」

人が集まり始めた。

三番目の兄を治療した医師が、魔獣の爪の長さを測る。

父が問う。

「……犯人か?」

「間違いありません」

冒険者組合の者も頷いた。

「魔獣に乗る冒険者は少ない。

 身元もすぐ割れるでしょう」

沈黙の後、父が一歩前に出た。

「護衛の大人たちは、我が息子を無能と呼んでいた」

庭にいる全員に向けて、父は続ける。

「だが、誰が魔獣三匹を相手にできる?

 一匹でも、我が家の護衛は全滅すると私は思う」

そして、はっきりと言い切った。

「この偉業を成し遂げた息子カルディを、

 私は――クラウディア家の誇りだと思う」

護衛たちは、何も言わずその場を去った。

残った者たちから、自然と拍手が起こる。

カルディは、その場で立ち尽くしていた。

――報われた。

――やっと、認められた。

涙が、静かに頬を伝った。

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