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第十七章 真犯人の声明

カルディが捕らえられたことで、真犯人が用意していたはずのメッセージは、世に出ることなく闇に葬られた。

それから半年後——

王国への配達を終えた三番目の兄と、護衛二人が道中で襲われ、命を落とした。

今度は遺体のそばに、一通の手紙が残されていた。

「帝国の商人が王国の商売に関わるな。

この警告を無視した罰だ」

はっきりとした犯行声明だった。

さらに、七人の護衛に囲まれて王国へ向かった二番目の兄も襲撃を受けた。

命からがら逃げ帰ったものの、深い恐怖と傷を負っていた。

これらの事件を受け、ようやくカルディにかけられていた嫌疑は解かれた。

彼は釈放された。

ビルは深く頭を下げた。

「……疑ってしまって、すまなかった。

 アルを見捨てたのは……オレの仲間だったんだな」

「ビルさんのせいじゃありません」

そう答えたものの、言葉はどこか空虚だった。

傍らではマギーが声を押し殺して泣いている。

一方で、護衛の大人たちは違った。

「疑われるような行動をしたお前が悪い」

「身の程を知れ」

一方的な言葉が、カルディに浴びせられた。

「……これは、モエがオレに残した遺品だな」

カルディは、自分の手の甲に刻まれた収納紋を見つめた。

容量はダブルベッド一つ分ほどの空間。

「ご主人ご主人、このスペース、オイラたちが使ってもいいだろ?」

コインに言われ、高圧でもないことを確かめて、自分も中へ入ってみる。

「牢屋よりは……ずっと快適だな」

そう呟いたときだった。

「コインの枚数だけ出口があるよ。ママ、どこに出たらいいの?」

「ここだよ。そんなことも分からないのかい。まったく世話が焼けるね」

宝箱ママが、元の場所へ戻れる出口を教えてくれた。

翌日。

訓練場の入り口には、護衛の大人たちが横一列に並び、道を塞いでいた。

「どいてください」

「来る場所を間違えてますよ、お坊ちゃん」

剣先が向けられる。

ビルに相談すると、彼は膝をつき、声を震わせた。

「……分かってる。お前が犯人じゃないことも、悪くないことも。

 だが、アルの無念を思うと……ここには置いてやれない」

カルディは、それを静かに受け止めた。

そもそも剣の苦手な自分に、護衛職は向いていない。

潮時だったのだろう。

行き場を失い途方に暮れていると、二番目の兄に呼び出された。

「……モエの収納があるなら、王国への輸送を任されてくれないか」

そう言ってから、兄は視線を伏せた。

「俺は……殺されかけて、もう二度と王国へ行きたくないんだ」

それは依頼であり、告白でもあった。

カルディの人生は、ここで静かに進路を変えようとしていた。

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