第十六章 牢獄と疑惑
アルとモエの葬式が執り行われた。
だが、その場にカルディの姿はなかった。
彼は、クラウディア家の地下にある牢屋に閉じ込められていた。
「おかしい……僕の話を聞かなかったのは、アルとモエを見殺しにしたのは……オトナ達のほうじゃないか……」
声がかすれるまで、ひとしきり泣いた。
兄弟の中で最も近い存在だったモエ。
そして、兄弟同然に育ってきたアル。
二人を同時に失ったことで、カルディの心にはぽっかりと大きな穴が空いた。
怒りも、悲しみも、やがて何も感じなくなり、彼は牢屋の天井をぼんやりと見つめながら、時間だけをやり過ごしていた。
クラウディア家の地下牢。
そこに入れられたカルディは、何度も同じ問いを突きつけられた。
「なぜ、アルとモエに危機が迫っていると知っていた?」
――答えられなかった。
知っていた理由を話せば、もっと疑われる。
だが、黙っていれば、それもまた罪に見える。
久しぶりに姿を見せた父は、冷たい目をしていた。
警備のオトナ達が口にした言葉――
「アルとモエに嫉妬したカルディが、魔物をけしかけて襲わせた」
その、ありもしない話を、父は信じたらしい。
もしアルとモエが結婚していれば、警備隊長の座はアルのものになっていた。
だから――嫉妬した末に二人を殺した、そう言いたいのだろうか。
(だからって……僕が、二人を殺す理由になるのか?)
胸の奥で、何かが静かに壊れていく。
世の中が、オトナ達が、どうしようもなく嫌いだった。




