表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/61

第十三章 押し売り

店主はカルディの財布を一瞥すると、ぱっと目を輝かせた。

「――金貨二〇〇〇枚、かい?」

そう言った瞬間、返事を待つこともなく棚からスクロールを掴み取る。

「瞬歩、シールドバッシュ、身体強化!」

次々とスクロールが開かれ、光が弾けるようにカルディの身体へ叩き込まれていく。

「普通は自分でスキルをかけるもんだけどねぇ。今日は特別だよ、特別」

止める間もなく、身体が勝手に軽くなり、硬くなり、妙な力が満ちてくる。

「……これでも、まだ金が余るねぇ」

店主は別の棚へ移動し、同じスクロールを五枚まとめて引き抜いた。

「運が良くなるスクロールさ。クリティカルってのは、名人でもなかなか出せないもんだけど――」

にやりと笑う。

「このスクロールは確率を二〇%も上げてくれる。五枚使えばどうなる?」

答えを待たず、指を鳴らす。

「一〇〇%クリティカルってわけさ!」

カルディ

「ガタガタガタ……(もう、いいです……)」

歯の根が合わず、言葉にならない。身体は固まり、反論どころではなかった。それをいいことに、店主の手は止まらない。

今度は、さらに別のスクロールを五枚。

「クリティカルが出せるなら、これも必要だろ?」

「クリティカルは普通の打撃の数倍だ。それをさらに倍にできたら――?」

指を折って数える。

「ダメージ二倍を五枚。通常のクリティカルの、十倍のダメージだ。どうだい、凄いだろ?」

カルディ

「ガタガタガタガタ……(だから、もういいですって……)」

だが、その声は誰にも届かない。

「あ、そうそう」

思い出したように、店主が付け加える。

「さっきお前が触った《アキレスの呪い》って魔具ね」

「身体はフルプレートみたいに硬くなる代わりに、足首だけは通常の半分の強度になる」

にっこりと、悪意なく告げる。

「蹴り技なんか使うんじゃないよ? ――ポッキリいくからさ」

カルディ

「ガタガタガタガタガタ……

(弱点増やして金取るって、詐欺ですよね……)」

その日、カルディは“買い物”という概念に、深い恐怖を刻み込まれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ