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第26話:次元の亀裂:創造者 vs 影の存在位相

補助封印装置の起動により、ルード地下に次元の亀裂が発生し、存在の論理を否定する「影の存在位相」が顕現。レイジたちは存在論的な崩壊の危機に直面する。


レイジは、論理的な成功(封印装置)を捨て、非論理的な愛(仲間の命)を選び、防御に徹する。サキとレンは、影の無限の否定論理に対抗するため、創造の魔力を「完全な円」という単一の絶対的な肯定法則として具現化する最終連携を実行。


レイジの創造の「円」の法則は、影の存在位相を論理的に破綻させ、次元の亀裂を一時的に閉鎖させる。しかし、封印装置は機能を停止させ、七つの封印の第一歩は勝利なき撤退に終わる。

I.絶体絶命の危機:次元の崩壊と存在論的な否定の法則

1.漆黒の特異点:次元の切断と虚無の魔力の逆流

レイジが補助封印装置に「生命の持続」の法則を書き込み、起動させた極点的な瞬間、七芒星の台座の真上の空間がガラスが砕けるような高周波の音と共に、巨大な漆黒の特異点へと引き裂かれた。その亀裂は、単なる空間の裂け目ではなく、世界の三次元的な位相が異次元の虚無と論理的に切断され、直接接続された「存在の境界線」であった。


亀裂の縁は、触れた物質の構成原子を瞬間的に非存在の論理で上書きし、熱や質量、さらには光の魔力的な粒子さえも吸い込んでいた。周囲の重力場は異常なノイズを立て、時間の流れすら亀裂の周辺で遅延していることが、ゴウの肉体の感覚を通じて伝わってきた。


サキ:「レイジ!次元の亀裂の位相拡大速度が臨界点を超えています!封印装置の誘引の波動は、影の本体に『高エネルギー・高優先度目標』として認識された!影は自身の存在位相を四次元的な非線形経路を通じてルード都市に転送しようとしている!」


ゴウとレンは、崩壊し始めたゴーレムとの戦闘を続けていたが、ゴーレムの硬質な支配の魔力でさえ、亀裂から逆流する「虚無の波動」に触れると瞬時に分解し、魔力的な塵と化し始めた。ゴウは自身の肉体に防御魔力を最大に集中させ、レンを守りながら台座の影へと後退した。


ゴウ:「くそっ!この虚無の魔力は支配の論理も創造の法則も関係なく、存在を吸い尽くす!レン、解析を続行しろ!俺が物理的な時間を稼ぐ!だが、俺の防御魔力もあと15秒が限界だ!」


2.影の位相の顕現:非論理的な恐怖と観測の否定の哲学

亀裂の中央から、物理法則を超越した、漆黒の、定義不能な塊がゲル状に、しかし光よりも速く、滲み出るように現れ始めた。それは特定の形を持たず、視覚が認識しようとする瞬間に別の形へと変化し、あらゆる概念を否定する「影の存在位相(ShadowPhase)」そのものであった。それは存在の無限の否定を同時に含んでいるため、観測者の認識論的な基盤を破壊した。


レイジは、魂の奥底に存在論的な恐怖を感じた。それは力や魔力の差ではなく、彼の「存在する」という根源的な意識が無意味化されるという究極の否定であった。自己の創造の意志が影の否定の論理によって論理的に破綻させられようとしていた。


レン:「解析不能!亀裂から現れるものは、我々の次元の物理法則に完全に抵触しています!その存在位相は、無限の可能性を同時に含み、観測しようとする論理をその場で破壊します!レイジ、観測するな!創造の意志だけで対抗しろ!論理ではなく非論理で奴らの否定の法則を押し戻せ!存在の絶対的な肯定が必要です!」



II.創造者の決断:矛盾の法則の具現化と解析者の光の融合

1.創造の選択:論理的な成功の放棄と非論理的な愛の証明

レイジの創造の意志は、影の存在論的な圧力に抗い、究極の倫理的な選択を行った。彼は封印装置の起動という世界の存続のための論理的な成功を放棄し、目の前の仲間という非論理的な愛を選んだ。


レイジ:「俺の創造は、論理ではなく生命に奉仕する!誰も犠牲にしない未来を創る!封印装置は一時的に放棄する!ゴウ、レン!俺の創造の波動に乗れ!これが創造の、絶対的な肯定だ!」


レイジは、起動したばかりの封印装置から自身の法則を強制的に、しかし極めて精密に引き剥がし、そのエネルギーをゴウとレンの周囲に瞬間的に、量子的な転送を行った。


創造:生命共鳴の絶対防御(AbsoluteDefenseofVitalityNexus)


レイジは、自身の生命力を極限まで高め、「生命の持続」の法則を二人の周囲に具現化させた。この防御膜は、虚無の波動が存在を否定する直前の、数秒間の猶予にしかならないが、レイジの創造の意志を絶対的に証明していた。


2.サキとレンの最終連携:対虚無の法則の超高速並列計算

レイジが防御に魔力を集中させ、生命力を消耗させる中、サキとレンは一瞬の猶予を最大限に活用し、影の存在位相を押し戻すための論理的な解を並列処理で計算した。彼らの知性は、影の非論理的な法則を逆算していた。


サキ:「影の位相は存在を否定する無限の論理で構成されています!対抗するには、それ自身が矛盾する法則、すなわち『非論理的な存在の絶対肯定(Non-LogicalAbsoluteAffirmationofExistence)』を特異な幾何学的形式で叩き込むしかない!無限の否定に対し、単一の絶対的な肯定を創造する!」


レン:「解析完了!影の存在位相が次元の亀裂を通過する極微の瞬間に、存在を単一に、永遠に確定させる幾何学的論理が必要です!無限の可能性を同時に持つ影に対し、『単一の、完全な形』を強制的に創造し、奴らの論理構造を破綻させる!形状は、始まりも終わりもない、完全な円(AbsoluteCircle)!」


3.創造の儀式:非論理的な存在の確定と円の法則の具現化

レイジは、二人の解析者の結論を受け入れ、全魔力を亀裂に向けて集中させた。彼の肉体は過負荷で悲鳴を上げ、毛細血管が破裂し始めたが、創造の意志がそれを凌駕した。


創造:非論理的位相の確定(Non-LogicalPhaseFixation)


レイジは、虚無の影の存在位相に対し、自身の生命共鳴の魔力で「無限」を否定する「円(真円)」という最も論理的で、同時に最も創造的な単一の形を強制的に具現化させた。創造によって生み出された巨大な魔力的な円は、黄金の光を放ちながら、漆黒の亀裂の中心へ突進した。


円の法則は、「始まりも終わりもなく、どこをとっても均一な、予測可能な単一の存在」という絶対的な論理であり、無限の可能性を同時に持つ影の存在位相にとって究極の矛盾となり、論理的崩壊を誘発した。



III.勝利なき撤退:法則の強制停止と次の目標への転換

1.影の位相の崩壊と次元の反発の加速

レイジの創造の「円」の法則が亀裂に到達した瞬間、影の存在位相は論理的な崩壊をきたし、凄まじい苦悶の波動と異次元的な爆発音と共に亀裂の奥へと強制的に引き戻された。


漆黒の亀裂は、世界の法則が創造の力によって一時的に修復されたため、凄まじい反発音を上げて急激に収縮し始めた。


ゴウは、レイジの波動に乗じて、崩壊したゴーレムの残骸を魔力的な爆薬として利用し、亀裂の収縮を加速させた。彼は最後の力でレンを抱え、レイジとサキの元へ合流した。


ゴウ:「これで数時間は安全だ!レイジ、早く!封印装置は危険すぎる!奴らが次に狙う!撤退だ!」


2.封印装置の法則の消去と論理的な機能停止

レイジは、起動したばかりの深紅のクリスタルを一瞥した。クリスタルは、「生命の持続」の法則が虚無の波動によって一部侵食され、魔力的な光を失いつつあった。創造の法則が影の論理に汚染されることは、次の封印装置での失敗を意味する。


サキ:「封印装置は誘引体として機能しすぎた。このままでは影の次の餌になります。法則を消去し、一時的に機能を停止させます!レン、連携を!」


レンは、サキの解析に従い、解析装置から逆位相の波動を放ち、レイジの創造の法則の書き込みを強制的に解除した。クリスタルは再び青白い光に戻り、機能を停止した。七つの封印の第一歩は一時的な失敗に終わった。


3.絆の再確認と次の目標:西の海上都市アウロラへ

レイジたちは、崩壊する地下施設から間一髪で脱出した。ルード都市は虚無の影の侵食から一時的に免れたが、封印装置の起動は失敗に終わった。


レイジは、疲弊しきったゴウとレン、そして自身の魔力を使い果たしたサキを見た。しかし、誰も失わなかった。


レイジ:「誰も犠牲にしなかった。それが俺の創造だ。一時的な敗北だが、影の法則を押し戻す方法は分かった。次の目標は、第二の封印装置だ」


サキ:「次の封印装置は、西の海上都市『アウロラ』です。そこは支配システムの海洋防衛論理が最後に残存している場所。支配の残党と虚無の影の侵食が最も激しい場所だと予測されます。私たちは急がなければならない。時間は、常に私たちを待ってはくれない」


四人は、互いの絆と創造の意志を再確認し、闇に侵食されつつある世界を救うため、次の戦場へと歩を進める。

レイジは、サキとレンの知性を借り、創造を**「完全な円」という単一の法則で具現化することで、虚無の影の存在論的な攻撃を押し戻す**ことに成功しました。


しかし、最初の封印装置の起動は失敗に終わり、影の本体がレイジの創造を明確に認識したという新たな脅威が残りました。


次話、第27話:「海洋都市アウロラ:支配の残滓と海の創造」――レイジたちは、第二の封印装置がある西の海上都市アウロラへ。そこでは、海の魔力を支配しようとする新たな残党勢力と、虚無の影の二重の脅威が待ち受けます。

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