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わし、かわいい

 前回こちらの世界に来て初めて魔法を使ったひろは、その反動で熱をだしていた。

 異世界では初めて魔法を使ったら熱が出るのは当たり前だが、ここは現代日本、ひろは原因不明の発熱という事で学校はおやすみ。

 そして1人ポツンとベッドに寝かされるひろは、前世の事を思い出していた。


「こうやって寝込んでおると前世の最後を思い出すのう…」


 今日に限って両親は仕事、魔力熱は基本だるいだけだが、普段真面目に子供を演じているひろは心まで弱りきっていた。

 こんな時普通の子供は何をするのだろうか、寂しさMAXなひろは、改めて自分の部屋を見渡す。

 普段から鍛錬にしか興味がなかったひろの部屋には、親が買ってきたぬいぐるみや、可愛い服ぐらいしかなかった。


「趣味が…ない」


 趣味というのが交友関係に多大に貢献しているのは知っている。


(このままでは無趣味な女として社会から迫害されてしまう!)


 これはまずいと何か考えるが何も思いつかない。

 今あるのは可愛いひらひらな服とぬいぐるみぐらい…。

 しかしひろはいや待てよと考え直す。


(一般的女子なら可愛らしい服を着て楽しむものではないか?)


 床にひらひら服を並べ、唸る。

 前世は男なひろは、その一線を超えるのにどうしても戸惑ってしまう。

 それゆえ今まで両親が着せようとしてくるのをなんとか回避していたのだ。


(ここでこの服を自ら着ると大事な物を失う気がするのじゃ…じゃがファッションに関して友と語り合う事も出来るかもしれん…)


 両者を天秤にかけた結果、ひろはその服を着ることを決意する。


(これは交友関係の為、これは交友関係の為…!)


 そしていそいそと服を着替え、鏡の前にたつ。

 そこには大変可愛らしい少女の姿。


「わし、なんという美少女!」


 そんな感想を漏らし、鏡の前でポーズを決める。

 これは中々可愛いのではないか?

 感性で言えば孫みたいなものだが、まさか自分がこんなに可愛かったとはと、1人戦慄する。


 そんなひろは、部屋のドアが空いている事に気がついておらず…。


「あらあら〜」


 頬に手を当てニコニコしている母の姿に遅ばせながら気づく。

 どうやらひろが心配で仕事を早くあがってきたようだ。


「い、いや、母上!これは…これは、ちがうのじゃー!!」


 違う事など何も無いひろの悲鳴が、室内に木霊するのであった。

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