声をかけよう!
「さて、どうしたものか」
実はぼっちなんじゃないか?と疑問を抱いたひろは、現在学校の階段下でお友達大作戦の脳内会議中だった!
「はいはい!ここは元気よく挨拶しよう!」
「いえ、ここは今までの努力の結果を成績で見せつけるざます」
「古今東西友を作ると言えば殴り合いしかないだろう!」
かつては魔道を極めた者、並行思考などお手の物、様々な意見が飛び交っていく。
しかし…
「だめじゃ…前世ぼっちだったわしに良い意見など出るわけなかろう」
どれだけ頭が良く並列思考が出来ても、こと交友関係に関してはただの一般人以下、ひろはその無駄に良い頭をを抱えて唸る。
勇気を出して話しかけてみるか?
しかし、長年両親以外とまともに話さなかったひろに、誰かと話すビジョンは思いつかなかった。
「しかしなさねばならぬ!わしは今世こそは友をつくるのじゃ!」
午前中は結局誰とも話さなかったが、午後こそは…!と、ガッツポーズと共に次の体育の授業に望むひろ。
そして着替える場所はいつもここなのだが、いくら子供とはいえレディーと一緒に着替える訳にはいかないと紳士ぶり、1人いつもここで着替えている。
それがまた孤独を加速させている事にひろは気づいていなかった!
そんなこんなで始まる体育の授業。
そこではいつもの最大の試練が始まる!
「はーい!2人組作ってー」
ぼっちトラウマランキングでトップをひたはしる呪文が発せられる。
ひろは1人歯ぎしりをする。
「2人組?Why?なぜ1人ではいけないのか? 」
(そもそも前世であらゆる武術を極め、普段から筋トレをかかさないわしには必要無いのじゃ)
ひろは1人誰に言うでもなく言い訳をする。
「でも…友達欲しいし…」
いつもなら誰とも組むこともなく虚しい時間を過ごすひろだが、今日はいつもと違った。
ひろは勇気を振り絞る。
「あ、あの!一緒にやりませんか?」
そう元気よく声を上げる。
花に。
苦節100年近く、そんなすぐに人と話せるわけがなかった!
しかしここで挫けるわけにはいけない!
ひろはもう一度勇気を振り絞る。
「あ、あひょ…あひょ…」
「え、なに?」
「あ、いえ…なんでもないです」
折角話しかけたは良いが、顔を青ざめてすぐ引き下がるひろ。
「あひょ…あひょ…」
そして不気味な事を呟いてはあっちへウロウロこっちへウロウロ。
そして結局誰とも組めず1人残ったひろは落胆する。
(やはり今日もだめじゃったか…)
皆が体操をする中、1人体育座りでジメジメと呟くひろであった。