わし、みりょくてき
ふれあいパーク。
それはアニマルを持つ陽キャが一同に介する呪われた場所。
あるものはアニマルを求め無数の屍を超え。
あるものはアニマルを見せつけ己が欲望を見せる恐ろしい場所である。
そんな恐ろしい陽キャの巣窟に、今日まさに挑むのが我らがぼっちひろ。
彼女は無事に帰ってくる事が出来るのか!?
「あばばばばここがふれあいパーク・・・」
前回どらちゃんの魅了スキルの事を知ったひろは、本日ネコパークに来ていた。
疲れた貴方にキャットなサービスをがキャッチフレーズのこの店だが、実はそんなに客は多くない。
というのも、ひろがいきなり大人数の前に出るのにびびったのである。
「どらちゃんがいればきっとわしもモテモテに・・・」
ひろは気持ち悪い笑みを浮かべながら店先をうろうろしていた。
「ご主人よ、いつになったら入るのですか?」
「まぁ待つのじゃ、わしにも心の準備というものがあってな」
ドラルクはそんなものですかと、立てかけられている時計に目をやる。
「かれこれ3時間はたってますよ」
「うぐぅ・・・じゃってこんなおしゃれな店に入ったらきっと・・・」
『きゃー!素敵なお嬢様ですね!本日はどのようなご用件で!?』
『え?猫ちゃんを連れて来たんですか!?私も猫大好きなんですよー!お友達になりましょう!』
「という流れになるに決まっておるのじゃ!」
ひろはあわわとその場にしゃがみ込む。
「そ、そうじゃ、ここはこの紙袋を頭にかぶっておればちょっとおしゃれな小娘として認識されるかもしれん!」
そう言うといそいそと紙袋をかぶりだすひろ。
そんなひろをドラルクは冷たい目で見ながら勝手に店のドアをかりかりしだす。
それに気が付いたのか、店番の子が近寄ってくる。
「あらーかわいい猫ちゃんですねぇ野良ちゃんかしらー?」
ドラルクはごろにゃんと撫でられながらひろの方に目を向ける。
「あらあらーこの子の飼い主さんねー、今日は当店へお越しですかー?」
「ひゃ、ひゃい!末永くよろしくお願いしまふ!」
ひろは話かけられた事により動転していた!
「・・・素敵なファッションですねー」
「は、はひ!お気に入りでひゅ!!
紙袋がなければ危なかったとひろは胸をなでおろし、店番の子に促されるまま店内に入っていく。
「ほあーこれはあっかんじゃのー!」
店内にはネコ!ネコ!ネコ!
至る所にネコが引き召し合っていた。
ネコの数のわりに人の数はまばらで、ひろにとって割と理想的な環境だった。
そんなひろの足元に一匹のネコがすり寄ってくる。
「おうおうかわいいのう・・・」
ひろはすぐさま破顔し、ネコを撫でまわす。
「むっ、ご主人には私がいるでしょう」
「えー、じゃって見るのじゃこの子・・・ドラちゃんより可愛いぞい」
「なんですって?私がそこらのネコに負けるとでも?」
なにやら対抗意識を燃やしだしたドラルクは店内の一番目立つ場所に立つ。
「本来の目的を果たしましょう、魅了!」
ドラルクがにゃーと叫ぶと同時に、店内のネコがドラルクに向かって走り出す。
そして我さきにと言わんばかりになーなー叫び出す。
そしてそれは人間も例外ではなかった。
「「きゃー!なにあの子可愛いー!!」」
静かな雰囲気は一転、恐ろしいほどの喧騒に包まれる。
そんな雰囲気の中置いてけぼりになる一人の人物。
そう、われらがぼっちひろである。
彼女はいかなる状態異常にも対応できる精神力があるため、魅了等ももちろん効かないのだ。
「ううむ・・・予想以上じゃのう」
ひろは若干ドン引きしながらも、ここに来た本来の目的を達成するためにこぶしを固める。
「あ、あひょ、あひょこうちの子なん「キャー!ネコちゃんこっち見てー!」
「あ、あ、あの子「キャー肉球やわらかーい!」
「・・・あ「にゃー!!!!」
結局、誰とも喋れずに終わるひろであった。