しりあい
「今日も良い天気じゃのう」
老人のような事を喋りながら、今日も今日とて1人寂しく帰るひろ。
いつになったら友達が出来るのか、出来た時が最終回なのではないかというひろ。
そんなひろの足元に猫がすり寄ってくる。
「お、なんじゃなんじゃかわいいのう」
よしよしと顎の下を撫でると、猫はゴロゴロと喉を鳴し口を開く。
「時は来た」
「ねねね、猫が喋ったー!!!!」
前世の世界では普通の事だが、こちらの世界では猫は喋らないと学習していたひろは驚愕する。
そんなひろを尻目に、猫は顔をかきながら更に言葉を紡ぐ。
「この波動、○○ですね」
前世の名前を呼ばれてビックリする。
前世で自分の事を名前で呼ぶ存在などいるはずが…と思い、1つの可能性に思い至る。
「もしやお主ドラルクか!?」
「お久しゅうございます」
「お主もこっちに転生しておったか!」
このドラルクと呼ばれる猫、前世ではドラゴンであり、最強の邪龍であった。
動物となら話せるひろは、魔物とも普通に話せるのだ。
かつては世界の命運をかけて争ったりしたものだが。
「しかし随分と可愛くなってしもうたのぅ」
「マスターも人のこと言えませんがね」
ひろは肉球をぷにぷにしながらかつての邪龍を見下ろす。
ぷにぷにされるのが嫌なのか、ドラルクはじたばたと暴れ出す。
「やめてください、今の私はしがない一匹狼ですので」
猫なのに狼とはいかに。
猫パンチでいやいやされるが、ひろはやめない。
ひろの感性は、いつの間にか女児のそれに近しい物になっているのだ。
そして話すことに飢えているひろは、ここに来てドラルクを離すつもりもなかった。
「ときにドラルクや、一匹狼という事は野良かえ?」
「野良という響きは気に入りませんが、その通りです」
そんなドラルクの言葉にうんうんと頷くと、ひろはドラルクを抱える。
「よし、お主は今日からウチの猫のドラちゃんじゃ」
「!?」




