早く脱がないと
「ここでは、いろんな薬品を取り扱ってる。迂闊に触れるとやけどしたりするから気をつけて」
「はい」
みずきはおっかなびっくりで返事した。
先輩達はみんな男ばかりで、女の先輩方はちょうど他の用事で席を外していた。
「この試薬とこの粉をビーカーで混ぜて」
「はい。あ、色が変化しました」
「次はこれ」
「はい」
言われるまますり鉢ですりつぶしたり、重さを計ったり。
「これって、何の実験なんですか?」
「ここのラボに向いてるか向いてないかのテスト」
「えー!」
がしゃん。
液体の入ったビーカーが倒れて、中のなんだかわからない液体がみずきにかかった。
「いかん!服を脱いで!」
「え?」
「早く服を脱がないと!」
みんなで寄ってたかってみずきの服を脱がした。
「脱がないとどうなるんですか?」
ブラジャーとパンティ姿で両手を胸の前にクロスさせて震えながらみずきが聞いた。
「脱がないと……シミになる」
わははは、と男達は笑った。
「セクハラもセクハラよ!」
ぷりぷり怒ってカフェテラスでミルクティーを飲むみずき。
「すんまへん!」
隣のテーブルについている男達はみんなほっぺたにビンタの跡があった。
「本当に悪ふざけが過ぎるわ!」
「でも、テストは合格!俺らと一緒に仕事していける気概があるよ」
「勝手にいってろ!」
先が思いやられると、みずきはため息をついた。