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第2話 19人だけ
助かるのは19人だけ。
でも、ここにいる私達は20人いる。
誰か一人必ず見捨てなければならない。
修学旅行で、大型客船に乗り込んだ私達は嵐に遭った。
そして、トラブルがおきた船は浸水していく。
このまま船に乗っていては、助からないだろう。
船の操縦者はいない。
責任を負うべき者達は真っ先に逃げたからだ。
だから、ここに取り残された私達は自力で助かられなければならない。
助けられるのを待っていては、助からない。
早く救命ボートに乗りこまなくてはいけなかった。
けれど、定員は19人。
ここにいるのは20人。
多くの者を助けるには、誰かを見捨てなければいけない。
その選択は、クラスを取り仕切っている委員長である私の手にゆだねられた。