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第1話 選択後
どんよりとした雲は、こっちにのしかかってくるようだ。
今にも落ちてしまいそうな、そんな黒く圧迫感のある雲からは、雨雫がぽつぽつと落ちて来ていた。
影の落ちた世界は薄暗くて、時間がこのまま止まってしまいそう。
この世界で動く人が全ていなくなったら、どうなるんだろう。
想像してみても、想像しきれない。
冷たい雨が肌にあたるごとに体温が奪われていく。
ああ、このまま全ての温度が消え去って、この世から全てが消えてなくなってしまえばいいのに。
あの選択は間違いだったのだろうか。
考えても、答えが出ない。