ようこそ、人大神村(じんろうむら)へ
〜メルトside〜
…昔であればあり得ただろうが、今、僕の目の前に広がっているのは、舗装された街や道路…まるで都会にいる頃となんら変わらない…いや、厳密に言えば、都会ほど店がぎゅうぎゅう詰めになっているわけではないから、都会と同じわけじゃないが、期待していた光景と少し違っていた…
現在 am9:10
新千歳空港行きの便を降りて、預けていた荷物を飛行機を乗ったことある人なら誰もが知っているだろうベルトコンベアーから取って行き、その他諸々の事柄を終えて、新千歳空港から出たばかりである…
季節は冬、11月11日…
とはいっても自分の住んでいたところはそれほどの寒さではなかったが、北の雪国とも言われるほどの北海道…
そこでなら流石に雪ぐらい降っているものかと思った…というか、楽しみの大部分はその生まれて初めて見る『雪』であった…
しかし、気温は10度(もちろん、セルシウス温度)...小学生の理科の知識さえあれば、純粋な水でさえ、0度に到達しないと氷にならないのは周知の事実…大気のゴミが密集した混合物の雪だったら、生成されるのに必要な温度は若干前後するが、それでも流石に10度の大台に到達できたら、もはやそれは大ニュースとも言えるだろう…
つまり、僕が期待していた、あたり全体雪景色なんて、どこにもない…少し肌寒いだけの普通の空港近くのバスターミナルの景色だった…
「…やっぱり…そう簡単に…雪なんて見れないかぁ…」
そうかなり落胆したが、まぁ、いつまでも引きずってもどうしようもない…冬と言っても、まだ所詮、11月…冬の季節で言えば、序盤のあたりだ…北海道は、都道府県の中で一番広い…ゆっくりと色々、回っていけば、2、3ヶ月くらいはかかる…多分そうだろう…その間に、少なくても雪景色の一つや二つぐらいは拝めるはずだ…そうだよな…そうであって欲しい(もはや願望)
そんな子供のような葛藤を抱えながら、メルト君は、あらかじめ計画していたバスに乗り込む…バスの外側は、北海道マークやシャケなどの模様が描かれていたが、中の様子は東京のバスと大差ない...そう当たり前のことを再認識しながら、哲学書『粛静』を読んでいた時、横から三人組の大学生くらいの女の子たちが話しかけてきた…
「あ〜の〜すみません〜、…この後、時間って、ありますか?」
…おっと、これは予想外…、ここは…空港近くのバス前…聞きたいことといったら…だいたいひとつだろう…まぁ、地元の人間ではないから、丁重にお断りさせてもらうが…
「あ〜、すみませんね。実は、僕、地元の人間じゃないんで、ここら辺の土地勘とか全然ないんですよ…なので、タクシーの人とかに聞いた方が早いじゃないですか?なんなら、タクシーの運転手とかが知っているかもしれませんね…そうだ!タクシー代は僕が払いますから、僕と一緒にタクシーで話しませんか?」
前半部分は、まぁ当然の受け答えだろう…ここで嘘をついても、メリットは何もないどころか、相手の心象を損なうリスクが大きすぎる…それに、知らないことを知らないと言っても、何も間違っていないだろう…ただ、後半部分は、人脈を少しでも広げたいための提案だ…なんかナンパみたいな手口になってしまったが、案外この容姿なら、うまくいくんじゃないか?
「え…あ…って!!いいんですか!!…ありがとうございます!!(∗˃̶ ᵕ ˂̶∗)」
僕に話しかけてきた女の子は、意外な顔をしたと思うと、顔に笑みをこぼさないように必死に取り繕っている笑顔を見せて、三人組の輪の中に一旦戻り、他の二人の女の子に、歓喜の言葉を次々と一応、周りに聞こえないように喋っているようだが、丸聞こえだ…
そこまで、喜ばれるとか…この三人組…5、6時間、迷子状態にでもなったんじゃないのか…そう、本当に心配になるほどである…
…お互いの会話の意図があっていないのにも関わらず、会話が成立してしまうあたり…メルト君は、自分の美貌の程度を知り過ぎてなさすぎることがよくわかるような描写だろう…メルト君は打算8割心配2割で、タクシーを提案したのだが、話しかけてきた女の子は、他の二人の女の子を支えもあって、勇気を出してナンパしたわけだ…結果的には、その女の子が良い思いをしたことになったわけだが…しかし、メルト君よ…たとえ、自分の美貌について認識していなくても、周りの女の子の好意の視線に気づかない男の子には、わたしゃ〜育てた覚えはないぞい…(´Д`|||)
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〜メルトside〜
にしても思わぬ収穫だった…まさか、あっちは本当にナンパ目的なんて…、正直、思いもしなかった…というか…そもそも…僕って、ナンパされるほど…なのか??そう自分の容姿に疑問を抱かずにはいられない…、…これも、漣さんのいった通りなのかもしれない…
『イケメンになりなさい…なった方が人生は楽だ!!』...
この旅を始めて、この女の子たちに喫茶店へ誘われて、計2,3時間…今のところ、この言葉が一番効力を発していると感じるのは、僕の浅い思慮によるところなのか??
本名のアドレスは即ゲットした…そのあと、この三人組は昨日の大学の合コンで飲み明かしまくったら、三人揃って終電を取りこぼし…夜を通り越して、今に至る…というその子らの事情を聞いたり、どういう女の人が好き?というよくありがちな質問をされたりした…途中で、北海道のおすすめの場所を聞いたが、女の子たちが言うには、北の山近くにある宿が絶対おすすめだと言う…自分の携帯を持っていないため、女の子の一人の携帯を使って、調べて見ると、ここからだとバイクでも、5,6時間かかるほどの結構な距離があるのだが、三人は絶対に早めにいった方がいい…今の時期には…『とんでもないもの』があるからだと…内心、大学生なのによく5,6時間もかかる距離のところを知っているなぁ…と並み外れた土地勘を持つ三人組に敬意すら感じていた…とりあえず、その『とんでもないもの』の正体について尋ねたが、三人とも口を合わせてこう言う…『見てのお楽しみ』…
興味を惹かれたため、とんでもないものの正体について二度、三度尋ねてみたが、返ってきた答えは同じだった…、…まぁ、いいや、百聞は一見にしかず…この旅はそもそもそれが目的じゃないか…ならばと思って、それ以上の詮索をやめて、大学生の女の子の事情について、色々聞いてみた…(もちろん、自分のことについてもある程度、話したが、三人の女の子はどちらも饒舌だったため、僕が話した内容は全体の3割程度だった…)
それから、色々な世間話や愚痴を聞いて、最終的にはpm3時くらいで、僕から話を打ち切り、今度会う時は、僕から連絡するという言葉を残して、その場をさった…
とにかく、女子大生の話は、長々しくて、途中から時間の無駄じゃないかと思い始めた…その予感は過ぎて行く時間に比例して中身のない内容となっていく会話から一目瞭然だった…だから、少し遅い気がするが、途中で会話を打ち切って、女の子たちから聞いた近くのバイク屋さんに、自分の足で行って見ることにした…近くと言っても、2,3kmくらいの距離はあるが、それくらい、走っていけば案外すぐだろう…そう思って、走ろうと思った時、女の子たちと話している時に自分が答えた一つのことを思い出した…
「そういえば、まだ名前をお伺いしていなかったですね…」
そういえば、そうだ…そう思って、一瞬、メルト、と口に出してしまいそうになる…、…けど…だめだ…この名前は絶対に使ってはいけない…じゃあ、どうするか…別に本名を隠すつもりもないわけだから、それを明かしてもいいわけだが…そうだな、あえて本名は伏せておこう…この衝撃は、大切なあの人にだけ…送りたい…、だったら、自動的に代わりの名前を瞬時に考え出さないといけない…それで思いつく名前なんて、僕には一択だけだった…
「…れん…いや、僕は、潮彩 漣といいます…」
訓読みにしただけのアレンジだが、何もしないよりはマシだろう…そう思って、それから潮彩 ”漣”という体で話を進めて、今に至る…
…今から思えば、”” 僕 ”” がこんな大それた名前を使っていいわけがないと後悔しているが…一度決めた名前を使わないわけにはいかない…それで、名前を変えて後々、矛盾が起きたら、それが1番の問題だ…だから、すまない…せめて、この名前は、君の亡き間だけは、容赦してくれ…そう心の中で深く謝罪をする…
そして、その謝罪を終えると、今度はふとしたくだらないことが気になった…しょっぱいものを食べたら、その逆の水が欲しくなる原理と似たようなものを感じる…
あの女の子たち…徹夜しているはずなのに、よくナンパして、喫茶店で、pm3時まで話せる体力があるなぁ…逆に尊敬をするよ…
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〜メルトside〜
予定よりもだいぶずれたが、これも旅の醍醐味…予定など所詮何もなかった時の計画な訳だから、予定通りに運んでいるということは、すなわち、目的が達成できていない状況ということだ…だから、この状況はある意味で、好ましい状況だ…それに、あの三人組の女の子たちのおかげで、北海道の穴場?らしき場所まで見つかった…あの女の子たちが言う『とんでもないもの』の正体がものすごく気になる…わざわざ、説明しないということは、つまり、完全に予想外のものということだろう…それならば、僕にとっては、最大に良い経験になりそうだ…しかし、話を聞く限りだと、早めにいかないと、だめなものらしい…ということは時間限定のものに違いないので、バイクを買って、早速、その場所に向かってみる...
…、…、…予想はしていたが、やはり…どんどんと北へ向かってみたら、見える景色は林!森!!山!!!バイクに乗りながら、途中で見えたさまざまに連なっている山々の頂上に雪らしきものが積もっていることは確認できたが…僕が見たいのは、そんなインターネットで探せば、見つかるようなものじゃない…実際に、雪合戦ができるほどの雪が道路や街中に積もっているのを見たいし、触ってみたいのだ…
そして…たまに猪や鹿…さらに、驚くことに、熊でさえいた…もちろん、バイクを道路の端に置いて、念の為買っておいた斧を使って、その猛獣たち(猪、鹿、熊)をハンティングすることは”超回復”を持ってすれば、可能だが、僕の服が返り血まみれになるので(そんな状態で、宿に泊まることなんてできそうにないので)、猛獣(特に熊)の視界に入らない範囲でバイクを漕いで、その場をやり過ごした…。
だけど、山とはいえ、ここはアスファルトで舗装された道路…そんな場所であるにも関わらず、猛獣たちが出るのは安全大国、日本としてはいかがなものかと思う…やってある対策としては、熊出没注意!!という北海道に行ったら、定番の看板が並んでいるだけだった…”超回復”を持っている僕だから、斧一つで、熊ごときならなんとかなるが、これが一般人…しかも、物見遊山の旅人だったら、命はないだろう…
そんな懸念を少し抱きながら、さらに、どんどん、どんどんと北へ進む…
そして、とうとう僕は地図上は目的地である場所までついた…時刻は、pm22:00 一般人なら、この宿が満席だったら、人里離れたこの場所で一晩を明かせなければ、明日は猛獣に食われた悲惨な末路を辿るだろう…今日進んだ山道を見てみると、それくらいの獣道と大差ないように見える…
一応、地理的に説明すると、天塩山地と北見山地の間にある川、その川の南部あたりが逆s字になっている場所があると思う…その逆s字の大きい南側の北見山地側そこら辺に、北見山地にもたれかかる形で、長い階段があった…その階段を越えた先、八十度、上を向けば、小さな村…と言っても、それは巨大な北見山地と比較した場合であって、実際はそれなりに大きな村なのだろう…そんな村が立っていた…
そのマチュピチュみたいな、天空都市?いや、それよりは少し小規模であろう村に少し圧倒されていたが、よく見ると、それよりも圧倒的にすごいものが目の前にあった…まぁ、すごいのベクトルが全く違うが…
猫顔、猫耳フードつき猫柄パーカー、猫柄手袋、猫柄ズボンを羽織った高校生くらいの少女がすぐ目の前に来たのに気づいた…、しかし…まぁ、漣さんのこともある…人のファッションセンスにとやかくいう資格はないだろう…そう思って、普通に会話する…
「…あの〜、すみません…ここら辺に、宿屋さんがあると聞いたのですが…」
そうやって、会話をしようとするが、その少女からの返答は来ない…瞬き一つしないその行動に一瞬、銅像かと思ったが、その瞬間、返答が返ってきた。
「…ほえ〜、偉い、イケメンな男が来ちゃったよ…まぁ、いいや…お兄さん…さっき宿屋って言った??悪いけど、ここの集落に泊まる気なら悪いことは言わない…やめとけ…もしかすると、食われちゃうかもしれないよ〜」
「ん?どういうことだい?」
「まぁ、いいや。なんでもない…どうせ…そんな、超低確率な厄災なんて起こるわけな…」
そんな言葉を言うが、突然言葉に詰まってしまう…どうしたのか??そう思って、周囲を確認したが、特段変化していない…だが、そんな僕の疑問とは裏腹に、少女の顔はどんどんと青ざめていく…その様子に、本当に心配になり、一声かけてやろうとしたが、それをする前に手を引っ張られ、その華奢な見た目には似つかわしくない腕力で階段に登って村の方面へ引っ張られてしまう…
「___ッッッ!!ックソ!!フラグ立てるんじゃなかった..!!ついて来て!!」
「…いったいどうしたんだ!!何があった…!!」
そう問いただす感じで、聞いてみた…僕もいきなりの非常事態に困惑していたんだと思う…つい語気が強くなってしまった…そして、彼女の焦る顔を見た瞬間に、その答えなどどうでもよくて、今はただ村へ向かうべきだと悟った…しかし、意外にも返答は返ってきた…
「ッツッ大神が…来るの!!もし、ここを逃げられなかったら、食われちゃう!!だから、すぐに、村に向かって!!」
…その発言にいまいち正気を感じられなかったが、…まぁ、いい…もしかすると、彼女らが言ってた『とんでもないもの』=『大神』なのかもしれない…だとしたら、僕的には最高だ…どんなことが行われるかわからないが…少なくても、人が冷静さを失うほどの事態に立ち会えるのだ…その経験が僕の願いに大きく貢献するだろう…
いや〜、読者のみなさま、乙かれさまです(このネタをわかる奴は、かなりの猛者)
まさかの延期という事態...まぁ、『天国に住むクズのために粛清を』を読んだ人は、またか、と思うかもしれませんが、こっちとら、この小説は趣味の一環ですからねぇ...書籍化を狙うガチ勢の方々とはレベルが違うわけです。(ある意味での話ですが)
とりあえず、本題に移りましょう...まず、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません...『天国に住むクズのために粛清を』でのこの文章
...物語は、最終回を終えて、一週間後...メルトくんは、もう19歳!!道端で出会えば、100人中99人が見惚れるほどのイケメンへと成長しました(*´꒳`*ノノ゛パチパチ 最終回の悲しみを乗り越え、新たな決意を抱きながら、一人、自分探しの旅に出たメルト君! その瞳に暗示する激情を潜ませながら、彼が向かった先はなんと!北海道!!そこで、なんやかんや自分探しの旅に成功すると思われたその時!!なんと持っていたバイクが!!廃車に!!仕方なく、寄った先が、なんと奇妙な風習が残った人狼村だった!!村人が突然死ぬ奇妙な現象、前作を乗り越えた精神力最強のメルト君は、一人の犠牲を出さないために大奮闘!!ラストには衝撃の結末が!!
あらすじのこの部分、『彼が向かった先はなんと!北海道!!そこで、なんやかんや自分探しの旅に成功すると思われたその時!!なんと持っていたバイクが!!廃車に!!仕方なく、寄った先が、なんと奇妙な風習が残った人狼村だった!!村人が突然死ぬ奇妙な現象、前作を乗り越えた精神力最強のメルト君は、一人の犠牲を出さないために大奮闘!!ラストには衝撃の結末が!!』
向かった先は北海道ですが、自分探しの旅に成功してから、バイクが廃車になってません...まぁ...ここの部分が全然違うじゃないか、とおっしゃる読者の皆様...実は...全くもってその通りです..
実は、物語の都合上、自分探しの旅はこの一章の終盤にやった方が都合がいいと思い、あえて自分探しの旅の初日と変更いたしました。そして、バイクが廃車になっていない部分ですが、逆に廃車になったから、その村に泊めてもらうという動機よりも、あの三人組の女子たちから情報を聞き出してからの方が後々の伏線になるのではないかと思って、変更した次第です...皆さんに、予告なしで変更したことは素直に謝罪します...シャーセン...ん?...sya-s((殴
しかし、これもそれも全部、これからの展開の伏線の為、そのためご容赦いただけると幸いです。
そして、『メルトくんが新千歳についた日付が11月11日』と『メルト君が北海道に滞在しようとしている日数=2,3ヶ月=一章が終わる話数=80話』で気づいた人もいるかもしれませんが、この物語は、現実の日付とリンクしながら物語が進みます。これも実は、『天国に住むクズのために粛清を』の重要な伏線なんですけど、まぁ、それは結構後々に知ることになりますね...そういうわけですので、明日は、『昨日投稿できなかった分+明日の分の話』という二話投稿という形になるわけです。まぁ、そうなるとメルト君以上に、私の指の腱が持つかわかりませんが、頑張ってみます...
(´・ω・`)
ああ、ちなみに、『村人が突然死ぬ奇妙な現象、前作を乗り越えた精神力最強のメルト君は、一人の犠牲を出さないために大奮闘!!ラストには衝撃の結末が!!』
という部分は絶対に変わらないので、ご安心を...
それでは、いつものあれ!!やりますよ!!
ドドーン!!今話の格言!!
『..ごめんどこだっけ??』
...はい、実際に、今話で、格言をどこかに残したはずなんですよ...ですが、...どこにあるかわからなくて、僕の方が本当に迷子中です...、まぁ、締まりは悪いですが、また会える時を待っています...(多分明日くらいに会える...)それでは、さようなら〜〜!!