番外編その1_手紙とその後
手紙には「ごめんな。俺は用事が出来てここを去ることになった。お前との最後を過ごせないのは残念だが、外せない用事なんだ。そう言えばあの桜の場所には名前がなかったよな。そこで俺考えてみたんだ。あそこまでの木々が生い茂った場所やあの桜の場所をコトダマの森って呼ばないか?すごくいい名前だと思うんだよ。俺もあっちに行ったらみんなに広めとくぜ!じゃあな、もう時間がないみたいだ。もう会えることはないだろう。強く生きろよ。さようなら」
と記されている。
「まったく...どこまで格好つけるんだか...」
クスッと笑みを浮かべ手紙を折りたたむ。
あれから1年半が経った。
あれから病院を無事退院でき、今は高校に通っている。友達も出来てとても楽しい日々を送っている。
本当に命をもらったことは感謝してるし、今は人生が楽しいと感じられる。
でも、でもやっぱりミヅキと会えないのは辛いなぁって...
またデート行きたいなぁって...
もうあの人以外に好きな人はいないなって...
でも、そう思ってももう彼はいなくて
もう、彼の手はこの世になくて
最後の別れすら出来なくて、
「未練たらたらだなぁ」
本当にダメだな。私は
きっと彼がいてくれたら
「お前バカじゃねーの?」
って笑ってくれるんだろう。
いてくれたら...ね。
「強く...生きてるようで何よりだな...」
耳を疑った。
強く、はっきり、強い声で、
優しい声で、
彼の声が聞こえた。
「えっ?!いるの?!」
そう言っても、もう返事は返ってこなくて
幽霊は完全な目的ができた時成仏すると聞いたことがある。
きっと今それが起きたのだろう。
「あんなこと言われちゃ、生きないといけないな」
私はクスクスと笑い飛ばすのだった。
The end.