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魔進鎧装リーゼント  作者: 白桜
1/1

【第1漢】オレ、転生

初投稿です。特撮が好きな一般人が軽い気持ちで描いた作品なので、頭を空っぽにしてみて頂けたら幸いです。

 時はちょい昔とあるコンビニ。不良高校生の炎堂鉄也はその命を落とす間際であった。ライバル校の不良との公道バイクレースの最中にミスをし、コンビニのに突っ込んでしまったのだ。「あぁ… オレはこんな半端なところで死ぬのか…」と脳裏に浮かんだ時には、彼の心臓は動くのをやめた…


 しかし、彼は目を覚ました。

「…は⁉︎ どこだここ⁉︎ オレは確かコンビニに突っ込んで… それで…」

 ただでさえ馬鹿な頭には到底理解出来ない状況が目の前で起こっているのだ。無理はない。自前のリーゼント頭を掻き毟りながらガチ焦りをしている彼が居るのは謎の石室。言うなれば祠や神殿の様なクソ古めかしい建造物の中である。そして不思議なことに、着ていた学ランはもちろん、体には傷一つ残っていない。

「んだよチクショウ…! ここが地獄の待合室だってのか⁉︎ こんなんだったらちったぁ良い事して可愛子ちゃんだらけの天国に行きゃ良かったぁ!」

 壁にもたれながらそんな事を独り言とは思えない音量で呟く。

「クソが… クソボケがぁぁあ!!」

 理解不能な状況にキレた鉄也は壁に向かって拳を振り上げる。しかしその拳は壁ではなく、目の前に現れた女の顔面にめり込んだ。どうやら壁は下にずれる扉だった様で、それが外から開けられたらしい。

「あ… やべっ…」

 怒り任せの顔面パンチを食らった女はフリーズし、その左右にいた屈強な衛兵らしき男達もまたそれに驚いていた。鉄也は「ボディガード連れのいかにも偉そうな女に顔面パンチした」という事実を生前記録を更新する速さで理解すると、ありとあらゆる汗が全身から吹き出すのを感じた。


「うん… 君がごの状況に怒りを覚えだのは理解でぎだ… あぁ… すまん、また交換じでぐれないが?」

 先ほどの女が止まらない鼻血と涙をハンカチ数枚を使って拭きながら言う。女は腰に剣を差しており、その服装からも騎士か何かのように見える。

「いや…マジでホントすんません… 振り抜いちまったオレが悪いっす… こればかりはガチ謝罪っす…」

「あぁ まぁそれは構わん… 無警戒に扉を開いた私も私だ… これは団長が私に衛兵を付けたのも理解できる」

 正座する鉄也と女騎士は気まずい空気の中言葉を交わす。マジのガチで気まずい。

「あ… 止まってきた… では、改めて君を迎えに来たことを伝えよう。異世界の来訪者よ」

「…はい?」

「君は私たちの世界にやってきた来訪者。そして、そこにある伝説の魔進(マシン)『ゴウカ』に選ばれた英雄となる者だ」

 開いた口が塞がらない。死んだと思ったら異世界にやって来ており、さらに選ばれた英雄と言われたのだ。全くもって頭が追い付いてこない。呆然としたまま指をさされたほうを向いてみる。そこにはいかにもアメリカンなシルエットの改造バイクがあった。しかし、それは本物のバイクではなく石像の様で、走るどころか持ち出せる様子もない。

「あの… こいつって石像っすよね? しかもなんでバイク…?」

「ん? この世界でバイクは選ばれたものが乗れる物なのだが… なんだ、お前の世界にもあったというのか?」

「あったも何も、俺はそれに乗って事故って死んで…」

そう言いかけた時、大きな揺れと共に轟音が響く。まるで近くに隕石でも降ってきたかのようだ。

「うおぉおぉおお⁉ なんだこの揺れぇ!!?」

「しまった! 気づかれたか! 支給脱出用意を。彼を国まで無事連れて帰るんだ!」

 指示を出された衛兵は鉄也を立たせ、脱出を促す。鉄也は彼女らに従うように、しびれた両足で一目散に脱出を開始した。地響きで揺れる室内には、ゴウカと呼ばれた石像が鎮座するだけとなった。


 外に出ると既に夕焼けのようで、赤い空が広がっていた。しかし穏便に帰れるようではなく、祠を出た先の荒野には複数のロボットのような兵士、そしてやたら世紀末な恰好をした怪人が出待ちをしていた。

「おやおやおや!! まさかあんたはグレン国の小隊長さんかい!? こんなところでかち会えるなんてついてるぜぇぇ!!」

 ハイテンションな怪人はその筋肉質な肉体を大きくのけぞらせながら叫んだ。鎖と棘付きベルトを体にまき、いかにもヒャッハーといった風貌だ。

「クソッ! チンピラがこんな辺境にやってくるとは…! 今は数で勝てない、逃げるぞ!」

「いやいやいや!!! あれがチンピラっておかしいでしょ!?」

「おかしくない! 死にたくなければついてこい!」

 女が常識を逸脱した世紀末怪人に対し驚嘆する鉄也を停めてあった馬に乗せて走り出す。同じく馬に乗った衛兵が、槍で機械兵をなぎ倒し道を開ける。しかし数が多すぎるためキリがない。

「俺たちの魔ギア兵がそんなんで止まるわけねぇだろうがぁあ!!! 英雄とやらはぶっ殺すし、てめぇは身ぐるみ引っぺがしてボスへの手土産にしてやるぜぇぇえ!!」

 下品な啖呵を切りながらチンピラと呼ばれた世紀末怪人が追ってくる。その速さは人間のものを超えており、追い付かれるのも時間の問題だ。

「多い多い!! このロボット多すぎるだろって! あんたこんなんといつも戦ってんのか!? てかあのチンピラってなんなんだよ!!?」

「喋るな! 舌を噛むぞ!」

 追ってくる怪人に向けて剣を抜く。そして切っ先を向け何か念じたかと思うと、剣から光弾が発射された。

「え!? ビーム出んのこの剣!! すげぇ!」

「感心してる場合か!」

 怪人を迎撃しながら叱咤される。鉄也はゲームや特撮でしか見たことのない光景に恐れつつ、少しワクワクもしていた。危険でも血がたぎる感覚には抗えないあたりが、彼が不良になっていった理由の1つなのかもしれない。怪人はその光弾をスイスイと躱しながら馬に追い付いてくる。その獣のような鋭い視線は、はっきりと鉄也を捉えていた。鉄也はそれを見て、「このままでは追い付かれ、下手すれば全員殺される。」とわかった。脊髄で物を考える無鉄砲な彼が、今相乗りしている女騎士や衛兵を助けるために考え付いたことは扱く単純であった。

「おい! それよこせ!」

 そういって目の前の女騎士が持っていた剣を奪い取ると、彼は馬から飛び降りた。前転で受け身を取った彼は、無謀にも単身で戦うつもりでいたのだ。

「な…! 馬鹿かお前は!! 死ぬぞ!」

「うるせぇ! どうせ1回は死んでんだ! そんな死にぞこないの半端モン庇って死なせるくらいなら、オレはここであいつと戦う!!」

 まさに無謀であった。ステゴロしかしたことのない彼は武器の使い方を知らなかったし、ましてや異世界の技術なんて知る由もないのだ。それでも彼は、たとえ名前も知らない人間であっても自分のせいで悲惨な目に逢うのだけは我慢できなかった。

「良い覚悟だなぁぁぁあ!!! じゃあ遠慮なく死ねやぁぁぁああああ!!!!!」

 蒸気機関でも持っているかのような怪人の岩のような拳が飛んでくる。突進のエネルギーも上乗せされたその拳は、鉄也が構えていた剣をクラッカーのように粉砕し、彼自身も遠方へと吹っ飛ばした。激痛が走る。拳で腕が砕け、衝撃波で内臓を痛めつけられ、後方の岩へとたたきつけられる。前後の衝撃に挟まれて思わず吐血する。動かない左腕を庇いながら立ち上がろうとするも、内臓や筋肉の痛みがそれを許さない。這いつくばる事しかできない彼の眼には、自らが吐いた血がはっきりと映っていた。

「おうおうおう。意外と丈夫じゃねぇか英雄様よぉぉお!!」

 いつの間にか近づいていた怪人はそういうと、鉄也の前髪を掴んで無理やり起こす。全身の痛みに比べればたいしたことないはずの毛根の痛みも、今の彼にとってはかなりの苦痛であった。

「でも所詮は貧弱な人間… 俺たち魔人にとっちゃ殺すのは簡単だぜぇえ?」

「ぐおぉ… てめぇ…! 俺の髪から…手を放しやがれぇ…ッ!」

「がはははは!!! ぼっこぼこの癖にまだメンチ切る気力があるのか!! 気に入ったぜぇ? てめぇはなぶり殺しにせず、一撃で頭砕いて殺してやるぅぅうう!!!!」

 怪人はそう言って手を放すと、慣性に従ってとどまる鉄也の頭部を両の拳で粉砕する構えを取った。そして全力でこめかみ向けて拳を合わせようとした。

 だが突然不思議なことが起こった。突如鉄也の周囲が赤熱色に輝きだし、怪人の拳を跳ねのけた!

「ぐげごぉぉぉぉ!?!? な、何が起きてんだぁぁぁぁああ!?!?!?」

 燃え盛るような光を発しながら、先程の重傷などなかったかのように立ち上がる鉄也。そして遠方からは、機械兵こと魔ギア達を破壊しながら爆速で向かってくる紅い流星のような光がやってきていた。

 お疲れ様です。白桜です。

 鉄也君の転生、いかがでしたか? 正直私、異世界ものは小説も漫画もアニメすらも見たことがない身でして、上手く書けているかが大分不安であります。でも正直異世界描写よりも、特撮的な変身ヒーローが描きたいがための作品なので、そこは大目に見ていただければと思います。なぜヤンキーなのか? 気分です。

 第1漢では謎の女騎士と出会い、機械兵魔ギアを率いた魔人「チンピラ」に追い込まれるまでを書きました。毎回このくらいの尺でやろうかなと思っています。

 次回はついに鉄也の初変身です。彼の初めての魔進鎧装、読んでいただければ幸いです。

 ちなみにその次回は気分次第で書きます。

 ありがとうございました。

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