056 白熱
なんか長くなってしまった…!
国府台昴と幕張英修の試合は、第1Qを終えて19-31。
英修の12点リードで2分間のインターバル、休憩を迎えたところだ。
英修のプレスディフェンスに圧倒され、点差を広げられる展開は、葵の投入によって何とかギリギリ踏みとどまる事が出来たけど、ベンチの空気は決して明るくない。
劣勢には変わり無いからだ。
葵の投入は攻撃面では効果的だったと思う。
相手が仕掛けるオールコートプレスに、ボール運びすらままならかった状況は改善されたし、ボール運びに苦戦していた千秋をそのプレッシャーから解放した事で、千秋が持つ得点力を生かす事にも繋がった。
けど、ディフェンス面では問題が残る。
攻撃の時には、抜群のスピードとクイックネスを見せる葵も、守備時にはどうしてもその体格がハンデになる。
当然、英修はその弱点を付いてくる。
145cmしかない葵は、誰をマークしても高さのミスマッチが生じてしまう。
葵の頭上はパスの直通状態だ。
そのパスの先にいる選手がまた厄介。
英修最大のストロングポイント、背番号34を付けた留学生選手、リタ・イドバーエヨバ。
英修は彼女のポストプレーを中心に攻撃を組み立ててきた。
彼女には、ウチで一番背の高い環さんがマークについているが、そんな環さんを以てしても抑えることが出来ない。
それだけ、相手のフィジカルは圧倒的だった。
反則だろ、あれ……と、思いっきり愚痴を零したくなる。
センターの選手にはまず第一に高さとパワーが求められる。
相手のイドバーエヨバは、テクニック自体はイマイチでも、身体能力で圧倒してしまう。
県大会レベルで彼女のような選手と対戦する機会は滅多にない。
高い身体能力とバスケセンスを持つ環さんでも、いきなりあんな選手と対戦して抑えろというのは、ちょっと無理な話なのだ。
そもそも、日本の女子バスケには高さと強さを兼ね備えたインサイドプレーヤーが圧倒的に少ない。
環さんクラスでも他のチームからすれば歯軋りしながら羨む存在だろう。
留学生選手が高校バスケ界を席巻する理由が良く分かる。
そんなセンター対決の趨勢は、ディフェンスだけでなく、オフェンス面でもネカティブな要素だ。
第1Qでの環さんの得点はゼロ。
すばる高にとって、環さんは貴重なスコアラーでもある。
ここまでの試合も、私と環さんの二人で得点を重ねてきた。
私がダメなら環さん、環さんがダメなら私。
得点源が二つある事で、ダブルチームのような対策を取られても、跳ねのけられる。
環さんがイドバーエヨバ一人に抑えられている状況は、そのまま私への負担が大きくなる事を意味する。
私には途中から、英修の1番、初瀬巡がフェイスガードを仕掛けてきていた。
私がボールを持っていなくても、決して私から目を離さず、密着してくる。
勿論、まったくマークを外せないワケじゃないけど、マークを振り切ってボールをもらうために運動量が多くなるし、体力的な消耗は覚悟する必要がある。
何より鬱陶しい。
「さて、そうは言っても負けてる状況だし。 このままじゃジリ貧よね。 何か手を打たないと……、詩織」
「……はい」
「キャプテンとして、何かあるかしら?」
先生が詩織さんへと話を振る。
詩織さんはこの試合に先発として出場したものの、相変わらず動きに精彩を欠き、葵に代わってベンチに退いている。
そのせいか、表情はメンバーの中でも飛びぬけて暗い。
麻木先生は、詩織さんの意見が聞ける場面では必ず彼女に意見を求める。
「えと……、すみません……考えが上手く……」
自信なさげに口を開く詩織さん。
そりゃそうだ。
ぶっちゃけ詩織さんにリーダーシップなんて求めるだけ無駄。
加えて、あんな精神状態。
あの人から有効な策なんて期待出来るわけがない。
インターバルの時間は短い。
ぐずぐず話してる暇なんてないのに。
そう思い、無理やり会話の主導権を握ろうと思ったら――。
ふうっと息を吐きだした麻木先生が、詩織さんから視線を切り、私より先に口を開いた。
「仕方ないわね。 じゃあ私から」
そう言って、先生がプランを口にする。
やれやれ、と言った感じで話し出した割に、生き生きと語り出したその内容は、簡潔で分かりやすいものだった。
だったんだけど……。
「……大丈夫ですか? それ」
「練習でもやったことないけど……」
「でも……このままじゃ負けるだけだしなー……」
その内容を聞いたメンバーからは、不安の言葉が次々と口に出る。
「大丈夫じゃないけど大丈夫よっ! ね? 楓」
「え、なんで私に振るんすか……?」
急に私に同意を求めてくる先生。
でも……。
「そうですね、上手くいくかは別として……」
自然と口元が緩む。
「嫌いじゃないですね」
**********
インターバルを終え、両チームの選手が再びコートへと戻る。
すばる高に選手変更はなし。
英修側も顔ぶれを見る限り、選手交代はないようだ。
英修ボールのスローインで、第2Qが開始。
スローワーの私が葵にパスを入れると、私には#1のマンマークが付き、他の4人はゴール前でゾーンを形成した。
ハーフコートでのディフェンス時、英修は「ボックスワン」と言われるゾーンシステムで守ってくる。
ウチの場合は私だけど、得点源となる選手を抑える事を目的としたシステムだ。
英修がすばる高の事を、私のワンマンチームと認識している事が分かる。
そんな英修の選手達も、すぐに私達の変化に気付く。
すばる高はボールを持つ葵、アウトサイドプレーヤーの千秋、私に加えて、飛鳥さん、センターの環さんまでが、アウトサイドにポジションを取っていた。
私をマークする初瀬巡は、こちらの配置を確認すると、ふんっ、と鼻で笑うように声を漏らす。
「随分思い切りがいいじゃないか」
私だけを視界に捉えながら、煽るような口調で、初瀬巡が話しかけてきた。
「そりゃ、どーも……」
「君らは……そんな付け焼刃の攻撃が通用すると思っているのか?」
初瀬巡は尚も話しかけてくる。
なんだこいつ。
意外とお喋りだな。
そう思いつつ、言葉を返す。
「さぁ……どうでしょ」
そう言った後、私はすっと自分のいたポジションを空ける動きを入れる。
私が動いた事で出来たスペースには、コーナーから環さんが走り込む。
そこへ葵からパスが出る。
ボールは環さんへと渡った。
ふうっ、と一気に息を吐き、環さんがドリブルを始める。
その動きを見ながら。
「知ってます?」
ポジションを移す私にも、ピタリとくっつき離れない初瀬巡。
そんな彼女に対し、今度は私から言葉を贈る。
「センスのある人は、何をやらしてもだいたい出来ちゃうんですよ」
私が言い切るや否や、環さんがドライブを仕掛ける。
が、その進路には相手の包囲網。
スリーポイントラインを越えて守備範囲に侵入してきた環さんを、ゾーンを敷く英修のディフェンスが迎える。
二人がかりで進路を塞ぎ、環さんの侵攻を阻む。
そんな相手の前で、環さんはくいっと体の向きを斜めに変えると――。
タタンッ、と跳ねるように後方へステップバック。
重心が後ろにかかっていたディフェンス二人との間に、再び距離が生まれる。
環さんはそのままボールを持ち替え、ジャンプシュートを放った。
ただでさえ背の高い環さんの、ステップバックからのシュート。
ブロックなど到底無理と悟った英修の選手は、環さんの手から放たれたボールの軌道をただ見送る。
ガコンッ、と力強くバックボードを叩いたボールが、リングへと吸い込まれていく。
21-31。
第2Q最初の得点を、すばる高が奪った。
「「ナイッシュー!」」
味方の、祝福の声が重なる。
「ほら、ね?」
ボールの行く末を見ていた初瀬巡に対し、そんな言葉を口にすると、親指を立ててサムアップ。
リアクションを待たずして、私はバックコートへと引き返した。
環さんをインサイドではなく、アウトサイドで勝負させる。
麻木先生の作戦だ。
勿論、確かな勝算があっての策では無い。
練習でも試したことはない。
どうせインサイドで思う様にプレーさせて貰えないなら、思い切って外でプレーさせてみる。
そんなダメ元の策だったけど。
「よく決めれましたね」
「君が練習でやってたプレイを真似てみただけだったんだが……、思いのほか上手くいったな」
帰りしな、環さんにそう声を掛けると、そんな答えが返ってくる。
確かに、私も良く使うスキルではあるけど……見真似で上手くいくほど、簡単なプレーじゃないんだけどなぁ……。
シュートが入ったのは幸運もあっただろうけど、一連の動きにはまったく淀みが無かった。
この人の運動神経とセンスには、ホント驚かされる。
「さぁ、ディフェンスだ! 一本止めるぞ!」
環さんが声を張り上げる。
普段からして表情に乏しい人だけど、その顔はわずかに紅潮していた。
ようやく一本決めたことで、以外にも昂ぶっているのかもしれない。
得点の喜びもつかの間、英修の選手達が攻め上がってくる。
今度は英修のオフェンスを受ける番だ。
そのディフェンスにも、第1Qからの変化がある。
ボールを持ちあがる相手のポイントガード、初瀬巡マークに付くのは私。
そしてもう一人。
これまで環さんがマークしていた相手のセンター、#34 リタ・イドバーエヨバには飛鳥さんが付く。
私と葵、環さんと飛鳥さんのマークを入れ替えた形。
初瀬の前、じりじりと彼女との距離を詰めていく。
「愚かだな」
近づく私に、初瀬が吐き捨てるように言う。
「マークを変えたぐらいで、リタを止められると思ってるのか?」
「どうでしょね……それも……」
初瀬が右、左とドリブルでボールを動かす。
「やってみなくちゃ分からないっ!」
初瀬がドライブを仕掛ける。
横ステップで、その進路を塞ぐと、相手はくるりとターン。
ボールを引き出すように顔を出した#7へパスを出した。
#7には葵が付く。
相手が変わっても、葵にとって高さのミスマッチは解消されない。
#7は、その葵の頭上を越えるパス。
パターン通りの攻撃で、ハイポストにポジションを取る#34にボールが入った。
隙あらばターンする機会を伺う#34の背中を、そうはさせまいと飛鳥さんが全身で受け止める。力押しにもギリギリ負けていない。
そこへ、環さんが寄せる。
二人で挟むように#34を囲み、ボールを奪おうと手を伸ばす。
「出せ! リタ!」
初瀬が指示を飛ばすと、#34は、ボールを持つその長い手を頭上高く伸ばし、周囲を見る。
やがて、完全にフリーとなった#8を見つける。
本来、環さんがマークを担当する相手だ。
#34から#8へと、天から落とすようなパスが出る。
#34からボールが離れるや、一転して環さんは#8のマークへと戻る。
ゴール下へ走り込んだ#8がそのボールを受けシュート体勢を作るが――。
「!?」
その手から離れるボールに、身体を伸ばした環さんが手を伸ばす。
わずかに触れたか、軌道の変わったシュートは、リングに弾かれた。
「リバウンド!」
落ちてくるボールに両チームの選手が群がる。
リバウンドを取ったのは、好位置をキープした飛鳥さんだった。
「飛鳥っ!」
相手の追撃の手を凌ぎ、飛鳥さんは近くにいた千秋にボールを預ける。
「楓っ!」
ボールは千秋さんから私へ。
私に寄せる#1初瀬がスティールを狙うが、一歩早く前に出てそれを阻止。
「そっこ――!」
葵の指示を聞くよりも早く、ボールを得た私は、くるりと反転してドリブルを開始。
下がりながら、必死に食らいついてくる初瀬巡を片手で制し、スピードに乗る。
次の一歩で置き去りにするし、完全に抜け出した。
こうなれば私の得点パターンだ。
フロントコートには、素早く帰陣したディフェンスが待ち構えているが、関係ない。
一人、二人と躱し、シュートを決める。
23-31。
連続ポイントで。点差を再び一桁台に戻す。
英修も黙ってはいない。
再び、#34を起点としたポストプレーから、今度は強引なターンで仕掛ける。
食い下がる飛鳥さんを無理やり下し、ゴール下からのシュートを決め返してきた。
そこからは、一進一退の攻防が続く。
すばる高が点を取れば、英修が取り返し。
英修がすばる高の得点を阻止すれば、負けじとすばる高が守りきる。
すばるが善戦している、といって良い展開だ。
ディフェンス時、#34に対しては、飛鳥さんと環さん、二人で対応する。
飛鳥さんが先生から託された指示は#34にターンをさせない事、これだけだ。
#34はその圧倒的な高さとパワーで、英修の攻撃の起点となるが、プレーのパターンは少ない。ハイポストかローポストでボールを受けて、味方にパスを出すか、ターンしてイージーショットを狙うか。
そのパターンの内、失点に直結するターンからのプレーを抑える。
それだけに飛鳥さんを専念させる。
パワー勝負なら、飛鳥さんも負けていない。
加えて、ボールが入った時には必ずもう一人がダブルチームに行く。
その役割を主に担うのが環さんだ。
簡単に言えば、飛鳥さんを#34のマークに専念させ、環さんが#8と#34の両方をカバーする。
それでも#34を完全に抑える事は出来ないが、第1Qに比べてディフェンスは格段に安定した。
すばる高がじわじわと、その点差を詰めていく。
――そして。
すばる高ボールのオフェンス。
葵がフロントコートへとボールを運ぶと、すばる高の5人は全員がアウトサイドにポジションを取る。
英修はオールコートプレスがハマらないと見切ったか、第2Qからは通常のハーフコートディフェンスに切り替えている。
私には相変わらず、#1初瀬がフェイスガードで付く。
タイトなマークが付く私をフリーにする為、飛鳥さんがスクリーンをかけてくれる。
それを利用し、マークから逃れた隙に、パスが来る。
「スライド!」
すぐに#1が私に付き直す。
五人全員がアウトサイドに出ているお蔭で、中にスペースが生まれていた。
一対一が仕掛けやすい状況。
ボールを受けると、すぐにドリブルを開始。
クロスオーバーで揺さぶり、ドライブで切り込む。
「ヘルプ!」
スリーポイントラインを越え、中に侵入すると、すぐにヘルプのディフェンスが体を寄せてくる。
ディフェンスとディフェンスの間に体をねじ込むように捻り、さらに踏み込んでいく。
そのままボールを持ち、ステップを踏む。
ゴール下、最後の砦として守る#34が、その長い手をこちらに伸ばしてくるがーー。
そのブロックの手を掻い潜り、ボールをリングに向けて送り出す。
ボールはやがて、音を立ててネットを揺らした。
「っしゃっ!」
小さくガッツポーズ。
33-37。
これで2ゴール差だ。
ブ――ッ。
ブザーが鳴る。
英修が、後半2回目のタイムアウトを取った。
**********
「よーしよしっ! 作戦大成功ねっ!」
第2Qが終了し、ハーフタイムを迎えた。
スコアは41-44。
すばる高が遂に3点差まで詰め寄ったのだ。
流れは完全にウチのペースだ。
インターバルの時と違って、控室での雰囲気も明るい。
「あ゛―、しんどー」
「大丈夫? お姉ちゃん」
「大丈夫大丈夫、まだまだいけるっ」
千春が姉の千秋に声を掛ける。
第2Qの攻勢には、千秋の貢献も大きい。
アウトサイドでのプレーに専念してからの千秋はシュートが当たり、2本の3ポイントを沈めている。
「今頃相手の1番、怒り狂ってるかもねー」
「あいつの顔見た? マジ真っ赤にしてキレてたし」
「見た見た、マジ笑だわー!」
夏希さんと理香さん、二年のギャルコンビが、相手を揶揄するように笑う。
……暢気ですね、あなた達は。
相手の1番、ポイントガードの初瀬は、第2Qの出来にかなりフラストレーションを溜めているようだった。
私の相手に手を焼き、リズムを崩したのか、シュートも当たっていない。
彼女のシュートがことごとく入らなかったことも、英修が第2Qで失速した要因だ。
チームとしても誤算だっただろう。
「環、飛鳥。 二人と良く頑張ったわっ」
麻木先生が二人を労う。
第2Qは何よりも、この二人の活躍が大きい。
環さんは第1Qとは打って変わり、攻守に存在感のあるプレーを見せ、飛鳥さんは体を張って相手の留学生を止めてくれた。
「ただ、飛鳥。 もうファウル3つだから気を付けて頂戴っ。 環も。 今あなた達が抜けるのはマズイからね」
麻木先生の言うとおり、相手の攻撃を凌ぐ代償として、二人はファウルが嵩んでいた。
飛鳥さんが3つ、環さんが2つ。
バスケでは、1人が合計5つのファウルを取られると、5ファウルで退場処分となる。
チームを支える二人がこの試合から抜けてしまうと、ウチはかなり苦しくなる。
「楓ちゃんも、大丈夫ですぅ? すごいいっぱい動いてたけど……」
「……(コクッコクッ)」
私を心配してか、同じ一年のブンちゃんと静ちゃんが声を掛けてくれる。
ブンちゃんの言うとおり、相手のフェイスガードを剥がすために、私はいつも以上の運動量を強いられていた。 だけど……。
「全然っ。 むしろ身体が温まってて絶好調って感じ?」
強がりで言っているワケではない。
本当に調子が良かった。
一試合目を適度に力抜いてプレーしたのが良かったのかもしれない。
いい感じにエンジンがかかった状態というか。
「さぁさぁ、この調子で後半もいくわよっ!」
ハーフタイムの終わりが近づき、麻木先生がハイテンションで盛り立てる。
後半残り20分。
このままいければ、充分に勝機はある。
さて、いくか。
そう思って立ち上がった時だった。
――あれ?
異変を感じる。
足が、腕が、全身がダルい。
なんで? さっきまでは、なんともなかったのに……。
身体に感じる違和感に動揺する。
すると、心臓の音がドクドクと音を立てていることに気付く。
その音を自覚してしまうと、益々鳴り止まずに大きくなっていく。
「……楓?」
私の様子を不審に思ったのか、千春が声を掛けてくる。
「どーした?」
「……別に? 何か変?」
「いや、変なのはいつもの事だけど」
「おい!」
そんなやりとりを交わすと、鳴り響いていた音がやわらいでいった。
大丈夫。
まだいける。
そう自分に言い聞かせ、私は歩みを進めた。
**********
後半開始に備え、会場へと戻る。
一足先に、英修の選手たちが戻ってきていた。
後半の指示を聞いているのか、コーチを囲む一団の中には、5人のユニフォーム姿の選手達が見える。
やがて英修の選手たちは円陣を組み、体育館に響く高い掛け声をあげた。
その内の一人に、自然と目が留まる。
すらりとした均整の取れた体型に、「13」と表記された英修のユニフォーム。
後ろ姿から除く横顔からは、大人びた印象を受ける。
円陣を解き、ばらばらとユニフォーム姿の5人がコートへと出てくる。
13番を付けた選手と、目が合った。
すると、大人びた表情は一転、無邪気で幼い表情に変わる。
忘れていた。
英修にはまだ、チカちゃんがいるんだ。
斎川睦。
彼女がついに、コートへと出てきた。




