表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lay-up girls レイアップ・ガールズ  作者: 日野かさね
Lay-up girls 2
36/85

034 感想

 

 7分というプレータイムは短く、あっという間に過ぎた。


 ちゃんとした試合なら、時計はプレー毎に止められるが、ここではランニングタイムなので、余計に早く感じる。


 結果としてはエイジさんチームの勝利。

 勝ったエイジさんチームがそのままコートに残り、抜け番だったサイゾーさんチームが私たちに変わってコートに入る。


 サイゾーさんチームは一人少ないので、イト君さんが指名されてサイゾー君チームに入るようだ。


「な、なぜオレwwww」

「ダイエットだダイエット、ほれ、行くぞ」


 指名されたイト君さんが、ぜぇぜぇと肩で息しながら抗議していたが、サイゾーチームのメンバーに無理やりコートに引っ張られていく。


 あんな感じのイト君さんだが、コートの中ではめちゃめちゃ有能だった。

 特にゴール下では無双状態。


 ポジション取りが巧みで、ディフェンスリバウンドはほぼ100%勝っていたし、オフェンスでもスクリーンやポストプレイを精力的にこなしていた。

 見た目に反して動きが軽快で、ボールハンドリングも滅茶苦茶良かった。


 イト君さんだけじゃなく、他のチームメイトも例外なくレベルが高い。

 こちらがやりたいプレーを瞬時に察して動いてくれるので、ビックリするぐらいにやりやすかった。

 勿論、私に気を遣ってくれたというのもあるだろうけど。


 全体的に守備は緩め。

 だけどそれは多分、激しく当たって怪我とかしないようにって事だと思う。

 守備がキツいと、必要以上に熱くなる人もいるし、エキサイトしやすいからね……。

 やっぱり攻撃してる時が一番楽しいからね。


 エイジさんチームとサイゾーさんチームのゲームが開始。

 私は、得点係をしながら観戦。


 ジャンプボールは、やはりイト君さんがほとんど飛ばず、エイジさんチームのボールとなった。


 エイジさんがボールを掴むと、すぐにパスを出す。

 そのパスをチカさんが受け、早速仕掛ける。


 サイゾーさんチームのディフェンス体勢が整う前に、ドリブルでゴール下まで持ち込み、スピードに乗ったレイアップシュート。あっという間に2点を奪った。


 エイジさんチームで目をひくのはこの二人。

 チカさんとエイジさんだ。


 私とマッチアップした時の印象で言えば、チカさんは速くて上手いタイプ。

 ボールを持った時のアイディアが豊富で、容易に捕まえられない。

 そのかわり守備の方はあまりやる気がないのか、全然だったけど。


 一番驚いたのは、エイジさんだ。

 何あの人?

 上手過ぎるんだけど。


 エイジさんは他の男性メンバーと比べて、背が高い方じゃない。

 173cmくらいかな?多分。

 私と同じくらいと思う。


 高さで勝負するタイプではない。

 だけど、それを補ってお釣りがくるほど、プレーの質が周りと異なる。


 1つ1つのプレーに無駄が無くて正確。

 動きに淀みが無いというか、凄く洗練されていた。

 加えて、視野が広い。

 え、そこ通すの!?みたいなパスがばんばん出てくる。


 感じでいうと、ニコさんに近い。

 こないだ練習試合で対戦した明青学院のポイントガード、二宮二葉の男版って感じ。


 私の感覚で言えば、最高級のガードだ。

 今まで観たどの選手よりも上手いと思う。


 そんなメンバーに囲まれてのプレーは、存外に楽しかった。


 またやりたい。

 早く私たちの出番にならないかなぁ……。



 **********


 エイジさんチームとサイゾーさんチームの試合が終了。

 結果はまたもやエイジさんチームの勝ち。


 両チームのメンバーがぞろぞろとコートを出る。

 どうやらここで一旦、小休止らしい。


「あー、ぢがれたぁ……」

 チカさんがそう言いながら、私の傍に来てペタリと床に座る。


 他の人たちも壁際に置いた飲み物やタオルを手に取って思い思いに休みだした。



 その中でエイジさんだけが一人、コートの中でボールと戯れている。



 コートの中で対戦してた時には「上手いなぁ」くらいにか感じなかったけど、外からエイジさんのプレーを観てて、鳥肌が立った。


 ……多分だけどあの人、意図的にゲーム内容を調整してる。


 皆が楽しめるように、パスの配給やポジショニングで上手くバランス取っているように思えた。

 その上で、しっかりゲームには勝つ。


 子供の中に混じった大人が、プレーの差し加減であたかも好ゲームを演出しているような……そんな感じがした。



 一人だけ、別次元のゲームを楽しんでいるよう。


 何者なんだろう……あの人。


 俄然、興味が湧く。

 ……マッチアップしてみたいな……。


 そう思うと、自然と足がエイジさんのところに向いていた。


「あれれ? 楓ちゃん……?」


 背中からチカさんの声が聞こえた気がしたが、構わずエイジさんの元へ。


「……?」


 近くに寄ると、エイジさんが不思議そうな目で私を見る。


「あ、あの……」

「……?」


 エイジさんは明らかに戸惑った表情を浮かべている。

 何も考えずに来てしまった……。

 何してんだ?私は。


 こ、ここまで来たら言うしかない。


 私と二人で一対一をやってください!

 思いっきり頭を下げて、伝えるんだ。


「わ、私と……私とヤって下さい!」


 思いっきり頭を下げて、そう伝える。


 シン……と、一瞬の静寂。


 遅れて、にわかにざわつきだす……。


 あれ?

 今私、何て言った……?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ