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プロローグ
シチリア大陸の中央部。中原と呼ばれるその場所の中心にその国はある。
名をミラルカ王国。「大陸一のぶどう酒」と近隣諸国から言われているほどぶどう酒の製造が盛んな小国だ。
が、特筆すべき点はそれだけで他はごく平凡とした、どこにでもある小国と変わりない。
昔が昔―有名な学者を多く輩出していた―なだけに人々から言わせてみれば「酒の造りすぎで酔っ払ったんじゃないですか」、だそうだ。
そんな『酔っ払いの国』ミラルカ王国だが、後にその名を大陸中にとどろかせることとなる。
―時代は激変の刻。
獅子の紋章を持つ王家はゆっくりとその牙を研ぎ始めるのだった。




