---プロローグ---
Bruise Travellerという小説から一説。
『過去に戻れるとしても過去に戻ってはならない、過去を変えてはいけない
何をしても後悔を生んでしまうから 忘れてはいけない我々は人間なのだから』
幸せはいつまで続くか分からない 脆く簡単に潰されてしまう。
その幸せが大きければ大きいほど壊れた時のダメージは計り知れない
たが、世の中は待ってはくれない、進み続ける動けずにいる者を取り残して
ピンポーン! ぉ-ぃ勇...--??
家賃3万のボロアパートに響くチャイム
ん?誰だ?今月の家賃は払った..はず...だよな??
本当なら こんな真夜中に誰じゃーボケェーー と言いたい所だが勘弁してやる。
安眠が俺を呼んでいる。お前じゃない。
ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピポピポ
誰かがチャイムを連打している どうやら寝かせるつもりはないらしい。
やれやれ、その面を拝んでやる そしてできる事なら一発顔にウルトラ級のをプレゼントしてやろう。
ちなみにドアスコープなんて大層な物このボロアパートにはないからな。欲しけりゃキリ抜き持ってきな
恐る恐るドアを開けると見慣れた小柄の男が立っていた。親友だ
いや、友達なのかもしれない 唯一の
「なんだ、マコちゃんじゃん こんな時間になんか用?」
名前は 国枝 真 国枝財閥の本家一人息子で幼馴染。俺の恩人だ
国枝財閥には一人身だった俺を援助してくれたデカい借りがある。無下にはできない
「なぁ勇、今日があれから4年だろ? そろそろ立ち止まるの辞めようぜ 一緒に歩いてやるからよ」
そう、4年前までは完璧だった 幸せだった 一人じゃなかった。
幸せなひと時が少しの悪意で簡単に壊れてしまうのを知った。
4年間忘れようとしたけど忘れられなかった何もできなかった自分が、弱い自分が憎い 力が欲しい。
現実は残酷だ 今はただの引きこもり 学校に行ってれば中学2年..だったかな?
「勇、今の自分を捨てろ 新しいお前になれ イメチェンだ それに俺は恩人だろ?
下で待ってる。 準備したらちゃんとこいよ?」
強引に話を進められ 成す術もなく話が決まってしまった。
「あーくそ。そのワードはズルいぞ ...仕方ない 丁度、後悔と今の自分にはウンザリしていた所だ」
下には、このボロアパートに合わない高級車が止まっている。
さしずめ車は馬でマコちゃんは王子様ってとこだな
「ちゃんとエスコートしてくれよ王子様。」
その後の俺は それはもうボロ雑巾のように絞られ 洗濯物のように干され
カリスマ美容師?? なにそれ おいしいの?
1着5万する肌着?? ウチの家賃より高いんですけど
そんなこんなで家に帰る頃には別人になった気がした。 前に進まなきゃ
「マコちゃん 今日はありがと、元気でた。」
本当なら今日は何もせずに過ごしていただろう。いや、今日だからこそ来てくれたのかも知れない。
別れ際マコちゃんから何かが入った小包を渡された。
「これ、プレゼント 躊躇すると逆に痛いぞ。」
マコちゃんを見送った後、中身を開けて確認すると ピアッサーというピアスの穴をあける器具が入っていた。
今までの自分ならせっかく生んでくれた体に無駄に傷をつけるなど言語道断...だったはず
だが、俺は変わると決めた。 その為なら穴の一つや二つなどくれてやろう。
俺は思い切って耳にピアッサーを付け 躊躇いもなく 力を入れた。
-ガチャ-。 耳に鋭い痛みが走ったのを感じた。 それと同時に視界が真っ暗に。
ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピポピポ
聞いた事がある音がする。 誰かがベルを連打している
家賃3万のボロアパートのチャイムが鳴った。