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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

眠る

作者: 杉村 衣水

閲覧ありがとうございます。

明日の約束をするのも嫌がる人間に、どうして将来の話が出来ただろうか。

目が覚めたら居なくなっている妄想に囚われて、彼が隣で眠る時、俺はいつも呼吸が浅かった。

夜中に何度も目覚めては体温を確認する。

数時間前、あんなに肌に触れて奥まで暴いたのに。

不安になる。そんな自分がまた嫌になる。

眠りの波に押されながら、彼の骨ばった背中に額を押し付けた。


一体、何がそんなに不安なのだろう。と考えて、未来が見えないからだと思いつく。

今が有るだけだ。瞬間だけ。

明日どうしたいかと訊いても、「今はとりあえず、」と俺の背中を抱きしめ返す。

愛されていない訳では無い。そういう不安じゃない。


「誓志、背中くすぐったい」


寝ぼけた不満声がくぐもって聞こえてきた。

背中を逸らして逃げようとする男の背骨を追って、前髪をわざとらしく擦り付けるとすねをかかとで小突かれる。

しばらくじゃれあうと、彼は次第に笑い声を立てて「もう、寝らんないよ」と呟いた。


「どうしたの?」


彼はごろりと寝返りを打ち、俺と目線を合わせた。

白目がちな切れ長の瞳は、笑うと目尻にシワが寄って途端に柔らかい雰囲気になる。

俺は彼の笑顔が好きで、この表情をされるととても得をした気分になった。


「いや、さっきの健、可愛かったなって」


「はー、なにいってんの」


今が有れば良いのかもしれない。

今だけ考えてただ幸せでいれば良いのかもしれない。

物事を考えれば心が死に、考えなければ感情が死んでいく。


「誓志?」


「明日、俺の目が覚めるまで隣に居てよ」


彼は一瞬眉を下げて、「わからないよ」と言った。

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