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第61話信頼から裏切りへ 後編

 俺とモカの目の前に現れた予想外の人物。今まで信頼していた人物だからこそ、そのショックは大きかった。


「ご協力感謝します、島長」


「お主に手を貸せるのはこれが一度きりじゃ。約束は守ってくれるんじゃろ?」


「ええ勿論」


 当然のように会話をするカルマとカグヤ。その間に俺とモカは抵抗するまもなく兵に捕えられてしまう。


「カグヤさん、説明してください! どうしてカルマなんかに俺達を売ったんですか!」


「お主達には申し訳ない事をしたのは自覚しておる。しかしこれも仕方がない事なのじゃ」


「何が仕方がないのか俺には分かりません!」


「黙れ獣人もどきが。お前たち二人にはこれから我々についてきてもらう」


 囚われた状態で、俺とモカはカルマと共に連れて行かれる。こんな時に捕まるわけにもいかないのに、まさか裏切り者が現れるなんて想定外だ。


(くそ、よりにもよってまさかカグヤさんが裏切るなんて)


 味方の援軍も望めないこの状況で、今俺にできる事は……。


「モカ、勢いよくしゃがめ!」


「え? う、うん!」


 モカはその場で勢いよくしゃがみこんだ。一瞬油断していたのか、モカをとらえていた兵士がバランスを崩した。


「これでも喰らえ!」


 俺は囚われたままバランスを崩した兵士にサマーソルトに近い技を顔面めがけて蹴り上げる。俺の蹴りを食らった兵士は、モカを開放してしまう。


「今だモカ、そのままお前だけでも逃げろ!」


「でもカエデ君は?」


「俺は後で追いつくから先に戻るんだ!」


 モカは俺の指示した通りにうまく敵を潜り抜けて逃げ出す。とりあえず果たすべき目標は果たした。カルマ達の本当の狙いは恐らくモカにある。だからこそここでは彼女を逃がしたのであった。あとは彼女自身の戦闘力をもってすれば、無事ポカルミ村まで辿り着けるはずだ。


(モカはこれで大丈夫だな。あとは……)


「ちっ、逃がすか。追え!」


「させるか!」


 俺は兵士を引きはがし、モカが逃げて行った道を塞ぐ。敵の数は目では確認できないほどの数だ。一人では絶対にかなわないだろう。だがその兵士たちをどかしてあえて先頭に立ったのはカルマだった。彼は俺に問う。


「何故貴様は彼女を守ろうとする。お前とは無関係だろ」


「無関係じゃない。あいつはもう立派な俺達の仲間だ。お前こそどうしてそこまでモカにこだわろうとする」


「そんなのお前が知ってどうなる」


 初めてまともに対峙する俺とカルマ。かなり俺にとって不利な状況ではあるが、少しでも時間を稼ぐことができれば、必ず勝機が見えてくるはずだ。


「お前達の本当の狙いはモカではなくて、その先にあるものなんだろ。それなのにどうしてお前はそこまでして彼女を狙う」


「その口ぶりだとどうやら真の目的に気づいているみたいだな、お前」


「ああ。お前達反乱軍の本当の狙いは……」


 ーー俺が彼らの真の目的を言おうとしたその瞬間


 突然島に大きな揺れが発生した。


「何だ、何が起こったんだ」


 想定外の出来事にカルマは動揺する。俺はその隙に、一気に駆け出した。


「待て!」


 カルマの声が遠くに聞こえるが、揺れのせいで追ってはこれない。俺はというと、地震などもろともせずにとにかく走った。


(こういう時日本で暮らしていてよかったと思えるけど、あんまり嬉しくないよな)


 恐らく彼らはこの揺れには慣れていない。だが俺からしたら、この揺れ位なら何とでも……。


「妾の事を忘れてはおらぬか、カエデ」


 だがその逃げている途中で姿が見えなかったカグヤと出くわす。ある意味最も最悪のタイミングだった。


「どうして俺達の邪魔をするんですか、カグヤさん!」


「こちらにも事情があるのじゃ。このユグノラ島を守るためにも、お主を逃がすわけにはいかぬ」


「どうしてそんな……」


 この世界に俺を呼んだのも、俺やルチリアに過去の真実を教えてくれたのは彼女だった。自分で記憶を取り戻した分があろうがなかろうが、キッカケを作ったのは間違いない。


 だから信じていたのに。


「事情は俺には分かりませんが、もしここで俺を邪魔するなら、容赦はしませんよ」


「その覚悟で妾もここに立ってある。かかって来るがよい、カエデ!」


 起きて欲しくはなかった戦いが幕を開いた。


 ■□■□■□

 カエデ君のおかげで窮地から無事逃げ出す事はできた私は追っ手を警戒しながらポカルミ村へと帰還した。


「カエデが一人で残っているんですか?」


 私は帰還するなり皆を集めて先ほど起きたことを話した。


「なら今すぐに助けに行かないと」


「待ってくださいポチ。今動くのは危険です」


「どうしてですか? このままだとカエデが」


「分かっています、分かっていますけど今この場所から出るのも危険かもしれません」


「どういう意味ですかそれ」


 私はこの島長のカグヤさんの事を話した。それを聞いてそれぞれが驚くなか、シズクちゃんだけは様子が違った。


「カエデとモカさんはその島長さんに出会ったんだよね」


「そうですけど」


「私さっきその島長さんに出会ったよ」


「それっていつですか?」


「本当ついさっきの話。モカさんに戻って来る直前に」


 私が戻って来る前というと、既に私達があの場所で出会った頃になる。つまりあの人は同じ時間帯に二人存在していたことになる。それってつまり……。


「どちらかが偽物という事ですか」


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