↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/73

第59話全てはここから始まる

 ルチリアの一連の事件から一ヶ月後。俺達はモカの国を取り戻すためにコツコツと確実に準備を進めていた。


「それにしてもすっかり槍の使い方に慣れたな、カエデ」


「一ヶ月みっちり練習したからな。ポチ達も協力してくれたから、感謝してるよ」


「あとは私の黒魔術をぉ」


「それだけは勘弁してください」


「な、なんで敬語なんですかぁ」


 この一ヶ月、俺はルチリアの意志を継ぐために槍術を必死に学んだ。それにはポチやミルフィーナが協力してくれたので、一ヶ月前と比べ物にならないくらい槍を使いこなせるようになった。まあ、覚えるにあたって一番力になったのは、


「まさかこんな本を残しているなんてな。ルチリア」


「私も知らなかったよ。もしかして未来の誰かに残そうとしていたのかな」


「そうかもな。ここまで事細かく書いていたら、誰かにみっちり教えるつもりだったのかもしれない」


 ルチリアの部屋から出てきた一冊の本。そこには槍術の基礎から、応用まで全てが事細かく記されていて、俺はこれを参照にしていた。


「ただいま、楓」


「お、帰ってきたか雫」


 そんな会話をしていると、村から出てた雫が帰ってくる。一ヶ月前だったら彼女を村の外に出すのも危険だと思っていたが、今の彼女は違う。


「今日も修行してたのか?」


「うん」


 雫はポチから剣術を学び、俺と同時進行で鍛錬を重ねていた。それよりも前から少しずつ鍛えてはいたのだが、本格的に鍛え始めたキッカケになったのはやはりルチリアの一件だったと思われる。それは俺も同じで、もうあんな悲劇を生み出さないためにも、この一ヶ月徹底的に鍛え上げてきた。


「まさかシズクが、私の教えることを全てマスターするとは思わなかったよ」


「雫は昔から飲み込みが早いからな。多分俺以上に強くなっていると思うよ」


「これは未来に期待できますねぇ」


「ねえ三人とも、忘れているかわざとか知らないけど、私一応女の子だから」


「漢の子と書いて女の子って読むんだろ?」


「楓あとで覚えておきなさいよ」


 と、まあそんな冗談は置いておくとして、俺達は確実に準備を進めてきた。モカの国を取り戻すにあたって戦いだけは避けるつもりではあったものの、俺はルチリアの一件の借りだけは返さなければならない。

 彼らが犯人という確信はないが、俺達のことを知っていて、尚且つ襲撃してくるやつなんてこの世界では今の所限られている。


「あれ、楓どこか行くの?」


「モカがカグヤさんに会いに行っているんだよ。それの迎えに」


「そういえば行きも送っていったんだっけ?」


「そう。本当は俺も話して行きたかったんだけど、モカが二人で話したいからって。時間的にそろそろ終わっていると思うから、ちょっと行ってくる」


 ■□■□■□

 雫が村を出て行った際に、彼女を守る為にカグヤさんが戦ってくれ、俺達はその結果を見ずに村に帰ってきた。その為その後どうなったのか心配していたが、その無事はルチリアの一件から数日後に確認された。


『……心配かけてしまって、すまぬのう。こう見えて妾も強いから簡単には倒れぬ』


『いや、そうは言いますけど、一度くらい顔を出してくれればよかったじゃないですか』


『いやぁ、あの後色々あってのう。お主達もそうじゃろ?』


『まあ、そうですけど』


『よく乗り越えたのう。カエデ』


『俺はまだ乗り越えられていませんよ、何も』


 雫もカグヤさんが の事を心配していたので、とりあえず一安心できた。ただ、ルチリアは結局二度と会うことができなくなってしまった事を考えると、少しだけ寂しい。


(それにしてもモカは、カグヤさんと二人きりで何を話したんだろ)


 森の中を移動しながらそんな事を考える。モカはこの一カ月、様々な事を調べる為にあらゆる本を読んでいた。主になるのは、自分の国の事で、先日書庫を漁っていた時に見つけたあの本も分析していた。


(この一ヶ月、一番無理していたのはモカだよなやっぱり)


 ルチリアの一件を誰よりも責任を感じていて、実は俺がなんとか立ち上がってから数日、今度はモカが閉じこもってしまった。


(無理もないよな。今回の件、責任は自分にあるって考えるよ普通)


 それを分かっていた俺達は、しばらく彼女を一人にして、モカが部屋から出てくるのをただ待っていた。


『カエデ君、私ルチリアさんの為にも必ず全てを取り戻します。だから……力を貸してください』


 決意を固めて部屋を出てきたモカが最初に発した言葉がそれだった。それに対して俺は勿論と答えた。そしてこの日をキッカケにこの一ヶ月が幕をあける事になったのだった。


「あ、カエデ君。わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます」


「待たせたか?」


「いえ。私も先ほど終わったばかりでしたので」


「それならよかった」


 行きの時に送った場所と同じ場所へ着くと、モカが既に待っていた。どうやらカグヤさんとは既に別れており、彼女の姿はなかった。


「カエデ君、村へ帰る前に少しお茶しませんか?」


「別に構わないけど、どうしたんだよいきなり」


「ようやくラビリンズ王国の事で分かった事があったので、お話ししようと思って」


「分かった事?」


「詳しくは後でお話しします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。