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08.~職業は召喚師?モンスターテイマー?~

書き溜めストックラストです。

 

 

 

「え~っと、たぶんここを左かな?」


「いえ、もうひとつ向こうの大通りではありませんか?」


「そう? じゃあそっちに行ってみようか」


「はい」



 僕とティファニアは無事に冒険者ギルドがあると思われる、地図で示された街にやってこられた。

 まああの城門から一本道だったから、街までは迷う余地なんて無かったけど。



 ざわざわ、ざわ、ざわざわ、ざわ。



「……なんだか、さっきからメチャクチャ見られてない? 僕達?」


「そうですね。きっと主の服装が原因じゃないでしょうか? この世界に学生服と同じ物があるとは思えませんし」


「そっか~、そういう訳か~」



 確かに、僕の服装は明らかに浮いていた。

 町並みとかを見る限り、ヨーロッパの古い町並みっぽいし、洋服に似た服を着てる人はいるけど、僕みたいな学ランは誰一人としていない。

 当たり前だけど。



「それに視線の中に、敵対するような視線は感じませんから、放置しておいても問題無いでしょう」


「そんなことまでわかるの? すごいね~、僕には全然わからないや」



 何となく周りを見渡してみる。



 サッ、サッ、ササッ!



 すると街の人達は全員、僕と目を合わせないように下を向いたり明後日の方向に顔を向け、そそくさとその場から去って行ってしまった。



「―――っ!?」


「あっ、どうもすみません」



 ちょっとキョロキョロしすぎていて、前方不注意だった。

 脇道から出てきた小さい子供連れの女の人とぶつかりそうになってしまう。



「ねぇねぇおにいちゃん」


「ん? なんだい?」



 僕が子供の母親と思われる女の人に頭を下げていたら、子供が僕に話しかけてきた。

 髪は短かったけど、声を聞いて子供は女の子だとわかった。

 


「そっちのおねーちゃんなんでせなかからはねがはえてるの?」


「こ、こら! そんなこと聞くんじゃありません!」


「え~。でもあたしはじめてみたよ。てんしさまみたいだよね、おかあさん」



 子供が疑問について聞いたら、その子のお母さんが怒って質問するんじゃないとしかりつけていた。

 何でだろうと不思議に思っていたら、周りの人達のざわめきが一段階大きくなって、さっきまで聞こえなかったひそひそ話が風に乗って聞こえてきた。



『おいっ、あの子聞いたぞっ』


『子供だから怖い物知らずなんだろうさ』


『あの娘、人なの? でも羽が生えてるし……新種のモンスターなのかしら』


『でも人型のモンスターっているにいるけど、あそこまで人間に近いのなんて見たことも聞いたこともないわよ』


『あの隣にいる子供も、見たことない身なりだし、触らぬ神に祟りなしだ』



 大体こんな感じの話が聞こえてきた。

 そっか、みんなティファニアの外見に驚いてたのか。

 グレガンさんも、そういえば最初に彼女を見た時『種族は何だ?』って聞いてたな。

 ファンタジーっぽい異世界でも、背中から翼が生えた人っていないのか。



「ねぇねぇ~、なんではねがはえてるの~?」


「それはね。私が天使だからよ」



 ティファニアが女の子と目線を合わせるように屈んで、思わず見惚れてしまうような笑顔を浮かべて女の子に答えた。



『『『―――(ぽ~)』』』



 訂正。

 さっきまで腫れ物でも扱うような態度だった人々だが、男女問わず彼女の笑顔を見て、視線が釘付けになっている。

 目の中にハートマークが浮き出ていそうな感じだった。



「おねーちゃんほんもののてんしさまなのっ!?」


「ええ、本物よ。その証拠に――ほら」


「わあああ! すごいっすごーーいっ!」



 ティファニアは天使の証拠として、翼を広げて飛んでみせた。

 バサッバサッと羽ばたく度に、光り輝く鳥の羽が少量待っている。

 だけどその羽は演出なのか、女の子が手で触ったり地面に着地すると幻のように消えていった。



「ね? どうだった」


「うん! おねーちゃんはてんしさまだねっ、とってもきれいだった!」


「うふふ、ありがとう。そういえば私達、今冒険者ギルドに行こうとしているの。お嬢ちゃんギルドの場所知ってる?」


「あたししってるよ! えっとね~―――」



 ティファニア上手い!

 流れるような会話でギルドの場所を聞き出すことに成功した。

 そんなことしなくても、普通に町の人に聞いても良かったと思うけど。



「―――だよ。わかった?」


「ええ、わかったわ。ありがとう」


「えへへへ~、じゃあまたね~」



 ティファニアがギルドへの道順を聞き終わって、最後に女の子の頭を撫でてあげると、女の子は嬉しそうに笑っていた。

 それを横で見ていて僕までつられて笑みがこぼれる。



 女の子はティファニアスマイル(男女関係なく魅了効果があると見た!)を間近で見てしまい、固まったように動かなかったお母さんの手を引っ張って、無理矢理動かすとそのままどこかに行ってしまった。

 僕とティファニアは手を振って見送る。



「では参りましょう。やはりもう一本向こうの通りを、左に曲がるようです」


「はいよ~」



 気を取り直して僕達はギルドを目指した。







 暫く歩くと、これがそうじゃね?と思う大きな建物が見えてきた。

 その建物の前まで行って、看板を見てみる。



「……うん! 読めないな!」


「私も読めません」



 看板には地図に書いてあった文字と似た文字が書いてあるので、きっとこの世界の文字で何かしらの言葉が書いてあることはわかる。

 けど、僕もティファニアも言葉は話せるのに文字は読めなかった。

 


 なんでこんな重要なことに今まで気付かなかったんだろう、僕。

 地図を開いた時にわかるだろそれくらい。

 いや、事実今の今まで気付かなかったんだけどね?



「とりあえず入ってみようか。言葉は通じるんだから、『ここが冒険者ギルドで合ってますか?』って直接中にいる人に聞けばいいよ」


「そうですね。では入りましょう」



 僕は建物の扉に手をかけた。



 キィーーー。



 木が擦れる音がして扉が開き、建物の中の様子が見えた。

 中はホテルや旅館のロビーみたいな造りで、入口正面の壁際にカウンター、向かって右手に大きなホワイトボードのような物が沢山立てられていた。

 ここまではなかなかに良い雰囲気だった。

 


 だけどその雰囲気を亜音速でぶちこわす、物々しい様相の人達が向かって左側に沢山いて、せっかくの良い雰囲気が台無しになっていた。

 その人達は普段着っぽい服を着た人から鎧を着込んでいたり、マントみたいなので身を包んでいたり、剣、槍、斧、弓などなど、多種多様な武器で武装していた。



 そして、そんな人達の視線が今さっき建物に入ってきた僕達二人にロックオンされている。



「なんだあいつ? あんな奴このギルドにいたっけ?」


「しらねぇな。それよか横の女! あんな美人見たことねぇぜっ」


「ん? ちょっと待て。あの女、背中から羽が生えてるぞ!?」


「なんじゃありゃ……もしかしてモンスターか?」


「てーことは、あの子供はモンスターテイマーか」


「いや、魔法使いで召喚魔法使いかもしれないね」


「召喚魔法ってそうとう珍しいわよね。私、召喚魔法使いなんて初めて見るわ」



 ここでもいろんな憶測が外野で飛び交っていた。

 街中と違うところと言えば、小声じゃなくて普通の声量で話していて隠す気がないって所かな。



「ティファニア、とりあえずあそこのカウンターに行ってみよう」


「はい、主」



 ティファニアの返事はさっきの女の子と時と比べて、明らかに低い声色だった。

 そして武装している人達のことを警戒するような視線を向けながら僕の後に続いてくる。



「いらっしゃいませ。何かご用でしょうか」


「すみません、ちょっとお尋ねしますが、ここって冒険者ギルドで合ってますか?」


「はい、ここはハミルヴェン王国冒険者ギルド王都支部で合っています」



 ここって王都だったのか。

 全然知らなかった。

 というか、僕ってこの街のこと以前に、この世界のこと全然知らない。

 グレガンさんとカーディナさんに聞いとけば良かった。



「えっと、実はグレガンって人から、ここで冒険者ギルドに登録しろって言われてきたんですけど」


「はい?」


「あ、これその時にもらった手紙です。コレを出しておけって言われてました」


「はあ、拝見致します。………こっこれは!?」



 僕がグレガンさんからもらった手紙を、カウンターの女の人に渡すとものすごく驚かれた。

 女の人の声が大きすぎて、周りにいた人やカウンター内の他の受付の人もこっちに注目している。



「少々お待ち下さいっ、今上の者を読んで参りますのでっ」



 慌てた様子でカウンター奥の扉を開けて、その中へと消えてしまった受付の女の人。

 残された僕とティファニアはとりあえず言われた通り待つことにした。






お読み頂きありがとうございます。


テンプレ万歳。

騎士団総団長が一筆したためた手紙の力を思い知れ!


そして次話もテンプレ展開です。

ギルドに登録しようとしている子供(日本人主人公)が、美人(モンスター疑惑あり)を連れていたりしたら……どうなるでしょう?



↑※予定変更の可能性アリ



次話もお楽しみに^^

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