07.~異世界生活スタート!ー~
ギルドへ行こう!
ゴゴゴゴゴゴ。
バタァーーーン――――。
「では参りましょうか、我が主」
「そうだ、ね」
僕とティファニアの背後で、大きな跳ね橋が引き上げられて、お城へと入るための門は完全に閉鎖された。
堀は深くて、そこには川が流れているようなので、空でも飛べない限り、誰も城壁の向こうへ行くことは出来ないだろうな。
「はあ~……僕、この世界でやっていけるのかな」
「大丈夫ですよ。私が主をお守り致しますから」
「ありがとう。そう言ってくれるだけで嬉しいよ」
「そ、そんなっ、恐縮です~!」
両手を頬に当てて嬉しそうな顔をして、イヤンイヤンと体をクネらせるティファニアに苦笑いを浮かべながら、ついさっきまでいた応接室でのやりとりを思い出していた。
~時間はちょっと遡る~
「おい、カーディナ? カーディナ! おーい!」
「ブツブツ……ブツブツ……ブツブツ」
「駄目だこりゃ、また自分の世界に入り込んじまってる」
グレガンさんが隣のカーディナさんに声をかけたり、肩を掴んで揺さぶったりするのだが反応がない。
ブツブツとずっと何か呟いている。
「すまんなアラタ。こうなっちまうとこっちの世界に戻ってくるのに時間が掛かるんだよ」
「はあ? そうなんですか~」
すまなそうに謝ってくるグレガンさんだが、俺はどう反応したものかわからなくて曖昧な返事をした。
「しかし困ったなー。カーディナが判断してくれないと、お前さんを解放するわけには行かないんだが」
「え? 僕ってもしかして捕まってたんですか?」
驚愕の事実!
僕は異世界にやってきて早々に逮捕されていたっぽい!
「主を拘束? もしそうならば、私が実力行使に出ても構いませんが」
「実力行使って、具体的には何をするの」
「私の力の限りを使って目の前の二人を屠り、この建物も木っ端微塵に。大丈夫です。時間はかけませんし痕跡も残しません」
「おーけーもういいもう十分だよ。そんな物騒なことしないで良いから。頼むからしないで下さいお願いします」
意外とバイオレンスなティファニアだった。
一応『天使』の筈なんだけどな。
「わかりました。主の言う通りに致します」
「何だか知らんが俺は助かったみたいだな」
ホッとしたのかグレガンさんは椅子にさっきよりも深く座り直した。
よく見てみたら額にうっすらと汗をかいてる。
そんなにティファニアの言ったバイオレンスなことが怖かったのかな?
「解放って言うのは詰まるところ手続きだな。アラタは違う世界から来たから身分証とか持ってないだろ?」
「はい、そうですね。ちなみにこれは生徒手帳って言って、僕の元いた世界では立派な身分証明出来る物なんですけど」
「どれどれ? うおっ、凄い似てる絵だな~。それもこんなに小さい枠の中に描くなんて、よっぽど手先が器用な奴が描いたんだな」
「それは厳密に言えば絵じゃなんですけど、まあいいか。ちなみにそれは」
「当然だが、使えないな」
「ですよね~」
まあ僕自身、生徒手帳が有効打なんて思ってなかったけど、いちおうねいちおう。
「身分証がないとこの街、というかこの国では何も出来ないからな。んで、その身分証をカーディナが作れるんだよ」
「そうなんですか」
「ああ。アラタは危険人物じゃないことはもうわかったからな。いつまでもここに置いておくわけにもいかんし、どうしたものか」
う~んと腕を組んで何か方法はないか考えているグレガンさん。
すると、何か別の方法を思いついたようで、片手をグーの形にして、もう片方の手をバシィンと叩いた。
なんでその軽そうな動きでそんな快音が響くんですかね?
「そうだ、おいアラタ。お前この国で冒険者になれ。んで冒険者ギルドに登録して、ギルドカードを身分証にしろ」
「冒険者ですか。テンプレですねー」
「てんぷれ?」
「いや、こっちの話です」
やっぱりこの世界にも冒険者とかギルドってあったのかー。
さすがファンタジー世界だなー。
「ちょっと待っててくれな。今俺が一筆書いてやるからよ。それを持ってギルドに行けばさっさと登録出来るだろうぜ」
あ、もう僕が冒険者ギルドで登録することは決定事項なんですね。
別に構いませんけど。
グレガンさんは部屋の片隅へ歩いて行くと、羽ペンとインクを取り出し、適当に置かれていたっぽい紙に何かをサラサラと書き始めた。
「っと、ほれ出来たぞ。ついでにギルドまでの地図も書いたから、迷わず行けるだろう」
「ありがとうございます」
とりあえず受け取った。
紙は二枚あって、どっちも和紙みたいなちょっとゴワゴワした手触りで、表彰状くらいの堅さがある物だった。
この世界の文字はまったくわからないので、綺麗な文字なのかどうかわからないけど、たぶん汚い。
文字が書くごとに右肩上がりして行ってるし、大きさもてんでバラバラだ。
いや、もしかしたらこれがこの世界の書き方なのかもしれないけどね。
地図はいちおう見られる物だった。
相変わらず要所要所に書かれていた文字は読めなかったけど。
最悪の場合は道行く人に聞きながら行こう。
「じゃあ城門前まで案内しよう。あと、登録出来たら一度城に報告に来てくれるか? 『総団長のグレガンを出してくれ』って門番に言えばいいからよ」
「わかりました。何からなにまでありがとうございます」
「いいってことよ。アラタもいきなり知らない世界に来て大変だろ。見たところまだ子供だし、大人には頼って良いんだぞ」
「僕、十六歳なんですけど」
「まじで!? 十二~三歳くらいだと思ってたぞ!?」
あー、日本人って海外の人から見ると実年齢よりも幼く見られるって言うからなー。
~以上回想終わり~
「じゃあ行こうか」
「はっ、どこまでもお供致します。我が主」
最後に僕はお城の方向に一礼して、もらった地図を広げながら冒険者ギルドを目指して歩き始めた。
お読み頂きありがとうございます。
次の8話で書き溜めが無くなりますので、メインで書いている作品と同時に更新か、すこし間を置いてからになると思います。
ついに冒険者ギルドに向かう主人公!
テンプレは彼らにやってくるのでしょうか?
乞うご期待!
次話は2日の12時に予約投稿しました。