表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

06.~最初の仲間は天使さま?~

作者はバハムプレイヤーです

 

 

 

「あらためまして、私はティファニアと申します。皆様よろしくお願いします」



 椅子に座りながら綺麗なお辞儀をするティファニアさんという天使。

 そんな彼女は何故か僕の隣にぴったりくっつくよう、わざわざ椅子を移動させて座っていた。

 対面にはグレガンさんとカーディナさんが座っている。



「あー、ティファニアさん。なんでそんなに僕にくっついてるんですか?」


「私のことはティファニアと呼び捨てで構いません。くっついているのは、私が主のことをお慕いしているからです」


「お慕いって、え」


「好き、と言うことです。私は主のことをこの世で一番愛しています」



 何で僕はいきなり告白されているんだろう。

 日本にいた時は女の子なんて縁がなかったのに。



「ああ、仲睦まじいところ悪いんだが、話を聞いても良いか?」



 グレガンさんが後頭部をガリガリと掻きながら言った。

 カーディナさんの方は無言で僕が手に持つスマホに熱い視線を注いでいる。



「ティファニアさんだったよな? あんた羽が生えてるけど、種族は何だ? 正直聞いたことがないんだが」


「私は神族です。人々からは“浄化天使ティファニア”と呼ばれていました」


「え? 『浄化天使ティファニア』だって?」



 僕は驚いて隣に寄りそうティファニアの顔を見た。

 そうだ、言われてみれば彼女の顔は『まさにあのままだった』。



「間違ってたらゴメン。もしかして、ティファニアってソーシャルゲームの“ファンタピア”で、僕がリーダーカードにしてたあの……」


「そうです。そのティファニアですよ、主。やっと思い出して頂けましたか」


「どういうことだ、アラタ?」



 ティファニアは嬉しそうにして、ネコみたいに僕の腕に額を擦りつけてきた。

 僕は自分でもう一度考え直すためにも、グレガンさんの問いかけに答えた。



 ソーシャルゲームの“ファンタピア”とは、携帯電話かスマートフォンから遊ぶことが出来るゲームだ。

 内容はありふれた物で、モンスターカードを集めて育成強化して、カードを使ったバトルやクエストをこなすような内容だ。



 僕は友達の紹介でこのゲームを始めたのだけど、なかなかにハマってしまって一日一回はプレイしていた。

 やはりこのゲームも課金制度があって、お金を注ぎ込めば注ぎ込むほど強くなれるのだが、僕は無課金プレイで頑張ってた。



 そして、そんな僕が時間をかけて強化したカードで組んだデッキ。

 その六枚のカードのリーダーカードにしていたのが、神属性の攻撃型カードの『浄化天使ティファニア』だったのだ。

 言われてみれば、今目の前にある顔はカードに書かれていた物と瓜二つだった。



 カードは『人族・神族・魔族』の三種族に別けられて、『ノーマル・ハイノーマル・レア・ハイレア・スーパーレア・スーパーハイレア・レジェンド・スーパーレジェンド』の八段階のレアリティがある。

 カードレベルはレアリティによって上限が決められていて、一番低いのはノーマルの20レベルで、一番高いのはスーパーレジェンドの160レベルまで上げることが出来き、それぞれ最高レベルまで上げると強化レベルを一段階上げることが出来る。

 強化レベルは最大で四段階上げることが出来て、四段階まで上げるとカードの持つ効果が若干強くなるように出来ている。



 ちなみにティファニアのカードはこんな感じだ。



 《カード情報》


 【浄化天使】ティファニア


 種族:神族


 レアリティ:レジェンド


 カードレベル:MAX(140レベル)


 強化レベル:MAX(第四段階)


 攻撃力:24568


 防御力:20369


 カード効果:デッキ内の他の神族カードの攻撃力をそのカードの1.2倍分アップさせる。


 イベント効果:ボス相手の攻撃の際、ランダムで追加攻撃を加える。





「そうでした。主、そのスマートフォンを貸して頂けますか」


「いいよ。けど何に使うの?」



 説明に一区切り着けたところで、ティファニアが僕のスマホを貸して欲しいと言ってきた。

 断る理由もなかったので素直に貸したら、僕の右腕にそっとスマホを押し当てた。



「それは何してるの」


「えいっ!」



 そんな可愛い掛け声と共に、またスマホが光り出した。

 僕は慌てて左手で目を守るように隠したけど、今度は眩しい光じゃなくて淡い光だったので無駄骨だった。



「ふぅ~、出来ましたよ、主」


「出来たって何が―――な、なんじゃこりゃああ!?」



 右手を見てみた僕はびっくり仰天。

 スマホは跡形もなくなり、腕時計みたいな物が代わりに右手首に巻かれていた。

 しかも先に着けていたはずの、翻訳用のマジックアイテムと一体化してる。



「スマホは!? 僕のスマホはどこ行ったの!?」


「落ち着いて下さい。その腕輪がスマートフォンです。主の手首にちょうどいい依り代がありましたので、それを使わせてもらってちょっと(・・・・)形を変えさせてもらいました」


「いやいやいや、これは『ちょっと形が変わった』っていう範疇の変化じゃないでしょ」



 試しに腕時計で言う文字盤の部分を触ってみた。

 すると触ったその部分がチカチカ点滅して、さっき見たファンタピアのタイトルがホログラムのように空中に映し出された。



 なにこれ。

 なんか僕のスマホがSF映画で見るような、近未来的な物に生まれ変わってるんですけど。



「こちらの方が何かと使い勝手がいいと思いますよ。ですが、何も言わずにいきなり変えてしまったことはすみませんでした」


「あー、いや、いいよいいよ。これはこれでカッコイイから」



 カッコイイというのは本心だ。

 男の子だったらこういった物には心躍るんじゃないかな?



「――もう俺には理解出来ないことだらけだ。考えすぎて頭痛がするぞ」



 すっかり存在を忘れていたグレガンさんが、額に手を当ててヤレヤレと首を振っていた。



「人型モンスターの召喚……マジックアイテムで? でもあり得ないくらいの魔力が……。 そもそも神族なんて聞いたこと……。 彼は異世界人じゃなくて神の遣いだとでも言うの?」



 そしてこれまた存在を忘れていたカーディナさん。

 なにやらブツブツと独り言を言っていて、目の光が無くなっているのがとっても怖かった。

 

 

「あるじ~、あるじ~」


「なにかなティファニア?」


「呼んでみただけですよ~。本物の我があるじ~。触れる~」



 ティファニアは威厳の欠片もなくなり、ペットが飼い主に甘えるみたいに、もしくはマーキングでもするかのように僕の腕や肩に顔をスルスリ擦りつけていた。




 

お読み頂きありがとうございます。


カードのステータスを考えるのが意外と大変でした><;

次はどんな仲間を出そうかな~。


【いらない裏情報】

天使なのに犬っぽいティファニアでしたが、最初に書いてみた時は、真面目な堅物天使でした。

それが修正していくうちに、こんな奴になってしまってました。

どこでどうなったんだろう?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ