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16.~謎の気配達の狙いは?~

※加筆5/4

※誤字修正5/9

 

 

 

「よし、こんなもんでいいでしょ」


「そうですね。もう籠にも十分な量が入ってますよ」



 三十分くらいかけて籠一杯にシロクキキノコを集めることが出来た。

 まだまだ目の前にはシロクキキノコが生えているけど、もう入れ物もないし乱獲してしまうのも危ないかと思い、これで終わりにしておこう。



「じゃあみんな~、そろそろ戻るよ~」



 僕が声を響かせるとプリムラーナが草むらをかき分け、マナリエラがタケミカヅチの頭に乗って僕のところに集まってきた。

 


「おっ? 大将、もう終わりか?」


「うわっ! たくさん集まりましたね! これで依頼も無事完了ですね!」



 タケミカヅチとマナリエラが現れた場所から、アベルとブリッジスも姿を現した。



 ……そういえば二人のこと放っておいたままだった。

 今まで二人で探してたのかもしれないな。

 悪い事しちゃった。



「二人ともゴメン。声をかけるの忘れてたよ」


「んあ? あー、別に気にすることねえよ。手分けして探すのは当たり前だからな」


「そうですよ! それに僕たちの方は収穫がありませんでしたから……。むしろ力になれなくてすみませんでしたっ!」



 ブリッジスが勢いよく、額が膝に付くんじゃないかと思うくらい頭を下げた。

 僕としてはブリッジスが頭を下げる理由なんてないので、居心地が悪くて仕方がない。 



「それこそ気にする必要ないよ。こうしてシロクキキノコのちゃんと集められたし、何も問題は」


「しっ! 静かにっ」



 アベルが人差し指を挙げ、唇に当てて静かにするように言ってきた。

 何事かと思っていると、僕以外の全員のようすがおかしい。



「いったいどうしたの」



 気持ち声を抑えて聞いてみた。



「何やら森の気配が変わりました。ご注意下さい」



 すると僕の後ろにいたプリムラーナが近づいてきて、耳元に口を寄せて教えてくれる。

 プリムラーナの息が耳に当たった。



『グオォオ』


「タケミカヅチが『これは人の気配だ』って言ってるわ」


「人なのか。俺はそこまで詳しく気配を探ることはできねえが、結構な人数がいることはわかるぜ」


「あ、僕もアベルさんと同じです! 気配が多いって事くらいしかむぐむぐぐうう!」


「大きな声は出さないで」



 マナリエラがタケミカヅチの言葉を代わりに言って、ブリッジスが大きな声を出したらティファニアに手で口を塞がれた。



「主、空を飛べる者で様子を見てきたいのですが、よろしいでしょうか?」



 ティファニアがブリッジスの口を押さえながら僕の方を見て言った。

 ブリッジスは大人しくしている。



「大丈夫なのかな。もしかしたら危ないんじゃ」


「それを見極めるためにも偵察するんです」


「……うん、お願いするよ」


「ありがとうございます。――プリムラーナ、ついてきてくれる」


「もちろんです。では我が主、行って参ります」


「気をつけてね。危ないと思ったらすぐに逃げるんだよ」

 


 僕は翼を広げ飛び立つティファニアと、バリアーみたいな物を展開してフワッと宙に浮いていくプリムラーナを見送った。



「ジス坊、念のために武器持っとけ」


「わかっ、……わかりました」



 アベルに言われてブリッジスはまた大声を出しそうになったけど、今回はなんとか我慢することが出来た。



「んじゃ俺も」



 アベルが両手を体の前に突き出す。

 ブリッジスは片手を頭の上に伸ばした。


 

 二人とも何もない場所で何かを握るような動作をすると、柄の部分から剣が徐々に姿を現していた。

 その時に蛍みたいに光る粒が出て、その様子はかなり格好良い。



「んー……よし、問題はねえみたいだな」



 アベルが持っている剣は物凄い大きさだった。

 人の肩幅くらいの太さがあって、長さも人の慎重と同じくらいありそうだ。

 柄部分には包帯みたいな布が巻かれていて、刀身は鈍く光っている。

 それを見て僕の頭によぎったのは、読んだことのある漫画に出てきた斬馬刀だった。



「せいっ、ふっ、やああっ!」



 ブリッジスは手にした剣を、調子を確かめるように振っていた。

 動いているためよく見えないけど、刀身は水色で半透明に見える。

 部場の部分は白色で綺麗な剣だと思った。



「後は偵察に言った二人を待つとしようや。一応俺とジス坊で警戒はしておくからよ。わかったなジス坊?」


「問題ありませんっ、アベルさん!」


「よーしっ、良い返事だ!」


「ありがとうございます!」



 二人は何だか仲が良いなと思っていたけど、ちょっと暑苦しいくらいだな。

 未だにタケミカヅチの頭の上で寝転んでいるマナリエラも、『暑苦しい連中~』と言って顔を手で仰いでいた。

 


 それにしても、タケミカヅチは良いのかな?

 ずっとマナリエラに乗られてるんだけど。



 それから少ししてティファニアとプリムラーナが戻ってきた。

 最初に気が付いたのはタケミカヅチで、首をもたげて空を見ると、マナリエラがコロンと地面に転がり落ちる。



「きゃっ!?」



 危うく地面にぶつかるという瞬間、マナリエラはコウモリみたいな羽を使ってなんとか空中に浮かんで、地面にぶつかるのを回避していた。



「遅くなってすみません」


「ただいま帰還致しました、主様」



 二人は僕の前に着地する。

 プリムラーナだけは流れるような動作で、片膝をつき頭を垂れるポーズを取った。

 まるで僕が王様みたいだ。



「お帰り二人とも。大丈夫だった?」


「はい、あちらが私達に気が付いた様子はありませんでしたから。プリムラーナなんて、姿を消してあちらの目と鼻の先まで近づいていましたよ」



 ティファニアが答える。

 様子を確認するためとはいえ、相手に近づいたとう話にも驚いたが、次にプリムラーナが口にした言葉に僕はさらに驚くことになる。



「相手は完全武装した人間達、数はおよそ三〇〇。そして奴等の話していた内容をまとめますと、どうやら狙いはタケミカヅチの討伐のようです」


『グオオッ!?』



 僕も驚いたけど、タケミカヅチの反応も凄かった。

 地面に寝そべるようにしていた頭を一気に持ち上げた。



「あ~れ~」



 その勢いはまた頭の上に陣取っていたマナリエラを、ポーンと空中に投げ飛ばすくらいだった。




お読み頂きありがとうございます。


次話はいつ投稿か未定ですが、主人公達VS騎士団&冒険者の構図になる予定です。

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