表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

13.~僕の頼もしい仲間達~

 

 

 

 ギルドで『シロクキキノコの採取』を受けた後、僕はエミリアスにほど近い森に向かうことにした。

 受付の女の人にどこで採取できるのか聞いてみたら、その森を教えてもらったからだ。



「そういえばこれが初めての街の外になるんだな~。どんな感じなんだろう?」



 ちょっとワクワクしてきたぞ。

 何てったってファンタジーのセカイなんだから!

 ドラゴンとかいないかな~。



「……おお~、何にもないな」



 街の出入りに使われる門を潜り抜け出た。

 外のセカイには、自然以外何にもない。



 前を見てみれば、どこまで続いているのかわからない土が剥き出しのデコボコ道が、野原に線を描いてる。

 もう少し先にはうっそうと生い茂る木々――あれがたぶん教えてもらった森だと思う。



「じゃあ行きますか」



 籠を背負い直して森に向かった。







「――この辺りでいいかな?」



 森に到着した。

 今は森の中にいて、もうミリアスの姿はちっとも見えない。



「え~っと、スマホ、スマホ……よし」



 僕は手首に付けられた腕輪――元は『スマートフォン』と『対話のブレスレット』だったけど、ティファニアが合成して形を変えた――の画面を触って“ファンタピア”を起動する。

 起動したのを確認したら、操作してデッキを見て………。



 トン。



 ピカーーーー!



「――お待たせしました。主」


「あぁあぁ~。目が~、目が~」



 忘れてた。

 スマホから出てくるときって、物凄く眩しいんだった。

 覗き込んでいたからモロ至近距離から直視しちゃったよ。



「ああっ、主! しっかりして下さいっ」


「だ、大丈夫だよ。ティファニア。もう、平気だから」


「本当ですか?」



 スマホから僕が呼び出したのは、ティファニアだった。

 実は今朝一緒にギルドに向かったいたら、いろんな人に絡まれてしまったので、ティファニアにはスマホの中に戻っていてもらったんだ。

 絡んで来た人達全員が、ティファニアにちょっかいを出そうとしてたから。

 スマホに戻ってもらった後は、何事もなくギルドまで辿り着けた。



「ふぅ~……。さてと、ティファニア、実は僕依頼を受けたんだけど」


「はい、わかっています。待機していた最中も、外の様子は主を通して確認していましたから」


「へぇ~? そんなこと出来るんだ」


「はい。―――」


「? どうしたの?」



 何だかティファニアの様子が変だ。

 口をパクパクして、何か言おうとしてはやめるを繰り返してる。



「――あのですね、実は主にお願いがありまして」



 僕がジーー―っと見続けていると、観念したのかティファニアは重い口を開いた。



「どんなお願い? 無理難題じゃなかったら出来るだけ聞いてあげるよ」


「ありがとうございます。……実は『他の者達(・・・・)』が、現世に召喚されたいと申していまして。お手数ですが召喚してもらってもよろしいでしょうか?」


「『他の者達』?」


「はい。私以外のデッキ構成カードの者たちです」



 詳しく話しを聞いてみたところ、ティファニアがスマホの中に戻ったら、『ティファニアばっかりズルイ!』と他のメンバーから色々文句を言われたらしい。

 確かに、今までティファニアしか召喚してなかったな。 

 ………。



 というか、スマホの中でコミュニケーションってとれるのか。

 この中って一体どんな風になってるんだろう?

 中から僕の様子を窺うことも出来るみたいだし、もうこれ『スマホ』って言っていいのかわからないな。

 他の呼び名が思いつかないから、今のところは『スマホ』のままでいいか。



「それくらいなら別にいいよ。全員まとめてに召喚していいのかな?」


「構いません。もし都合が悪かったら呼び出しを拒否することも私達には出来ますので」


「そっか」



 どうしよう。

 スマホの中の様子が凄く気になる。

 もしかしてこの中は中で、ひとつの世界があってティファニア達が住んでるんじゃないだろうな?

 そうだったら見てみたい。

 今度聞いてみよう。

 だけど今はみんなを召喚するのが先だな。



「えっと、今からみんなを召喚するよ~? いいね~?」



 スマホに向かって声を掛けてみた。

 外の様子もわかるみたいだし、きっとこの声も届いてるはず。

 まあ、何も知らない人が今の僕を見たら、腕輪に向かって話しかけるちょっと危ない人だろけど。



「ほいほいほい、っと」



 トン、トン、トン、トン、トン。



 都合五回タッチする。

 僕が今いる場所は森の中でも開けてる場所だし、全員召喚しても大丈夫だろう。



 ピッカァーーーーーン!



 今度はさっきの教訓を生かして、ちゃんと目を瞑ったから大丈夫。

 大丈夫なんだけど……何だかさっきティファニアを召喚した時よりも光が強いような?

 瞼を通して光を感じ取れた。

 


「もう平気ですよ、主」



 ティファニアにそう言われてゆっくり目を開く。

 僕の前には男女がそれぞれ二人、横に並んでいた。



「よう大将。この姿では初めましてだな。よろしく頼むぜ」



 ――【放浪英雄】アベル。



「今回は我らの我が儘をお聞き入れ頂き、誠にありがとうございます。この身が朽ち果てるまで、(ぬし)様の為に尽力することをここに誓います」



 ――【聖戦乙女】プリムラーナ。



「ハァア~イ、ご主人様。出してくれてありがと~。へぇ~、これがこの世界か~」



 ――【悪戯淫魔】マナリエラ。



「どうも始めまして! お手伝い出来ることがあったら何でも言って下さい! 全力でサポートします!」



 ――【勇往邁進】ブリッジス。



 カーでしか知らなかった、俺の仲間達がそこにいた。



「って、あれ? 四人だけ? タケミカヅチも召喚した筈なんだけど……都合が悪かったのかな?」


「主」


「え? なにティファニア」



 僕の横にいたティファニアが肩をちょんちょんと突いてきた。

 振り返ってみると、人差し指を立てて手を上下させてる。



「……上?」



 上を指さしていると思って見上げてみた。

 


「………」


『………グォ』



 そこには“龍”がいた。

 トカゲを大きくしたドラゴンではなくて、蛇を大きくしたような細長い胴体の龍。

 白い体を時折反射させながら、フヨフヨ宙に浮かんでいた。



『グォォォォーーー!』



 ――【夢幻飛龍】タケミカヅチ。



 今ここに、僕の仲間達が集合した。




一週間ぶりの更新。

遅くなって申し訳ないです(汗)


今回はカードの仲間達が全員集合する回となりました。

これからドタバタしていく予定^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ