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11.~冒険者ギルドに登録しました!~

大きさは免許証くらい。

 

 

 

「いったい今のはなんだ!」



 冒険者ギルドの建物に男の人の声が響いた。

 空気がビリビリと震えているのが肌で感じられる。



「ジャ、ジャンさん」


「お前は一部始終を見ていたか」


「は、はい。見てました」


「では説明してくれ。突然執務室の床から貫通していったのはなんだったんだ」



 カウンター奥の扉から出てきた男の人は、受付に残っていた女の人からジャンさんと呼ばれていた。

 その人に何があったのか事情を説明してもらっている。



 頭は剃っているのか、それとも死滅しているのか……スキンヘッドで背が高い上に、ボディビルダーみたいな素晴らしい筋肉の鎧を身につけている。

 着ている服も上半身はピチピチで筋肉を主張しまくってた。

 幸い下の方は普通のズボンだ。



「あの、一体何があったんですか?」


「あ、どうも」



 僕の所にも最初に話しかけた女の人が寄ってきた。

 オロオロしていて挙動不審だ。



「いやまあ、……いろいろあったんですよ」



 僕は斜め上を見上げて遠い目をして空の彼方を見つめた。

 さっきのおじさんが飛んでいった時に出来た穴のおかげで、ちょうど一直線で青い空が見えた。



「その“いろいろ”について聞きたいんですけど……そうだ。これ、お返しします」



 そう言って僕が渡したグレガンさんからもらった手紙を返してくれた。

 ちょうどそれを返してもらった時だった。



「おいそこの。ちょっと話を聞かせてもらうぞ」


「はい?」



 僕の真正面からさっきの男の人が歩いて近づいてきた。

 何故か警戒しているようで、眉を寄せて険しい顔をして一定以上近づいてこない。



「俺はジャンだ。ここの副ギルドマスターをしている」


「僕は新見荒太っていいます。こっちはティファニアです」


「はじめまして」



 僕とティファニアはそろって挨拶をした。

 そうしたらジャンさんは幾らか警戒心を解いたようで、眉が寄ってで来ていた眉間の皺の本数が減っていた。



「お前か。ジェーンが言ってたグレガンの紹介状を持ってきたって奴は」


「ジェーンさんって人の名前は知りませんけど、確かに、グレガンさんにもらった手紙は持ってきました」


「ジェーンってのは、ほれ、あいつだ」



 ジャンさんが顎で示した先にいたのは、僕が最初に話しかけた受付の女の人だった。

 僕の視線に気が付いたのか、パタパタと手を振っていた。

 とりあえず僕も振り返す。



「さて本題だが。何人かに話を聞いてみたところ、あの穴を作ったのはそこのお嬢ちゃんらしいな。そんでもって、お前さんも関係者」



 そう言われて周りを見渡してみると、みんなササッと目を逸らす。

 中には汗をダラダラかいていたり、わざとらしく口を尖らせて口笛を吹いてる人もいた。



「もっと詳しい話しを聞きたいからよ。ちょっとお前ら――面、貸せや?」



 右手でグットマークを作って、方の上の方に持っていき親指で背後を指さした。

 その先にあったのは、カウンター奥にある扉だった。



「主、どうしますか」



 ティファニアはどうやら僕の指示に従ってくれるみたいだ。

 周りで見守る人達の間に緊張が走る。



「わかりました。言う通りにします」


『『『『はぁあああ~』』』』



 僕の言葉を聞いた途端、安堵の溜息がそこかしこから聞こえてきた。



「おう、ありがとよ。じゃあついてきてくれ。ジェーン! お前も来い!」


「ふぇっ!?」


「お前がこいつの受付担当したんだろうが。黙ってついてこい」


「そんな~」



 そんなこんなで、僕、ティファニア、ジャンさん、ジェーンさんの四人は連れだって奥へと向かっていった。



「――ここだ、入ってくれ」



 ジャンさん先導の元、廊下を歩いて行って一番奥の部屋へと入る。

 何だかよく分からないトロフィーや旗、重厚な造りのデスクにソファがあって、一言で言うなら学校の校長室みたいな部屋だった。



「本当だったら俺の執務室で話を聞くところだが、さっき床に大穴が空いちまってな。床が抜けると危険だから、ギルド長の執務室を借りた」


「もう、ジャンさん。勝手に執務室に入って良いんですか。無断で借りちゃ駄目だと思いますよ」


「いいんだよ。あいつはこんな事くらいじゃいちいち目くじら立てるような奴じゃねえ」



 ジャンさんはソファまで歩くとボフンッと、勢いよくソファに身を沈めた。

 


「ほら、お前らも座れ」


「どうも、失礼します」



 一言言ってから僕もジャンさんの向かいに腰掛けた。

 ソファはとっても柔らかくて、体重を掛けるとドンドン沈んでいく。



 ……ふわぁ~、いいソファだな~。



「さてと、じゃあ話を聞かせてもらおうか。まず、お前達のこと。その後にさっきの騒ぎについてだ」



 ジェーンさんは座らないでジャンさんの後ろに立っていた。

 そして立ちながら、鈴のついた猫じゃらしみたいな物を手にしている。



「えっと、まず僕達についてですけど―――」



 ………………。

 …………。

 ……。





 ―――少し時間が経って、僕とティファニアはある宿の一室にいた。



「お疲れ様でした。こちらをどうぞ」


「ありがと」



 ティファニアが部屋に用意されたいた水差しから水をコップに入れてくれた。



 ここはギルドで知り合ったジェーンさんが勧めてくれた宿で、名前を『龍の止まり木』という。

 冒険者ギルドで登録していれば、二割引で利用出来るため冒険者達が贔屓にしている宿らしい。



「おめでとうございます。これで主も冒険者の仲間入りですね」


「そうだね。一時はどうなるかと思ったけど」


「あのジャンという人は話がわかる方で良かったです。私もすすんで武力を振るいたくはありませんから」


「……ほんと、よかったよ。いろんな意味で」



 僕は腰掛けていたベットに背中から倒れ込む。

 天井を見上げながら、今日手に入れた『冒険者カード』を手でいじくり回した。

 そうしながら思い出すのは冒険者登録した時のことだ。



 ~回想~



『―――ふ~ん、そうかい。じゃあ今回の騒動は不問にしておく。……で? お前達は冒険者登録しに来たんだろ。だったら今しちまうから待ってろ』


『え?』


『なんだよ。そんな驚いた顔なんかしやがって』


『いえ、だって今の話しを聞いて僕達のこと『怪しい奴』だとか、こう、信用出来ないやつだって思ったんじゃないですか?』


『お前が違う世界から来たとかそんなのはどうでも良い。信用出来る出来ないは、グレガンの奴が紹介状を書いた時点で解決してる。あいつは人の善し悪しを直感でわかるからな。悪い奴に紹介状なんて書ねぇ』


『そんな曖昧なので大丈夫なんですか?』


『大丈夫だ。俺はこれでもこのギルドで二番目に偉い』


『はぁ』


『良いからさっさと手続きしちまえ。ジェーン、用意してくれ』


『わかりました』



 以上。



 ~回想終了~



 トントン拍子で登録手続きは終わって、晴れて僕も冒険者になった。

 ちなみにカードにはこんな事が書いてある。




【冒険者カード】


 荒太・新見 (アラタ・ニイミ)


 冒険者ランク:F


 職業:召喚師、モンスターテイマー 


 登録支部:王都ミリアス支部




 カードには感じで名前が書いてあって、横に読み仮名が書いてある。

 冒険者ランクは七段階あって、F・E・D・C・B・A・Sと上がっていく。

 職業は簡単に言うと自分はこんな事が出来る、ということをカードをみせた相手に教える物で、僕はジャンさんがこうしろと言われるがまま『召喚師』と『モンスターテイマー』としておいた。



 そして最後、普通に登録したギルドはどこかというだけの物なのだが、コレのおかげで僕が今いるのはハミルヴェン王国の王都ミリアスにいると言うことがわかった。

 本当に僕はこの世界について何も知らないのを思い知らされた。

 


 近いうちに子の世界の情報を手に入れようと思って、る。

 情報は……命だっ、て両親も……言って……た………。



「主? あるじ――」



 今日は色々ありすぎてもう疲れた。

 ティファニアが僕を呼んでいる声に気が付いていたけど、襲ってくる睡魔にあらがえずそのまま目を閉じて意識は暗闇に吸い込まれていった。




 

お読み頂きありがとうございます。


主人公が冒険者になりました!

次回からクエストをこなして行きます。

生きるためにっ><;


※冒険者カードの大きさは免許証くらい。

作中で主人公がそう例えなかったのは、まだ十六なので免許証を持っていないから例えようがなかったからという設定。

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