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3・4 嵐と白と綿毛

朝の日差しが強まってきたようだ。


喜代はベッドの上で疲労で重苦しく被さろうとする瞼を薄く開け、

窓から漏れる光を見ていた。


背後にはダンデがさっきの情事など無かったかのように、

無邪気で無防備な寝顔を晒している


喜代は、寝返りを打ち複雑な気持ちでその顔をみた。


・・・やっぱり、髪の毛が白くなってる。


鮮やかな草の葉から、茶色い人毛、そして、、、純白になったダンデの髪

それは、日差しで辺りが明るくなると更に際立ってきた


病気?呪い?どうして、なにも言ってくれないの?


気になるけど、ダンデは話そうとしない。


悶々と考えていると、突然、



ドアが凄まじい音を立てて蹴り破られた。


ぶっ飛ぶドアを構築していた諸々を見送る喜代、

その顔の顎は外れかける程開けられ、声にならない絶叫をあげていた




え、え、えーーーーーーーー!!!!!


なに!?意味不!え、誰?あ、ていうか今はだかぁぁぁぁ!!!!


己の痴態に気づいた喜代は、全力で掛け布団を剥ぎ取り(ダンデ包まってるんだもん)

それに潜り込んだ!!


耳をそばだてると、中に誰かが入ってきたようだった。


「キヨちゃん!ダンデが起きたってほんと、、、」

我が弟の身を案じて堰を切らして来たローズは、

肉まんのようになった掛け布団とその傍に


無邪気で無防備な寝顔をさらす裸体の男性を見て、

全てを悟った。


「あっらー!!?部屋間違えちゃったわ~ん!いゃ〜ん馬鹿~ん!ローズったらドジっ子!」てへぺろ♥


完全な女体を手に入れたローズに、怖い事などなにも無かった

ローズさんはわざとらしくおでこをコツンとして去っていった。。。


「・・・アウト?あれ?これアウトじゃね??」

ダンデ完全に見られてるじゃん!

シたのバレてるよこれ!!うわーーはずかいい!!


肉まん掛け布団は悶えに悶え、

ダンデをとりあえず起こそうと決意した。


「ダーンデー!朝だよ!起きてーー!!」

ゆっさゆっさゆっさゆっさ・・・


「ダンデ?え?ねえ起きて!!?」

また眠るとかいみわかんないよ!?

軽く焦って、更に強く揺らした。


ダンデ?ダンデ?ねえ!!ダンデ!!!


「ろ、ローズさん!誰かっダンデが、」

焦りに不安が混じってくると、喜代はドアに向かって叫んだ。

「どうしたのキヨちゃん!?」


あまりの声にローズが動揺しながら入ってくる。

その瞬間、


ダンデの目が開き、

ゆっくりと口を開いた。


「き、、よ殿。」

「!!ダンデ、驚かせないでよ!」

心からホッとして、ダンデに笑顔を向けた。


「早くお城に戻ろう?みんな、待ってるから。」

「・・・そうか」

そういうと、ダンデは顔を綻ばせ、はにかむように笑った。

「喜代殿、、、」


ん?何?


視線を送ると、ダンデは静かにあたしに向かって手を差し出してくる

「ああ、起こしてってこと~?たくっ甘えんぼだな~!」

にまにましながらその手に触れると、

ダンデの口が再び何かを呟いた。





ーー俺、待ってるよーー




「え?何ダンデ、、、ダンデ!!?」


突然ダンデの手や足や輪郭がほろほろと綿毛のようなものに変わり、

ゴウゴウと風が吹き、渦を巻いた


「ダンデ!?あ、きゃあ!!」

喜代は突風に吹き飛ばされ、

壁に激突する間際にローズさんに掴まれた。


「キヨちゃん!怪我は!?」

「だ、大丈夫です。でも、ダンデが!!」

渦まく風と綿毛の轟音が響き渡るなか、

ダンデはすでに身体の半分が消えた


このままじゃ消えちゃうっ

ダンデが死んじゃう!!


「おいどうした何があった、、、て、なんだよこれ!!」

ローズさんの付き添いできたらしいおでこさんが部屋に飛び込んでくるや否や

驚嘆の声をあげた


「おでこさん!ダンデが、」

「言わなくってもわかるさ!!こいつぁかなりヤバイっ呪いの末期だっ」


そういうとおでこさんはダンデに、向かって駆け出した!

ダンデの顔にはもう表情などなく、

淡く、全身に光を帯び、突如

雷がバリバリッと現れ、丸く結界のようにダンデを包み込んでいく



「そうか体内の種が咲いて、新たな種を作りだそうとしてるんだわ!!」

「そんなっじゃあ、ダンデは!?」


「あの実験室に呪われた人々は、探そうとしても見つけられ無かった、、、

不死身だから死ぬはずないのにと不思議だったけど、


まさか、こんな風に、、、みんな消えて行くの、、、?」


絶望したかのように、ローズさんは震えた。


おでこさんは雷に邪魔をされ、近寄れない。


どうして?どうしてどうして?どうして!?


「ダンデっ呪いを解こうって、約束したじゃん!」


「!おい嬢ちゃん!」


一息で叫ぶと喜代は思い切り

見えないダンデ目掛けて駆け出した


「ダンデェェエエ!!」


雷の中へ飛び込み、彼に抱きつく。


バリバリ!バリバリバリ!!!


熱い痛い熱い!!

息苦しさと肌が焦げていく激痛に耐えながら、

決して、ダンデを離すまいとさらに腕に力を込める。


「やだっいかないで!!!ここにいて!!」


かすれる程叫んだ。

涙は蒸発して、もう身体が限界を超えたと感じた瞬間、




ダンデは、はにかんで消えていった



「・・・ダンデ?」


「ダンデちゃん。」「ダンデ・・・」



割れた窓、散らばった医療器具、焦げた掛け布団、

ボロボロになったあたし。



嵐がすぎて、それの跡は確かに残っているのに、その嵐はもう見えないのと同じように

ダンデは静かに消えていた。


やだよ、、、やだ、、、


そう唸るとやけどを負った頬に染み入る涙も気にせず、

この静寂に押しつぶされたように、

喜代は、うずくまって啜り泣いた。


こんなのってないよ。なんでダンデなの?

何も悪くないじゃん?

ただ、普通に生きてただけじゃん?


ダンデは悪くないのに、、、


「っうわああああああああああああああっあああああああっ!」


獣の咆哮のように泣き喚き悔しさを吐く喜代に

ローズも耐えきれずに泣き崩れた。


一人、拳をわなわなさせながら立ち尽くしていたハイドは、

ふと何かを感じ、ベッドを見た。


「・・・なんだ?それ。」


「へ?」

突然の声に叫ぶことを止めた喜代は、自分の目の前にあるソレに注意を向けた。


「もしかして、種か?でもこんな花の種なんて見たことないぞ?」

ハイドは訝しげにその種を見つめた。


白く、ふわふわとして頼りない様子、、、


ソレは喜代にとっては身近すぎる程に近い、

花の種



「たんぽぽに、なっちゃったんだね。ダンデ。」







もうなんと言っていいのか分からないぐらい申し訳ないです!!

でもあと数話なので、頑張って終わらせます!!


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