表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/46

0 離れても、離れても

意外とササヤマ君の身体はがっしりしていた事に、

改めて驚き、そして、昨日の事をありありと思い出してしまって

あたしはササヤマ君の裸の胸と腕に包まれながら

恥ずかしさに悶えていた。


そう言えば、ここへ来てから全く体調を崩していないなぁ。

ササヤマ君と居ると凄く落ち着くからかな?

ああ、きっとそうなんだろうな。


ササヤマ君 、、、 ササヤマ君、、、

いつしか貴方はあたしの全てになっていたんだね。

あたしの全ては貴方次第。

きっともうあの星へは戻らないし、

戻りたく無い。。。

ローズや、シスルにも会いたいと思うけれど、、、

二度とササヤマ君に会えなくなるならいいと思ってしまう。。。。




ここで、ササヤマ君と一緒に、幸せになりたいな。。。。





私は、今思う。そんな事を願ってしまう様なズルい人間だったからササヤマ君の側から

落っこちてしまったんだと、、、


神様がこんな醜い人間はササヤマ君に似合わないと思ったから、

私に罰を下したのだろう。と、



・・・ソレは、唐突に私たちを引き裂いた。


ある日のこと。あたしは、毎朝起きるとササヤマ君の朝食を作る。

ずっと向こうでは家に引き篭もっていたから、料理を趣味としていた所があって

それが昂じた。


鼻歌まじりに目玉焼きを作っていると、

ササヤマ君が起きてくる。


「んん?・・・いい匂い。。。アゼイリアさんおはよう~。」

人懐っこい笑顔で挨拶をしてくれるササヤマ君。

彼が朗らかに笑う度に寝癖のたつ髪がふわふわ揺れて、優しい波の様だと思った。


それにしても、夜のその、あの時は何時も呼び捨てなのに

普段はさん付けだから逆に恥ずかしい。。。


「おはよう。ササヤマ君。コーヒー?紅茶?」

「緑茶で、」

そう言って、ササヤマ君は軽く笑いながら洗面台に行った。


最近ササヤマ君の洗面台を使う時間が増えた、、、気がする。

どうしてなんだろう?

お髭を剃っているのかな?いや、でもそんなの前からだし、、、


・・・少し手が空いたので、ササヤマ君のいる洗面台に行った。


「あの、ササヤマ君?」

ガタッガシャガシャガッチャーン!!


「あ、アゼイリアさん!?なななに?かな?ん?」

ものすごく挙動不審ね、、、

それよりも落とした洗面器具壊れてないかしら?


「えっと、そのなんでも無いの。ただササヤマ君なにしてるのかなって、、、」

そういいながら、あたしは落ちた洗面器具をとろうとする。


「あ、ああああ!だ、駄目!」

「えっ・・・?」


ササヤマ君の怒鳴り声、初めて聞いた


「っご、ごめんなさい。。。」

「あ、いや。こっちこそごめん。。。その、ここは僕がやるから、行っていいよ。」

「・・・うん。」


・・・どうしよう。。。怒っちゃった?

ああもう、あたしってなんて不器用なの・・・!

こんなんじゃ嫌われてしまう!


それの後の朝食は、気まずくて重苦しかった。

何も喋らないササヤマ君は、仏頂面のような感じで、少し、怖かった。。。


「・・・アゼイリアさん。その、聞きたい事、があって、」

歯切れ悪く、ササヤマ君が口を切った


「ん?なあに?」

「ア、アゼイリアさんには、昔、その、恋仲、、、の人っていたの?」


突然の質問。


「え?いないよ?」

「そっか、、、えと、な、なら理想の男、とかは?」


ますます意味が分からなくなってくる。

理想??そんなもの抱く余裕なんて向こうでは無かった。

ひたすら咳と戦い。病を悪化させない様に気を使う生活で、、、


もしも、今考えるなら、、、居てくれるだけで安心出来て、ふわふわと

空を飛ぶような気持ちを持たせてくれる。。。

「・・・理想は、ササヤマ君だよ。」


思わず、呟いていた。


「・・・?ササヤマ君?」

ササヤマ君が机に突っ伏してしまった。

あれ?お腹痛いのかな?


「・・・・反則だよね?その顔。。。」

呻くように机と顔の狭間から声を漏らすササヤマ君。


??顔?


「ああもう。。。いいです、はははっ・・・まあつまり、

僕は幸せすぎて今にも天から迎えがきそうって事です。」


!!?


「そ、そんなの、、、いや、、、」

死ぬなんて嫌。。。


「え?あれ?アゼイリアさん?じょ、冗談ですよ。

大丈夫。アゼイリアさんが居るなら神様に縋られたって僕は死んでなんかやりませんから。」


そう言って、ササヤマ君はあたしの頬を撫でて、大学へ行った。


・・・何時か。皆死んでしまう。

ササヤマ君だって、あたしだって、

ササヤマ君を残して逝くのはやだな。

また、ササヤマ君はカップラーメン生活に戻っちゃうし、

ササヤマ君が大学を卒業したら、結婚とか考えてくれるかな?


「ふふっ・・・」

一人でリビングで笑ってしまった。

・・・そう言えば、ササヤマ君。なにしてたんだろう?


トコトコと洗面台に向かうと、棚の一番上、あたしの手の届かない所に

何かボトルを発見した。


「??なにかしら?・・・んー読めない。

ん?これはなんだろ?」


小さな可愛い小箱が洗面台の棚の中にあった。

上には届かなくても、これにはやすやす届く。


開らいてみると、ロケットペンダントだった。

手紙がはいっている。

もしかして、、、誰かから贈り物?


いけないとは思いつつ、手紙を、開けた。。。


【アゼイリアへ。僕は正直言って、とても、とても不安です。

毎日貴女が居ることに大きな喜びを感じつつも、これが永遠だと信じることが、

今の僕には出来ないで居る。

だから、これを贈る。

僕らがたとえ離れようとも、心は離れてしまわないように、、、佐々山英雄。】


・・・手紙に雫が落ちる


なに?これ。


これが、ササヤマ君の気持ちだったんだ、、、

永遠だと信じることが、出来ない。って。

なのに、

あたしは、信じている。

それだけじゃ無い。信じて、叶えられる様にいいお嫁さんになろうともしているのに、


ショックだった。


目の前が真っ暗になる錯覚をうけながら、

辺りを見回す。

ササヤマ君。


貴方は、こんなもの贈ってどうしたいの?


地面が次第に光っているのに、アゼイリアは気がつかない。


貴方は、どんな事をしてでもあたしを止めようとしてくれないの?


だんだんと意識が鈍ってきた。


すると、丁度

玄関のドアが開き、佐々山が入ってきた。

「アゼイリアさん?ちょっと忘れ物が、ーーーーアゼイリア!!」


光が洗面台から溢れ、アゼイリアはその中で佇んでいる


「ササヤマ君、、、」

「アゼイリア!アゼイリア!!どうしたんだ!」

「ササヤマ君、、、あたし、」

「待っていろ!今いくから!」


余りの眩しさに目を潰される思いをしながら前へ駆け寄る。

なのに、たどり着けない、、、


「ササヤマ君、、、もういいよ。あたし、帰る。」

「アゼイリア!?」

ほんの僅か見えた彼女は、ポロポロと涙を流していた。


「・・・さよなら。」


「アゼイリア!!嫌だ!いくな!」


・・・そんないいうのなら、これは何?

こんなの、別れてしまう事を肯定している様なものだ、、、


「アゼイリア!!絶対に君をいかせない!」

必死で、手を伸ばしても、空気をつかむ様なものだった。


いかせない!アゼイリア!!

もうあの星へは!

やっぱり駄目なんだ、耐えられない!


アゼイリア!!君を、必ず迎えに行く!!

たとえ、君の星を破滅させても僕はもう一度君に会いに行く。

この身が滅びようとも、誰かを傷つけようとも・・・!


人道に反する事だってやってやる!!


僕は、声のあらん限り叫んだ。


「アゼイリア。待っていて。」








アゼイリアさんの過去編終了です。

今度は一気に話を進める予定なので、一回

番外編とかいれたいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ