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2・16 アゼイリアの想いビト

段々と喜代殿と横になっていると、

瞼が重くなって来る。


もう、寝てしまおうか、、、、


いや、まだ、もう少し、、もう少しだけ喜代殿と居る実感を味わいたい。


ああ、なんだか身体もろとも重いなあ。


どうしたんだろうか。。。喜代殿。喜代殿俺は、

なんだかおかしい。


なのに、、、、ねむ、い、、、


遂に瞼を閉じてしまった。。。

でも、明るいなあ。


ああ、そうか。あれは夕日だ。もうすぐ潮が来る。


早く、帰ろう喜代殿。。。


ローズが、姉貴になって、、、帰って来るから。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「それで、嬢ちゃん。ダンデはずっと目を覚まさないのか?」

すっかり人気のなくなったホテルの一室で、

喜代は涙目になりながらハイドにこの事を話していた。


「ゔん、、、な、なにが、何だかもう、良くわかん無くて・・・ずずっ

おでこさんならすぐ来てくれると思ったの、、、」

ふるふると黒目を揺らし、溢れた涙が畳に染み込んで行く。


「そっか。怖かったろ。頑張ったよ嬢ちゃんは、

よし、こっからは俺の仕事だ!しっかりこの荷物を運ばせて貰うぜ!」

そういい、喜代の頭を二回ほど撫でると、

ダンデを軽々肩に担ぎ上げた。


喜代は、おでこさんは意外と力持ちだと思ったが、


ハイド自身は、ダンデの身体の軽さに心底驚いていた。


・・・なんでこいつ、こんなに軽い?これは異常な軽さだ。。。

まさか呪いのせいとか言わないでくれよ・・・?

寧ろ呪いは解けている筈なのに。



胸騒ぎが止まらない。



城に戻ると、クレマティスやこ、怖いけどキャクタスも迎えてくれたし、

アゼイリアさん達も心配してくれていた。


ローズさんは、、、まだ帰ってない。


「喜代様ぁああ!!!!ずっごぐじんばいしまじたーーーッス!!!」

クレマティスなんかは、何時もの気だるい感じが消え失せて号泣してたし・・・


そして、あたしはダンデをローズさんのベッドを借りてそこに寝かせ

皆に事情を話した。

呪いについては、

あたしも少しうやむやな感じにしてしまった。

だって、人の暗い過去だし、絶対ダンデは嫌がるから。。。

ちょっと嘘ついちゃった。


「な、なるほどダンデ様には、そんな壮絶な過去が、、、」

クレマティスがよろっとよろけている。

「せ、拙者ダンデに呪われ王子なんて、言っちゃって、、、、ぐすん。」

キャクタスは自分を責める。

「・・・・ダンデの、髪は、、、イメチェンだと思っていたわ、、、」

何気にすごい事言っているアゼイリアさん。


「だって、まさかダンデ様がハゲの神になる運命を背負いになり、

それを妬んだ多くのフサフサ共に草の髪の毛になる育毛剤を飲まされたなんて!!」


遂に、クレマティスの目から少女漫画の様な涙が溢れた。


「そう、そうなの!!まさにリアル飲んで飲んで育毛剤。。。」

喜代は目一杯悲観にくれた顔をしたが、

内心したり顔であった。


しかし、ダンデの問題は片付いてない。

喜代の心に不安が入り込み、覆い潰そうとする。


そんな不安を余所に、

唯一、何故か事情を知るハイドは思った。


嬢ちゃんの頭を針で刺したら

無数のハゲ映像が噴き出るんだろうな、、、こう、プシャアアっと、、、


ふと、遠い目になりかけていたがドアのノック音でハッと我に帰り、

扉に視線を注ぐ。

シュルシュルと開いて行く扉の向こうに小柄な人影。


・・・暫く見惚れてたのは仕方ねえだろこれは、、、


そうぼやき滅多に変わらない顔色が仄かに赤らんだ。


ハイドの視線の向こうにには、

王子の自分を救ってくれ、この星で彼に仕事を与えてくれた恩人。


そして、王子の時からの親友。


ククア・ローズの面影が確かに残る、美女が立っていた。


時が止まるって、きっとこういう事だ。。。

ハイドさんもクレマティスもキャクタスもアゼイリアさん達も

みーんな、彼女を見て、固まっている。


ローズさん。ローズさん!ローズさん!!


そこにいるだけで安心が生まれる。我らが王女!

「ロー、ズさぁん!!!」

ぶわぶわと一気に涙が零れる。

おでこさんもそう、あたしの周りにはあたしをホッとさせてくれる人のばかりだ。。。


ローズさんは、くるりと皆を見回し。

ダンデに一直線に向かって行った。

「・・・・ダンデちゃん!髪が、、、」

「そうなの!!ダンデが、ホテルで寝てたら何時のまにか、こうで、

もうずっと起きなくて、う、うわあああああん!!!」


「キヨちゃん。泣くのを10秒でやめてダンデの手を握ってて、もう少し詳しく話して。

キャクタス!あなたは今すぐたくさんの料理を作りなさい!体力をつけておくのよ

クレマティス!貴方は大臣達にこの事を知らせて!

ハイド!研究所に連絡を!まだそこら辺にいるわ。

アゼイリア達は、キャクタスの手伝いをお願い!

全員。これは非常事態なの。すぐに始めてお願いします!!」


その言葉を引き金に、皆は一目散に去って行った。

・・・アゼイリアさんだけは、残ったままで。


「アゼイリアっお願い込み入った話をするの、部屋を出てくれない?」

シスルさんは真っ先にキャクタスとともに行ったのに、

なんで?


すると、アゼイリアさんが口を開いた

何かに責められるように、酷く青い顔をしながら。


「ダンデリオンが、目覚めない。そして、潮が満ちない。

私、これの原因がわかっているのかもしれない・・・!」


!!?


緊張が走る。


「それは?どうゆう事?アゼイリア。」


「もう少しでこの星に、あの人が来るの。それも、理解し難い方法で、」


「もったいつけないで教えなさい!」

ピリピリと振動する空気を物ともせず、

アゼイリアさんは何かに浮かされた様にロケットペンダントを取り出し

開いて言った



「あの人ったらあの人よ。喜代ちゃんと同じ異世界の人間。私の、、、唯一愛した

運命の人よ・・・・!。」


途端にアゼイリアさんは崩れ落ち、

ローズさんは、アゼイリアの側に駆け寄る


カランカランッと乾いた音と共に落ちたロケットペンダントを

あたしは拾い、

一目見た瞬間、落としてしまった。



「え・・・?なに、これ。どういう事、、、」

上の空で呟く喜代の声は酷く小さく、震えていた。



ペンダントの写真は微笑んでいる

その人は紛れもなく、







先生だった。








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