2・13魅惑の会議室
テロテロと長い赤い絨毯の敷いてある廊下を駆け巡り、
ゼイゼイ息を吐いて吸って、何キロかやつれて、
ようやくあたしは会議室に着いた。
長すぎだし、複雑過ぎるだろここ・・・
会議室の扉は重々しく、何時だったかダンデと二人で食事に行った部屋と感じが似ていた。
・・・そういや、結局夕飯あの時食べなかったなあ。。。
!!っといけないいけない!思い出に浸ってる場合じゃ無かった。
・・・でも、今大事な会議中なんだよね。ただ逢いたくなったから来たとか
あれ、あたし超KY!!!?
ズガアアアアアン!やばい!今更気づいちゃったよぉ!!?
どうする!?帰る!?いやいや待て今引き返してもとの庭にたどり着けるか心配だ!
うううん。。あ、待ってれば?それなら良いよね!
よし!
そう取り決め、重々しい扉に少しばかりの休憩と思い背を凭れた。
ふう。
向かいには磨き抜かれた十字型の格子に分けられた窓が点々と長い壁に取り付けられて居る。
青空がこれでもか!っつーぐらい透き通って、温かな昼の日差しを透している。
緑色の謎のゲル状の物が木を伝ってぼとりと落ちる。
そんな情景を見て居ると、何だか、とっても、
眠くなっちゃうよぉぉ。。。。
「ふ、ふわぁああぁあっ」
やっばいかなり瞼重い。
ま、いっかまだ会議中だ、し、、、むにゃむにゃ、、、、zzZZ
扉が勢いよく、蹴破られた。
「全く!何を考えとるんだ陛下は!!あのようなモノに自己決定権などあるはずが無いであろうが!!」
「甚だ愚かな化け物ですな。化け物は化け物らしく人間の役にたってれば良いものを。」
「同感ですな。」
ゾロゾロと出て来た大臣達は口汚くダンデリオンを罵る。
「しかし、城内の人間も半数が戦争行き反対とは驚きました。これからどうしていこうか。。。」
そっと中年の小太りな男はもう一人のガリガリに痩せたヒゲばかり長い偉そうな男に耳打ちする。
「・・・ふん!奴らには金でも与えておけば言うことを聞きそうな下流の人間ばかりだ。
放っておけ。ムギュ。・・・・ぎゃああ!!!」
驚くガリガリの足には何か柔らかいモノが踏まれていた。
「な、な、なんだこやつは!気色が悪い!」
「う、ううううっいきなり開けるなんて、反則、、、だ。」
蹴破られた衝撃で吹っ飛ばされた喜代は窓に激突したりしてボロボロになり、
しかも踏まれて
まさに踏んだり蹴ったりである。あ、順序が違うか。
でも、喜代さんはめげまっせん!!!
「ふんぬ!!」
気合いで立ち上がりしかと騒いでいた何人もの大臣達を睨み上げる。
瞬間。
喜代の心臓は大きなキュンッという音を立てた。
え、何故って?
ふはははははだって、だてだって!!!
全員頭部がバーコードなんだものぉぉぉーーーーー!!!!
敵ながら天晴れなハゲっぷり。
もうダメクラクラして来ちゃった。
すると、続いて出て来たダンデと目が合う。
ダンデ、喜代の赤面を見た瞬間大臣達を射殺す様に睨めつける。
ひいっとどよめく大臣達。
「おい喜代殿!何があった!?何故大臣なんかに赤面する!!」
嫉妬全開のダンデはガンガン喜代を揺すり、
問い詰める。
余りの揺さぶりに青を通り越して白くなった喜代は、
その意識を手放してしまった。。。
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ここは喜代殿の部屋。
只今、喜代殿は眠れる森の美女(ここ強調)
状態である。
そこで俺は延々とローズに説教を食らっていたが、ついさっき終わった。
もう外はうっすら暗くなって来た。
喜代殿が目覚めたら、話しておかなければならないことが沢山あった。
半数ほどメイドや従者の者が味方に着いてくれた事や、
諦めないで良かったと、ありがとうと、伝えたい。
・・・早く起きないかな。ちょっと揺さぶり過ぎたか?
くそう。確かに加減が効かなかった。
会議でストレスやら色々食らったし、やっと喜代殿に会えると思えば喜代殿はあんな男共に
現を抜かしているし、
・・・俺ってかなり情けないなぁ。。。。ハァ~ァ。
いや、でも喜代殿は、こんなんでも好いてくれているんだよな。
俺はそれを信じて、生きていいんだよな。
良いと喜代殿は言ってくれたんだよな。
「喜代殿。。。大好きだ。」
堪らず呟き、
そっと柔らかな黒髪の一束をとりキスを贈る。
それだけで俺は甘く心が締め付けられる
「ふむ、ちょっと、外の空気でも吸って来るか。喜代殿、また来る。」
外は海がもう満ちていて、ジャボジャボと膝まで浸かってしまう。
今日は随分と星が綺麗だ。色まで分かる。
どれくらい星を見ていただろうか、ふと気づけば海は腿まで上がっていた。
「うわっ早く戻ろう!」
そう言いくるりと身体を回すと、城の隣にある丘に人影が見えた。
・・・・?あれは、リア、姉さん?
キラキラと輝く金髪はやはりリア姉さんのものだ。
あんな所でいったい何を?
そうおもっていると、リア姉さんは両手を組み祈る様に額に付けた。
そこで俺は悟った。
ああ、そうかリア姉さんは毎日祈って居るんだ。
毎日、あのもう居ない恋人を思って。
リア姉さんは俺に慰めを求めたから、事情は一応聞いているが
まだよく分からない。
何故、俺に慰めを求めたのかすら分からないんだ。。。
聞いてはいけない気がするから、聞かないが
その恋人は何処の誰だったのであろう。。。。
大きなくしゃみが出た。
忌々しそうに俺はティッシュで拭うと、もうリア姉さんは見ずに城へ向かった。
まだ、何も解決はして居ない。
リア姉さんの事も大事だが、今は自分自身の事だ。
喜代殿、俺は、諦めないぞ。