1・17歓迎会その二
いらっしゃいませ
歓迎会が始まって、数時間。
歓迎会の会場のリビングは
シン、と静まりかえっていた。
ローズはすっと目を細め、
「ダンデチャン。これは王様命令よ。」
と喜代に背中をたダンデに命じる
「ダーンーデー。ねえってばー」するりとダンデの首に腕を巻きつける喜代。
「常識的に考えて、無いな。」腕組みをし、気難しい顔をするダンデ。
・・・己らこの空気どうしてくれる・・・
歓迎会の参加者全員が、疲れたようにため息をこぼした。
何故こんな事になったのか、、、
まず、このえーーーな空気になる数分前にもどって見よう。
「ほぅら!皆、そんな疲れた雰囲気になっちゃダメよん!?まだ始まってすらいないのに!
キャクタスちゃん、お料理を出して頂戴?クレマティスは食器類の準備。
ハイドは届けてくれた荷物の中から、クラッカーを持って来て。
ダンデちゃんは、、、お花を出してキヨちゃんを楽しませてあげて?」
最後の指示は絶対に適当だな。とダンデは思った。
しかし
テキパキとそれぞれに指示をだしていくローズに喜代はかなり関心していた。
うわあ!なんか、やっぱり王様なんだなあ!すごい的確。
惚れ惚れとローズを見ていると、ふと疑問が浮かぶ。
「ねえねえダンデ。なんでローズさんが王様辞めたいって言った時、
ダンデが王様になろうとしなかったの?それなら、跡継ぎだの嫁だの解決したのに。」
それを聞いて、ポンポンと白や黄色のチューリップを手から溢れさせていたダンデは
急に眉を顰めた。
「それは、、、俺が呪いを受けているからだ。、、コホン、喜代殿
この話はいずれこの星の歴史の授業でやろう。
今はするべきではない。せっかくの、歓迎会なのだから。」
そう言って、
ダンデはポンッと一段と大きな音をさせて鮮やかな色のハイビスカスを出し、
喜代の頭に差し込む。
「・・・綺麗だ。喜代殿がな?」
ふっと仮面の奥から優しい息が聞こえた。
な、、、!?キ、キレイとか、やめてよ!こしょばい!なんかめっちゃ身体がこちょばいぃぃ!!!
突如、うっひゃあと奇妙なダンス(喜代にとっては照れ隠しらしい)
を披露し出した喜代にダンデは狼狽えたが、
ふむ、となにか考えるように顎に手を当てたあと
ローズを呼んだ
「兄、、姉貴、ちょっと。」
「なあに?ダンデちゃん。」
「舞踏会でもやらないか?その、喜代殿はよく、突然踊り出すからきっと踊りが好きなのだろう。
どうせ踊るならうんと踊れる所がいいだろう? ほら、リア姉さんが来た時にでも。」
「きゃー!!いい!それグッドよん!?ありがとねダンデチャン!」
後に、ダンデはこの提案をした事を後悔する事になるのだが、まだ
この時は、ダンデリオンはよく理解していなかった。
「陛下ー。準備okッスよ?」
ひょっこりと二人の間に入って来たクレマティス。
気付けば、ピカピカにテーブルクロスの上には光り輝く大皿と
鳥の丸焼きを始めとして、数々のご馳走が美味しそうに並んでいた。
「じゃあ、皆食べましょう?はい、いっただっきまーーす!!」
いただきます!!!
・・・ガイガイ、キャーキャー、カチャカチャ、ザワザワバクバクモグモグ、、、
様々な擬音を響かせ、パーティーはかなりの盛り上がりを見せていた。
そして、成人した者が多い事より、酒が混じっている。
酒の入ったローズやその他諸々共は段々と馬鹿騒ぎをしていく、ムンムンと酒臭さが漂い、
あちこちで奇声や笑い声が飛び交う中、
一番出来上がっていたローズは
椅子の上に立ち上がり、叫び出した。
「はい!こりぇかりゃ!おうしゃまゲームをはじめちゃいまーしゅ!!笑」
これが魔の時間の始まりであった。。。
この時まで、俺は酔っ払いは酔っ払い同士で楽しくやっているようで
良かったと油断してしまっていたのだが、、、
甘かった。
酔っ払いが楽しくクジを引き合っている中、喜代殿が酒の入った杯を手にとったのを
身損ねてしまったのはこれ以上無い失態であったと、思う。
「あ、ちょっとダンデちゃんもとりなしゃいよ!・・・はい、
おーしゃまだーれだ!?……キャーキャー!あたし!あたし王様!しゅごくにゃい!?」
王様ゲームでも王様になるとは、
全く、クジ運がいいやら悪いやら、、、
ダンデが苦笑していると、ローズが爆弾発言をした。
「んじゃーあ、2番が4番にチューってことで!」
な!?おいおい、いくらなんでもそれは冗談ですむレベルじゃないぞ?
ダンデの頭にノリという言葉は存在しない。
常に常識に反するか、沿っているか、で決定するのだ。
・・・しかし、喜代殿は何番なんだ?
もし当たっていたら、全力で阻止すればいいし、喜代殿も嫌がるだろうから
まあ、いい・・・・ん?
急に仮面に覆われた顔が空気にふれる感触がした。
そして、
頬を掴まれグリンッと後ろをむかされる。
「ダーンーデ!ダンデ!あたし4なの~!えへ~チューされちゃうよ~?」
・・・心臓があり得ない音をたて、暫く動いた気がしなかった。
え?え?ちょっと、、
喜代殿ぉぉぉ!!?出来てる!完・全にベロンベロンだ!!!!
何故だ何故だ何故だ!?
そしてなんだこの
超おいしい状況は!?頬に!頬に喜代殿の手がああああ!
これで二回目だ!!なんたる幸運!!!
しかし!ヤバイ鎮まれ俺の全煩悩!悟れ!心を無にしろ!
色んな思いが身体中を全力疾走している間、
喜代殿はヒョイと俺のクジを取る。
「・・・ああ!ダンデ2番じゃあん!!やったあ!じゃあ、ダンデ、
・・・・チュー。」
とろんと熱っぽく見つめられ
俺はこれ程までになんとも言い表しがたい気持ちになったのは
初めてである。
相手は酔っ払い、相手は酔っ払い、相手は酔っ払い!!!
迫り来る魔の手から全力で抜け出し、抱きしめてしまいそうになる腕を組み、
喜代殿に背を向けた。
・・・・そこで冒頭に戻るのであった。
「ダーンーデ!チュー!して!」
何故、せがむのだ!喜代殿!!
ダンデの苦悩は続くのでしたw
ありがとうございました。またのお越しを