-総集編-その3-
博麗霊夢
「五十一首目から七十五首目までの一覧ね」
◇五十一首目 伊吹萃香
萃めては 呑めや伊吹も 酒呑むさ
さては下戸かな 燃ゆる赤顔
◇五十二首目 きすめ
桶ゆゑに 落つるものとは 知りながら
なほおそろしき あの無重力
◇五十三首目 黒谷やまめ
地の果てで 糸を繰りつつ 歌ふ夜
いかに楽しき ものとかは知る
◇五十四首目 稗田阿求
忘れじの 行く末までは かたければ
今日のうちにぞ 記しておかむ
◇五十五首目 鍵山雛
人の厄は たえることなく うまれども
雛と流れて 私のもとへ
◇五十六首目 命蓮
あらざらむ この世のほかで 思ふのは
いまも優しき 姉のことかな
◇五十七首目 八雲紫
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
スキマに入りし 罪袋かな
◇五十八首目 橙
マヨヒガや 迷ふ竹原 猫見れば
昔の友を 忘れやはする
◇五十九首目 れみりあ・すかーれっと
霧満ちて 館の夜に 永遠に
紅い幼き 月を見しかな
◇六十首目 星熊勇儀
旧都より いく長道の 遠ければ
はや酒欲す 博麗神社
◇六十一首目 りりーほわいと
いにしへの 都も里も 八重桜
私は告げて にほひぬるかな
◇六十二首目 比那名居天子
暇つぶし 天のつるぎで はかるとも
スキマ妖怪 紫許さず
◇六十三首目 詠み人知らず
今はただ 無事でいるてふ とばかりを
人づてならで 言ふよしもがな
◇六十四首目 小悪魔
朝ぼらけ 湖の霧 たえだえに
あらはれわたる 紅魔館かな
◇六十五首目 ふらんどーる・すかーれっと
狂気おび 乾かぬ血だに あるものを
牢に囚はるる 身こそ惜しけれ
◇六十六首目 八意永琳
もろともに あはれと思ふか 夜半の月
姫よりほかに しる人もなし
◇六十七首目 れいら・ぷりずむりばー
ひとり夜 ゆめばかりなる にぎやかさ
廃洋館の 名こそ惜しけれ
◇六十八首目 蓬莱山輝夜
薬のみ 永久にこの世に ながらへば
かたちかはらぬ 夜半の月かな
◇六十九首目 四季映姫・やまざなどぅ
罪裁く 閻魔庁から 眺むるは
三途の川の サボリなりけり
◇七十首目 博麗霊夢
ふとひとり 神社たちいでて ながむれば
いづこもおなじ 秋の夕暮れ
◇七十一首目 るなさ・ぷりずむりばー
夕されば うさぎの因幡 おとづれて
私のやる気 風吹きて散る
◇七十二首目 めるらん・ぷりずむりばー
音さへも たかしと言われ わたくしは
トランペットを 今日も吹きつつ
◇七十三首目 詠み幽霊知らず
冥界の 千本桜 咲きにけり
白玉楼の あやかしまでも
◇七十四首目 霊烏路空
憂かりける 人にかまわぬ 山の炉よ
はげしかれとは 祈らぬものを
◇七十五首目 犬走椛
曲者を 払えとの指示を いのちにて
もみぢ見回る このいぬばしり
博麗霊夢
「さて、ようやく七十五首目まで来たわね」
霧雨魔理沙
「四分の三か~終わりも近いな」
博麗霊夢
「改めて感想をどうぞ」
霧雨魔理沙
「あっさりと霊夢が歌を詠んでたのが気に食わねえ。裏切られた気分だぜ」
射命丸文
「人々の予想では『トリは魔理沙さんがつとめるのではないか』との声も多く寄せられていますね」
博麗霊夢
「らしいわね」
霧雨魔理沙
「……本当にイヤなんだけど。ハードル上げすぎだろ」
八雲紫
「その期待を裏切れないのがあなたのいいところよ、魔理沙」
霧雨魔理沙
「私そんな一面持ってた記憶ないんだけど」
伊吹萃香
「魔理沙……ガンバ」
霧雨魔理沙
「こいつらみんなもう歌詠んでるから、私は何も言えないのが一番腹が立つ」
霊夢&紫&文&萃香
「「これからも『東方百人一首』をよろしくお願いします!」」
霧雨魔理沙
「はぁ……」
霧雨魔理沙
「ところで霊夢」
博麗霊夢
「どうした魔理沙」
八雲紫
「ホントなんなのそれ」
射命丸文
「作者が妙に気に入ってるみたいですね」
博麗霊夢
「で、なんなの魔理沙?」
霧雨魔理沙
「前回の総集編やった時のことを思い出せ」
博麗霊夢
「っ!まさか……」
霧雨魔理沙
「もしかすると」
博麗霊夢
「もしかしたら」
伊吹萃香
「もしかするかも……」
八雲紫
「はい正解。もしかするわよ」
射命丸文
「そういえば境内にプリズムリバー楽団の皆さんがいましたね」
霧雨魔理沙
「もしかしちまった……」
八雲紫
「さあ外に出ましょうね♪」