七十三首目 詠み幽霊知らず
詠み幽霊知らず
冥界の 千本桜 咲きにけり
白玉楼の あやかしまでも
~意味~
今年も春が来ましたね。冥界の桜は今が盛り、毎年見事な咲きっぷりです。あれ?あそこに咲いているのは西行妖……?
霧雨魔理沙
「幽霊って……」
博麗霊夢
「あの冥界にいるやつよ」
霧雨魔理沙
「白い塊の状態でどうやって詠んだんだ?」
博麗霊夢
「詠み手が妖夢の半霊に伝えて、妖夢がそれを聞いて色紙に書いたそうよ」
霧雨魔理沙
「へえー」
博麗霊夢
「西行妖が咲いてるってことは、異変の時に詠んだ歌ね」
霧雨魔理沙
「春度を集めたせいで冬が開けなかった時か」
博麗霊夢
「結局西行妖は満開にはいたらなかったのよね」
霧雨魔理沙
「懐かしいな」
博麗霊夢
「そこで!」
霧雨魔理沙
「は?」
博麗霊夢
「懐かしの名作、『花咲か爺さん』をやるわ」
霧雨魔理沙
「また?」
博麗霊夢
「前回はあなたが参加しなかったから変な終わり方になったからね、リベンジよ」
霧雨魔理沙
「わかったぜ」
博麗霊夢
「昔々あるところに八雲紫と西行寺幽々子がいました」
霧雨魔理沙
「紫は狐を飼っていました」
博麗霊夢
「その狐は猫を飼っていました」
霧雨魔理沙
「猫の名前は『白』ではなく『橙』」
博麗霊夢
「橙が『ここ掘れニャンニャン』と言うので藍は『ちぇぇぇぇぇん!』と掘りました」
霧雨魔理沙
「そこには大判小判がざっくざく」
博麗霊夢
「紫と幽々子はお金持ちになりました」
霧雨魔理沙
「それをみていた貧乏巫女は三人の留守を見計らって橙を連れ出しましたが掘っても出てくるのはゴミばかり」
博麗霊夢
「仕方なくそのゴミ-灰でした-を持ち帰った巫女は神社の木に灰を撒きました」
霧雨魔理沙
「するとあら不思議。神社の木々は満開の桜の花を付けたのです」
博麗霊夢
「それをみていた幽々子は『うちの桜の木に撒くの』と灰を高値で買い取りました。巫女の懐に春が来ました」
霧雨魔理沙
「めでたしめでたし」
博麗霊夢
「まだ終わらないわよ?」
霧雨魔理沙
「長さは充分だぞ」
博麗霊夢
「じゃ続きはまたいつか」
霧雨魔理沙
「やるのか……」
博麗霊夢
「お楽しみに♪」
前中納言匡房
高砂の をのへの桜 咲きにけり
外山のかすみ たたずもあらなむ