五十四首目 稗田阿求
稗田阿求
忘れじの 行く末までは かたければ
今日のうちにぞ 記しておかむ
~意味~
「忘れまい」と思ったところで、人はどんどんわすれていくもの。将来覚えているかはわからないのだから、今日のうちに記録しておくのです。
幻想郷縁起のために。
霧雨魔理沙
「阿求は仕事熱心だな」
博麗霊夢
「九代目だっけ?責任感が強いのね」
霧雨魔理沙
「それに比べて代々続く博麗の巫女さんは…」
博麗霊夢
「それはそれ、これはこれ」
霧雨魔理沙
「弁解できてないぞ」
博麗霊夢
「修行とか面倒じゃない」
霧雨魔理沙
「それ言ったらお前、おしまいじゃねえか」
博麗霊夢
「でも私もちゃんと仕事してるわよ」
霧雨魔理沙
「ほう?例えば?」
博麗霊夢
「境内の掃除」
霧雨魔理沙
「……」
博麗霊夢
「毎日よ」
霧雨魔理沙
「……」
博麗霊夢
「ちょっとなんか言いなさいよ」
霧雨魔理沙
「それはどちらかというと『家事』に近くないか?」
博麗霊夢
「巫女として神社を綺麗に保つのは当然よ」
霧雨魔理沙
「あぁ、当然だよ。誇らしげに言うほどのことじゃねえよ」
博麗霊夢
「あとは…お賽銭箱のチェックとか?」
霧雨魔理沙
「それしょっちゅうやってるよな。というかそれしかやってないよな」
博麗霊夢
「まあ、こんなところね」
霧雨魔理沙
「だからそれ胸張って言うことじゃないから」
博麗霊夢
「他に何をしろと?」
霧雨魔理沙
「修行しろよ」
博麗霊夢
「分かったわよ。明日から本気出す」
霧雨魔理沙
「阿求を見習え。今日のうちにやれ」
博麗霊夢
「え~」
霧雨魔理沙
「え~、じゃない!」
博麗霊夢
「ま、とりあえず次の歌に行きましょう」
霧雨魔理沙
「ちょ、ごまかすな!」
儀同三司母
忘れじの 行く末までは かたければ
今日をかぎりの いのちともがな