百首目 霧雨魔理沙
ついに百首達成!
感想をくださった方々、ありがとうございます!
八雲紫
「さてさて、皆さんお待たせしました!」
博麗霊夢
「ついに百首目、霧雨魔理沙の短歌でございます」
アリス・マーガトロイド
「……ワクワク」
霧雨魔理沙
「なんなんだよお前ら! とりあえずこれが私の歌だぜ」
八雲紫
「どれどれ……」
霧雨魔理沙
百戦 敵の撃破を しのぶにも
なほだんまくは 火力なりけり
~意味~
今までに敵と戦った数はきっと三桁に達しているだろう。そのうちのどれひとつを思い返しても、実感するのは『弾幕は火力だぜ!!』
博麗霊夢
「……まあまあ、ね」
八雲紫
「……そうね」
霧雨魔理沙
「逆に何を期待していたのか知りたいぜ」
博麗霊夢
「だってあんなに解説してたんだもの、二通りの意味を持った掛詞の歌とか詠みそうじゃない」
八雲紫
「そうそう、これみたいな」
『からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ』
霧雨魔理沙
「ってそれ在原業平の歌じゃねえか。そんな超絶技巧の歌詠めるか!」
アリス・マーガトロイド
「あれ? これも歌?」
博麗霊夢
「見せて見せて」
霧雨魔理沙
あの家が リリーホワイト 住むところ
魔法を使い 暖かな井戸
八雲紫
「なにこれ」
博麗霊夢
「『ももしきや~』とも関係ないし」
霧雨魔理沙
「ふざけて詠んだ歌なんだよ、それは」
アリス・マーガトロイド
「……ねえ魔理沙?」
霧雨魔理沙
「な、なんだぜ?」
アリス・マーガトロイド
「この歌……結構時間かかったんじゃない?」
霧雨魔理沙
「げ」
博麗霊夢
「え? なんかあるの?」
八雲紫
「教えなさいよ」
アリス・マーガトロイド
「私からはちょっと……」
博麗霊夢
「じゃ魔理沙」
霧雨魔理沙
「とりあえずひらがなにしたら分かりやすいかもな」
八雲紫
「ひらがな?」
霧雨魔理沙
「こんな感じに」
あ の い へ が
りりーほわいと
す む と こ ろ
まほうをつかい
あたたかないど
博麗霊夢
「……で?」
アリス・マーガトロイド
「それぞれの句の最初の文字、最後の文字を繋げるの」
八雲紫
「あ、り、す、ま、あ、が、と、ろ、い、ど……なるほどね」
博麗霊夢
「なんでアリス?」
霧雨魔理沙
「さっきの在原業平の歌って、『折句』の歌なんだよな」
八雲紫
「折句?」
霧雨魔理沙
「頭の文字を繋げると杜若になるんだ。で、私もやってみたいなと思って詠んだのがコレなんだぜ」
アリス・マーガトロイド
「だから、なんで私なのよ」
霧雨魔理沙
「パッと思いついて、10文字だったから」
アリス・マーガトロイド
「もう……驚かさないでよ」
八雲紫
「それじゃケーキをいただきましょうか」
順徳院
ももしきや ふるき軒端の しのぶにも
なほあまりある 昔なりけり
~今回の豆知識~読み飛ばしてもいいよ!~
在原業平さんは伊勢物語の主人公と言われた、とんでもないイケメンです。
そして紫が言っていた『杜若』の歌、これに漢字を当てはめると……
韓衣 着つつ慣れにし 褄しあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
韓衣 来つつ馴れにし 妻しあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
上は長旅の間ずっと着てきた服について、
下は京に残してきた愛しい妻について詠んでいる、まさに超絶技巧の歌なのです。
しかもこの歌、旅の途中に道端の杜若を見た連れの人が在原業平に振ったもの。
「『かきつばた』の五文字を頭に据えて、旅の心を詠め」
無茶ぶりにも思えるこの振りに対して在原業平はすぐに「からころも~」の歌を返したと言います。
さすがイケメン。なエピソードでした~