九十九首目 ありす・まーがとろいど
ありす・まーがとろいど
人をもし 人に似るほど 遠ざかる
森の中いへに 物作る身は
~意味~
人の形を模し、人に近づけていくほどに、ますます人間ばなれしていくような気がするのです。森の中の家で作っている人形も、そして私自身も。
霧雨魔理沙
「そういえばアリスまだ出てなかったな」
博麗霊夢
「ご近所さんみたいなものなのに、忘れてたの?」
霧雨魔理沙
「こういうのって出てきたらわかるけど、まだ出てない人は気付くのが難しいだろ?」
博麗霊夢
「まあそういうこともあるかしらね」
霧雨魔理沙
「58436721」
博麗霊夢
「何、いきなり」
霧雨魔理沙
「今言わなかった数字は?」
博麗霊夢
「9」
霧雨魔理沙
「即答……」
博麗霊夢
「何がしたかったのよ」
霧雨魔理沙
「今のみたいな問題は答えが分かりにくいだろって話だったのにお前、簡単に答えちゃうから……」
博麗霊夢
「悪かったわね」
霧雨魔理沙
「ところで霊夢」
博麗霊夢
「どうした魔理沙」
霧雨魔理沙
「このお茶美味いな」
博麗霊夢
「紫がくれた、玉露よ」
霧雨魔理沙
「紫もいい所あるな」
八雲紫
「どうも有り難う」
霧雨魔理沙
「また出てきた」
博麗霊夢
「一回流れ断ち切るわよ」
アリス・マーガトロイド
「こんにちは」
博麗霊夢
「あら」
霧雨魔理沙
「アリスじゃねえか、珍しいな」
アリス・マーガトロイド
「ちょっと紫さんに呼ばれてね」
霧雨魔理沙
「またなんか企んでるのか?」
八雲紫
「さあ……? それよりあなた、何持って来たのかしら?」
アリス・マーガトロイド
「人里でミニケーキを買って来たのよ」
八雲紫
「あら美味しそう」
博麗霊夢
「じゃあ紅茶淹れてくるわね」
霧雨魔理沙
「いってらっしゃい」
八雲紫
「私も手伝おうかしらね」
霧雨魔理沙
「さて、本人も来たところで歌について話そうか」
アリス・マーガトロイド
「ああ、これまだやってたの」
霧雨魔理沙
「詠んで出すだけだもんな、気楽なもんだぜ」
アリス・マーガトロイド
「なんか言った?」
霧雨魔理沙
「いやなにも。歌について何か話すことある?」
アリス・マーガトロイド
「人形を研究する魔法使いとして、究極の目標って何かわかる?」
霧雨魔理沙
「それが『人をもし』ってことか」
アリス・マーガトロイド
「そういうこと。人間と全く同じものが、この研究の一つの終着点なのよ」
霧雨魔理沙
「なるほど」
アリス・マーガトロイド
「長年の研究の成果で、外見はほとんど完全な人間な人形を作れるようになったわ。でも、今はそれが逆に恐ろしいの」
霧雨魔理沙
「そういうものなのか。まあ、お前の研究が間違った方向に進んだ時は私たちが全力で止めてやるから安心しな」
アリス・マーガトロイド
「どういう励まし方よ」
八雲紫
「はいはい、お茶が入りましたよ」
霧雨魔理沙
「よし、じゃあケーキ食べるか!」
後鳥羽院
人もをし 人もうらめし あぢきなく
世を思ふゆゑに 物思ふ身は
博麗霊夢
「はい、これが魔理沙のお茶よ」
霧雨魔理沙
「ありがと。なあ、一つ聞いていいか?」
博麗霊夢
「なに?」
霧雨魔理沙
「玉露のくだり要らなかったんじゃないか?」
博麗霊夢
「ここでオチをつける為に必要だったのよ」
霧雨魔理沙
「どういう話のまとめ方!?」
~オリキャラ短歌について~
一人の作家さんにつき一首なのか? という質問がありました。
そんなことはありません。同じ作家さんでも違うキャラクターであれば短歌を詠むことができます。
どんどん詠んでください!
そして次回!
ついに百首目、霧雨魔理沙!
果たして期待に応えることは出来るのか?
霧雨魔理沙
「これ以上ハードル上げないで欲しいぜ……」
八雲紫
「お楽しみにね♪」