龍と少女の夏休み。さよならは大空で
龍も少女の心温かくなる優しいお話。
いつかあなたと一緒に気持ちの良い風を感じながら空を飛びたい。わたしは大好きだよ!!みづき!!
わたしは夏休みにとんでもないものを見つけてしまう。それは小さなトカゲだと思ってしばらく家で様子を見たのだけど何か違うの。普通のトカゲじゃないみたい。
「小さいけど翼…。かっちょいい。」
わたしは扇風機に当たりながら、寝転がり、ゴロゴロしながらそのトカゲを見る。それをわたしはお父さんに見せる。
「おとーさん。見て。この子もう大人だよ。」
お父さんは驚いてわたしを見る。
「本当だね。三日前まで道端の石ころくらいの大きさだったのに今じゃこのリモコンと同じ大きさだ。そのうちにみいちゃんより大きくなるかもね。」
わたしの名前は三日月。お父さんにはみいちゃんと呼ばれている。お母さんはみっちゃんだけどね。
「わたしは12歳だよ。流石に小さな子供じゃないんだから。でももっと大きくなっちゃうの?」
お父さんが言う。
「さあね。もしかしたらお父さんより大きくなるかもしれないよ。名前はもう決まったの?」
「うん!名前はみづき!!!」
そして二日経ち、みづきはランドセルと同じ大きさとなる。そしてみづきは食事をより多く摂るようになる。
わたしはみづきに言う。
「随分と食べるね。みづき。」
三日月はみづきと一緒に遊んだ。みづきはフリスビーができるようになった。首の力をうまく使ってみづきへと投げる。
「みづき上手になったね。あともうその大きさだとトカゲじゃなくて龍みたいだな。」
だから父さんに見せた。
「たまげたなぁ。これじゃあ龍みたいだ。」
「お父さんそれさっきわたし言った。」
「だけど少し考えてみようよ。このペースならこの家より大きくなる可能性が高い。そうしたらウチで買うのは不可能だ。野生に慣らす訓練をしたほうがいいと思うな。それかこの龍を飼えるほどの飼い主を見つけるとか。元の場所へ返すにも返す場所がわからないしな。」
わたしは怒った。なぜ家族を捨てなければならないのか疑問に思ったからだ。
「なんで…。わたしはみづきが大好きだもん。絶対捨てないもん!」
お父さんはなだめる。
「と言ってもな。この狭い世界で暮らせるのもこの子が大きくなったらストレスだと思うぞ。」
わたしは言い返す。
「やだ!!絶対やだもん!!みづきと離れ離れになるのは!!!」
わたしは家出した。
お父さんは独り言を呟く。
「酷いこと言ってしまったかな。だけど、これからに必ず必要なことだよな。」
お母さんはお父さんを慰める。
「どうせあの子も晩御飯の前には帰ってくる。そう遠くには行かないだろうしね。」
わたしはお婆ちゃんの家に行った。
お婆ちゃんは父に電話をかけた。
「みーちゃんはこっちへおるから安心しいや。わたしらが面倒見たるから。」
「ありがとう母さん。」
お父さんは電話をきってお母さんに言う。
「みーちゃんお母さんの家に行っているらしい。」
わたしはみづきと一緒に昼寝した。そしてこんな夢を見た。わたしは手を広げて鳥のように、みづきと一緒に空を飛ぶ夢だった。壮大な草原と心地よいそよ風。そしてみづきがだんだんと大きくなるにつれて速度が変わっていき、いつのまにか遠くへ行ってしまった。
「おいていかないで。わたしを1人にしないで。みづき。」
そしてわたしは目が覚めた。
わたしははいまこの瞬間に悟った。
「わたしたちと一緒にいると、いずれみづきは自由に飛べなくなっちゃうんだな…。」
わたしはみづきを抱きしめて撫でた。
「重くなったね。でもいつか離れてもいつまでも大好きだよ。」
わたしは家に帰り、お父さんに謝った。
「ごめんお父さん。わたし考えが浅はかだったよ。私たちの世界じゃ…この子は自由に飛べない。龍は空を高くただ心地よく満足のいくままに飛ぶ生き物なんだ。私たちがいちゃ…そんなのできっこないもんね…。」
お父さんは言った。
「そうだね。みづきは自由に空を飛びたいだろうね。大きくなってみーちゃんの元へきっと会いにきてくれるよ。だけど離れるまではみんなで可愛がろうよ!」
そうして2週間の月日が経ち、みづきはお父さんの身長を超えた。
お父さんはびっくりした。
「本当に大きくなっちゃったね。お父さんびっくり。」
そしてわたしとお父さんは川の付近で遊んでいたら足が滑り、わたしは川へ落ちた。
そしてお父さんはわたしを助けるために川へ飛び込んだ。
「みーちゃん!!!」
だがわたしはお父さんに慌ててしがみついて、お父さんは上手く息継ぎができなくなった。
「みーちゃん…。おち…落ち着い…て!」
わたしは過呼吸になりながら必死にしがみついた。
「はっ…はっ…はっ…。」
そしてお父さんはなんとかコンクリートにしがみついたが、わたしはそのまま川に流れていってしまった。
お父さんは悲しみに明け暮れた。そしてみづきも帰ってこない。そしてお父さんに責任を感じさせないとわざと元気に振る舞うお母さん。
だけどわたしは生きていた。なんとか咄嗟に岩にしがみつくことができ、そこにみづきが助けにきてくれた。
「あれ。みづき…会いに来てくれたの。わたし、、、うれしいよ。」
わたしは気を失った。そして目が覚めると
わたしたちは知らない土地に来てしまった。
「ここどこ。お母さんと…お父さん。お母さん!!!お父さん!!!!うわああああああん!!!!うわああああああああん!!!!ひぐっ。どこにいるの。。。ひぐっ。」
そしてみづきに抱きついてひたすら泣いた。だけど、みづきは優しくて体を温めるように抱きしめてくれて、不思議と寂しさは自然と消えていった。
クマが出てもみづきが追っ払ってくれたり、魚を取ってくれたりして、植物にある程度の知識があったので、飢えもしなかった。
そして森の中でわたしは何度も挫けそうになった。諦めそうになった。でもわたしは1人ではなかった。みづきがいた。また来る日も来る日もみづきに乗って空から人を探す。だけど見当たらない。そんな生活が1週間続いた。
そして何度泣いたのかはわからないほど泣いた。だけど諦めなかった。みづきがいるから!!!
そして服がボロボロになり、髪がボサボサになりながらもやっとの思いで人を見つけた。
そしてわたしはみづきから降りて、やっとの思いで見つけた通行人に喋りかけた。
「あの!私は三日月と申します。春日部市はどこにありますか?」
通行人は驚いた。
「行方不明の子じゃないか!!親の電話番号わかるかい?」
その通行人からわたしはスマホを借りた。
プープー…。
そしてお父さんは電話に出た。
「もしもし…。」
その瞬間わたしは全ての我慢から解き放たれて泣き叫んだ。
「うわあああん!!!うわあああああああん!!!!お父さん!!!!」
お父さんは言葉を返す。
「みーちゃんか…。本当にみーちゃんなのか!!!」
お父さんも電話越しに泣き声が聞こえる。
「今どこだ!!!迎えに行ってやる!!!」
そしてわたしは通行人の人に聞く。
「ここはどこ?」
「さいたま市の居酒屋みさかやの前だよ。」
そしてわたしはお父さんに言った。
「らしいよ!」
そしてわたしは電話をきって通行人の人に返した。
そして振り返り、「やったね!みづき!!」と言うがそこには誰もいなかった。翼を広げる音もなく、どこかへ行ったとは考えずらかった。
そして1週間の月日が経ち、わたしはみづきの記憶がほとんどなくなった。父と母も同様にみづきの記憶をなくしていた。
だけどわたしはうっすらと覚えていた。空を飛んで一緒に見た景色、一緒に寝た思い出。ひたすら悩んだわたしの悩み。そしていつも何かに引っ掛かる。
そしてわたしの夏休みは終わりを迎えた。
わたしは13歳となり、授業を受けた。気がつけば涙が流れ落ちるなんてこともザラにあった。みんなが心配してくれる時も多くなり、それは申し訳なかった。
ある日。わたしは勉強が退屈でひたすら落書きをしていた。そうするとだんだんと無意識に龍の形になっていった。
「なにこれ…おもろー。」
そして落書きを書き進めていくと、わたしとお父さんとお母さんともう1人大きな龍の絵が描かれた。
そして毎日毎日落書きを描き続けているが、必ず龍は絵のどこかにいる。そして中学2年生の夏休みが始まる。そして今日の落書きは違った。龍はいない。ただひたすら青く塗りつぶされ、空模様のように落書きとは思えないほど美しかった。
「なんでかわからない。大切な。大切な誰かが迎えに来てくれた気がする!!」
そして急いで窓を開けて空を見てみると、落書きの中にいたあの龍が空を舞っていた。
そしてわたしはすべてを思い出す。
「大きくなったね。みづき…。」
毎年毎年夏休みの間だけわたしたちに会いにきてくれる。これはわたしと家族と龍の夏休みのお話…。
この後三日月の記憶は元に戻りました。
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