表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第1部 10人の覇王候補

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/20

第5話 この森は非常に危険地帯だという事が判明!?

「この国には俺しかいないからさ、何を使っても自由だよ。欲しい物があったら遠慮なく言ってね。俺のスキル【無限倉庫】は、倉庫の中で錬成みたいなこともできるんだ」

「そ、そんなことが……!」

「す、すごすぎますわ……!」


 驚きの声をあげたのは、昨日救った獣人の姉妹──ナナリーとチャナリー。

 ナナリーが姉、チャナリーが妹で、どちらも犬耳と尻尾を持つ獣人族の女性だった。


「でも、ここがどこの森なのか、よく分からないって言ってたよね?」

「はい……ですが、一つだけ確かなのは──この森、とんでもなく危険なのです」

「え? そうなの?」


 ダンは首を傾げる。

 彼にとっては、モンスター=無限倉庫で捕獲&解体対象でしかなかった。


「私達、A級冒険者クラスの実力を持っていますが、それでもこの森では常に命の危険がありました」

「先程の山賊たち、戦闘力で言えばSランク級に達していましたのに……100人が、20人まで減ったのです」

「マジか……」

「はい、ダン様がこれまで普通に歩き回っていたのが信じられません。普通のE級の人なら、即死ですわ」

「俺ってE級なの?」

「はい、私の【超級鑑定】によると、肉体的な強さはE級相当でした。ですが──」

「ですが?」

「取得しているスキルが……10個以上ありました。山賊たちが持っていたものが多く……無限倉庫に格納しただけで、習得されているようですわね」

「あー、そうなんだよね。さっき気づいた。人間だけだけど、無限倉庫でスキルが取れるみたい」

「モンスターからは……?」

「取得できなかったな。どれだけ捕まえても」

「どれくらいの数、格納されたのですか?」

「この辺一帯のモンスターが、全部逃げるくらいかな」

「…………!」


 2人は一瞬言葉を失う。

 モンスターたちは、ダンの存在を見ただけで怯え、泣き声を上げて逃げるようになっていた。

 捕まえて、格納され、解体されるという一方的な結末を見ていたのだろう。


「もしかしたら、スタンピードが起きているかもしれませんわ……」

「スタンピード?」

「モンスターたちが一斉にこの森を離れ、他の地域へと移動し始める現象です。もし起きていたら……周囲の国や村にとっては、大災害になりかねません」

「それって、俺……やばいことした?」

「……はい。でも、ダン様が生き残ってくださったのは本当に奇跡です」


 チャナリーの茶色い耳がぴくっと動き、ナナリーの白黒の尾がふさりと揺れる。

 危険な森を歩き、生き残り、しかも笑顔ですごしているダンに、2人は心から感謝していた。


「ダン様。この2人、ずっとダン様についていきます」

「えっ? いや、川を下って旅をしてたんじゃないの?」


 2人は、これまでの経緯を静かに語ってくれた。

 ジェラルド王国のバトルコロシアムに出場し、将として迎え入れてもらう予定だったこと。

 そのために旅をしていた途中で、山賊に捕まってしまったこと。


「でも、もう考えが変わりました。私達……ダン様の作る国の将になりたいのです」

「……チャナリー?」

「はい、姉さん。私も同じ気持ちです」

「そうか。ジェラルド王国か……もしかしたら、他の9人の異世界人の誰かが行ってるかもしれないな」

「他の9人……?」

「ああ、俺を含めて異世界から来た奴らが10人いてさ。元の世界に戻るには“覇王”にならなきゃいけないんだって」

「覇王、ですか……」

「でもなー、正直、もう戻りたいとも思ってなくてさ。この世界、けっこう好きなんだよね。特に……」


 そう言って、2人の尻尾をチラッと見る。


「獣人族、最高だよな……! あのもふもふ、神の造形だろ……!」


 真顔で言い切るダンに、姉妹は顔を真っ赤にして目を伏せた。


「……あ、そうだ。2人とも、服とか必要だよね? 俺が作るよ、倉庫の中に素材もいっぱいあるから!」

「えっ、ほんとうですか?」

「やったー!」


 ダンは無限倉庫の中で素材を選び、即座に“錬成”を開始。

 元山賊の装備をベースにしつつ、動きやすく、かつ可愛らしいスカート付きの軽装備を作り出す。

 黒の装備はナナリーに、茶色の装備はチャナリーに。

 尻尾が邪魔にならないよう、穴もしっかり空けてある。まさに完璧なカスタムメイドだった。


「すごい……すごいですわ、姉さん!」

「可愛らしいし、動きやすいですわね……!」


 喜ぶ2人を見て、ダンはふと思い立つ。


「なあ……ナナリー、チャナリー。俺に戦い方、教えてくれないか?」

「えっ?」

「まだまだ俺、弱いしさ。これから強くならなきゃ。だから、頼める?」


 その願いに、2人は嬉しそうにうなずいた。


「もちろんですわ、ダン様」

「では今日から、ダン様の修行が始まりますわね!」


 こうして、元・薬剤師の異世界人ダンの鍛錬の日々が始まった。

 最強(自称)国家の礎が、静かに築かれ始めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ