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無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第1部 10人の覇王候補

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第3話 素材集めから始めてみました

 ダン・ミデルは途方に暮れていた。

 目の前にあるのは、どこまでも広がる木々、木々、木々。地面には名前も知らない草や実、時折見かけるモンスターの死体。


 ――いや、死体って言っても、こっちが倒したわけじゃない。たまたま弱ってたやつが、向こうから転がり込んできただけだ。


 そんな状況の中で、ダンは《無限倉庫》のスキルだけを頼りに、ひたすらモノを詰め込んでいた。

 枝、葉、石ころ、木の実、モンスターの死体……。わけも分からず、片っ端から倉庫に放り込んでいく。


「鑑定スキルなんて便利なもんは、俺にはねえ。でも……」


 ――収納したモノの名前や詳細が、自動で脳内に表示される。

 つまり、無限倉庫に入れれば、それが何か分かるのだ。


「これ……実質、鑑定だよな?」


 枝を入れれば【バルバルの枝】。

 石を入れれば【重石岩】。

 モンスターの死骸なら【シャドウウルフの肉体(解体可能)】……と表示される。


 とりあえず、試しに最近出くわした狼っぽい魔物に、倉庫を具現化して投げてみた。


「……あ、ボール型になるのか、これ」


 軽く投げてみた。無限倉庫ボールはモンスターの顔面に直撃し、ポンッという音と共に、モンスターの姿が一瞬で掻き消える。

 次の瞬間――

 頭の中に浮かぶウィンドウ。


 =============

 【新規アイテム】

 ・シャドウウルフの肉体(解体可能)

 ・獣毛(Cランク素材)

 ・黒牙(Bランク素材)

 ・魔石(Fランク)

 =============


「……うわ。これ、生き物でも容赦なく収納できるのか」


 そして、素材単位で分解できる。解体が自動。こいつはもう、もはや武器だ。

 次に、目の前の木に投げてみる。

 ボールが命中し、木が一瞬で消滅。


 ============

 【新規アイテム】

 ・バルバルの木(解体可能)

 ・木材(100本)

 ============


「これ……無敵なんじゃね?」


 ダンの脳内で、ひとつの計画が立ち上がる。

 森の中で、ただ一人の開拓者

 情報はない。地図もない。周囲に人の気配もない。

 だが、モンスターも木も岩も、倉庫に投げ入れるだけで消えていく。そして、素材として得られる。


「だったらもう、全部片っ端から収納して、空っぽにしてやろうじゃねえか!」


 こうして、謎の森一掃計画が始まった。

 木を投げて消す。岩を投げて消す。

 モンスターは見つけ次第ボールを投げて消す。

 倉庫の中には、どんどん素材がたまっていく。

 数日もすると、見渡す限り木も魔物もなくなった。ただの広大な“更地”が広がっていた。


 ――だが、ここで終わりではない。

 錬成開始。そして、建国へ。


「これって……素材を組み合わせて、倉庫内で加工できる?」


 ダンは倉庫内に意識を向ける。素材を自由に配置、組み合わせ、形を変えられる――まるで3Dモデリングのように。

 そして完成した木造一軒家。


「おー、出せた!」


 現実世界にそのままポンッと吐き出すように設置できた。しっかりした屋根、窓、扉。完全に住めるクオリティ。


「これ……街作れるな」


 そこからダンの《建国》が始まった。

 木材、石材、金属素材。

 錬成、配置、再構築。

 そして一ヶ月後。

 そこには――

 ファンタジー風の街並みが完成していた。

 城。

 市場。

 武器屋、防具屋、宿屋(自作)、魔法研究所もどき

 ついでに王城の天守閣も。

 すべてに住人はゼロ。だれーもいない都市国家が完成した。

 静寂の城壁に、足音が鳴る

 ダンはバルコニーから空を眺めていた。


「さすがに……一人は、寂しいな」


 森を片っ端から削り、モンスターをすべて消し去り、建物を作りまくった結果。やることが、ない。

 ふと、遠くに人の気配。

 誰か来た? まさか……!

 希望を抱いて城門まで走る。だが、そこにいたのは――


「うわ、山賊っぽいのが二十人くらい……女の子連れてるし……首輪? え、奴隷?」


 ダンは城壁の上から、眉をひそめる。


「……めんどくさいのが来たなぁ」



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