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無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第2部 十人十色

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第25話 全ての情報を操る情報王

「arflood1332キーコード、機械王を発動する」


その言葉を口にしたのは、情報屋タリスマン・ガルフォード。

彼の声に応じて、海上を移動する知識都市バルルボッサが内部構造を変化させる。特に、都市の中心にある巨大図書館が、情報収集のための形態へと変形を始めた。


世界中に散らばる機械族――虫、鳥、獣の姿をした彼らは、自然に溶け込みながら生活している。しかし、彼らの視界に映るすべては、都市バルルボッサの内部カメラに記録され、タリスマンの元へと集約される。


「壮観だな……駒を動かすには、まず盤面を把握しないとな」


図書館のホールにて、タリスマンは一人椅子に腰掛け、周囲を見渡す。壁一面に並ぶ本棚は変形し、1331個のモニターへと変貌していた。


彼はイヤホンを装着し、1331通りの言語を同時に理解するスキルを起動。世界各地の情報が、音と映像で脳に流れ込む。人々の営み、誕生と死、異世界人の動向――そのすべてを、彼は整理していく。


そして、ある無人島に目を留める。そこには異世界人、アルマード・ナナガミがいた。彼は召喚術を操り、アーサー王、不滅の女神、破壊王信長、剣豪武蔵、占星卑弥呼、方舟ノア、聖女ジャンヌを呼び出していた。


「ふむ……魂の転写か。肉体は別人、だが名前と魂は一致している。面白い」


さらに、島に眠る古代遺跡が魔王城の起動装置であることを突き止める。魔王は海の崖の下に眠っている。タリスマンの目的は、その魔王を迎え入れ、最強の駒として手に入れることだった。


「魔王を配下にし、魔王城を確保。あとはアルマードとの一戦か……」


その時、都市の核である機械王が反応を示す。コードによる反抗の意思を示すが、タリスマンは冷静に受け流す。


「年上だから尊重しろ? 僕は60歳だぞ。負けたくせに文句を言うな」


機械王の意思が沈黙する。彼は宇宙から来た異世界人であり、この都市の中枢でもある。


「では、arflood1332キーコードをさらに発動。都市バルルボッサ、高速移動モードへ。目指すは海の崖の向こう、魔王が眠るモンスターの世界だ」


都市が唸りを上げ、変形を始める。モニターの一つに映るその姿は、まるで巨大なオオカミのようだった。


タリスマンのスキル「情報屋」は、あらゆる情報を操る力。都市バルルボッサはその力の依り代であり、彼の知識の拠点だった。


【警告:向かう先はマップに記載されていません】

「構わん、行くぞ」

【警告解除:進行開始】


都市が海の崖を越え、未知の領域へと突入する。モニターが一斉に暗転し、次に映し出されたのは、巨大なドラゴンの姿だった。

そのドラゴンは、都市と同等のサイズを誇り、のっそりと横を通り過ぎる。


「まじか……」


タリスマンが呟く。ドラゴンは欠伸をしながら、都市の中にいる人間の存在に気づく。


「ほう、人間か? その機械の中におるようじゃな」


タリスマンはモニターをジャックし、スピーカーから声を発する。


「僕はタリスマン・ガルフォード。異世界人だ。魔王を迎えに来た」

「そうか、それは嬉しいが……魔王は人間不信でな。根暗でコミュ障じゃ」

「それでも話を通してほしい」

「良いが、お前死ぬぞ」

「どういう意味だ?」

「お前の足元に魔王がいるからだ」


次の瞬間、都市に警告が鳴り響く。


【警告:足元に強大なエネルギー。防御シールド展開】


都市が振動し、タリスマンの体が浮き上がる。シールドが展開され、都市は破壊を免れたが、彼の体は衝撃に晒された。


【警告:侵入者、第一防御壁突破、第二防御壁突破、第三防御壁突破、メインルームへ侵入】


目の前に現れたのは、前髪で目を隠した猫背の男。背中には十数本の大剣を背負い、欠伸をしながら言う。


「ふゎああ……誰だよ、俺様の睡眠妨害した奴は。人間か? ちょーめんどうだ。今から死ねや」


タリスマンは絶体絶命の状況に陥る。しかし、脳が限界を突破し、情報処理が加速する。


「勇者の居場所を知っている」

「へぇ、あのクソ真面目な勇者か。人間だろ? 転生してるんだろうが、俺様は魔族だから寿命がねーんだよ。あいつ、俺のモンスターたちを奴隷にして闘技場で戦わせやがった。許せねーよな」


魔王は早口で怒りをぶちまけるが、タリスマンはすべてを理解する。


「現在、勇者はジェラルド王国で6歳。裏では王国転覆を企て、異世界人を担ぎ上げて影の教団を動かしている」


魔王は頭を押さえ、笑い出す。


「まーたバカなことしてんのかよ。さて、おっさん……いや爺か?」

「60歳だ。見た目は若いがな」

「なら、お前を相棒と呼ぶ。これからよろしくな。まずは魔王城を手に入れたい」

「異世界人の一人が起動装置を押すだろう。勝手に起動するさ」

「そうかい。じゃあ、師匠に挨拶してくるわ。あのドラゴンな、俺様のことを大事にしてくれたんだ。良い奴だろ?」

「確かに、あのドラゴンはでかいな」

「師匠はすげーぞ。ブレスで惑星を吹き飛ばすからな。挨拶が終わったら、魔王城が起動して、まずは奴隷帝国を吹き飛ばそうぜ。俺のモンスターを奴隷にしたあいつら、許せねーよ」

「それも良いだろう。じゃあ、相棒、行くぞ」

「おうよ」


魔王の瞳は銀色に輝き、狂気を孕んでいた。だが、次の瞬間、彼の姿は消えていた。

モニターに映るドラゴンが嗤う。


「かっはっは、気が向いたら人間の世界へ行こう。その時は、暴れてくれようぞ」


――いや、来なくていい。

タリスマンは心からそう願った。ドラゴンの名は《ヨルムンガンド》。神話に登場する、惑星を囲むほどの巨大な存在。

世界は、確実に動きだしている。






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