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無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第2部 十人十色

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第23話 影の眷族立ち上がれ

「我がマイロード、準備が出来上がりました」


開口一番、第一の配下――いや、勝手に「第一」と名乗っているソナタがそう告げた。


「いえ、勝手にマイロードにしないでください。そして“準備が出来ました”とか言って、いきなり街を爆発させるのはやめてくださいね?」


苦笑混じりに返すが、相手は一歩も引かない。むしろ自信満々に胸を張っていた。

ソナタはまだ六歳。見た目は愛らしい少年なのに、やることはえげつない。今日もその小さな手で、いや正確には108人の配下を動かして、港の船という船を片っ端から爆破してきたらしい。


「ご安心ください、死傷者は一人もおりません。船だけを的確に吹き飛ばしました。……108人の配下の一人、鍛冶屋ガルフドでございます。彼は鍛冶を通じて爆弾製作にも精通しておりまして」

「……あなた、ただの鍛冶屋に何やらせてるんですか」

「影の支配者たるあなたが動かぬからです。あ、パパと話す時間だ。じゃあ行ってきます。今日は108人の一人、国王を追放された元国王がお世話してくれます。あとはよろしく」

「ちょっと待って。うち、この国に謀反を起こそうとしてるのに、その国の王を配下にしてるってどういう……」


だがその突っ込みも空しく、ソナタは影のように姿を消した。

代わって現れたのは、立派な髭と王冠を戴いた老人だった。威厳を漂わせてはいるが、どこか気の抜けた雰囲気もある。


「10番目のビジャンでございます。我は国王ではありません。にっくき勇者を追放するために、この国を破壊してください」

「いや、あなた元国王でしょうが」

「影の支配者様――カナメル様。妻に見放され、娘に馬鹿にされるこの哀れな男を憐れんでください」

「……何やったんですか?」

「はい、酒場で女性たちと色々と……」

「“色々”って、具体的には?」

「あっ、時間だ。すまぬ、これから妻に謝罪するため、スキル付与済みの新作アクセサリーを大量に買わねば。あのリサイクルショップという店でな。長蛇の列なので、並んできます。では」

「あ、逃げたな」


ビジャンも消え、残されたカナメルはため息をついた。

今の彼女は、身体にぴったりと張り付く黒いスーツ――影の支配者専用装備を身にまとい、ジェラルド王国の地下深くにある拠点にいた。地上に出れば、すぐに「影の支配者様ー!」と配下たちが108人中ほとんど集まってきてしまう。


それはもう、後ろに長蛇の列を従えて歩く羽目になるので、うかつに外に出られない。


「はぁ……どうしたもんかな。元アイドルで、裏社会のボスで、今はそれが合体した職業をやってるわけでしょ。あの光の世界も悪どいことするわね」


頭をぽりぽり掻きながら、少し考える。


「まずは影の支配者としてのスキルを活用しないと。このスーツの能力もすごいけど、そればかり頼るのはねぇ……」


そう呟いたとき、カナメルの脳裏にアイデアが閃いた。


「よし、できた」


影の支配者としての固有スキル――それは108人の配下、すなわち“眷族”の視界を共有できる能力だった。カナメルはこれを【影の目】と命名する。

試しに、先ほど港を爆破してきた鍛冶屋ガルフドの視界に切り替えてみる。


「あ、この人……初めて会ったとき、すっごく面白い動きで歓迎してくれたドワーフ爺だ」


映像の中で、ガルフドは短い足で全力疾走していた。背中には爆弾満載の大きな袋。まるで花咲か爺さんが桜の木に灰をまくように、次々と爆弾を投げ放っていく。

港だけでは飽き足らず、周囲の建物にも狙いを定めている。しかし、その爆発で死傷者は出ない。なぜなら、周囲では他の眷族たちが走り回り、爆発の直前に住民を抱えて避難させているからだ。


「……この人たち、連携すごいな」


中には第二の眷族、カディの姿もあった。特殊スーツを着込み、仲間たちの身体能力を底上げしている。もちろん、ドワーフ爺ガルフドにも同じく超人スーツが装備されており、小さな黒い塊が縦横無尽に爆弾をばらまく光景は、シュールを通り越して芸術的ですらある。


「ぷっ……ふふっ……あはははは!」


カナメルは腹を抱えて笑った。地下拠点も、爆発の余波で時おり揺れる。天井の岩から小石がぱらぱら落ちてくるが、そんなことはどうでもよかった。


「うちも、なんかやりたいなぁ……」


だが影の支配者は今日も影のまま。地上に出れば、また行列を作る配下たちの先頭を歩く羽目になるのは目に見えている。

そのとき、【影の目】越しにガルフドの声が響いた。


『幸せをプレゼントじゃぞ!』

「……いや、それ爆弾投げる人が言っちゃダメなやつでしょ!」


カナメルはさらに爆笑し、地下にその笑い声がこだました。



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