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無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第2部 十人十色

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第17話 無限倉庫の可能性

 ダン・ミデルの日課。  ナナリーとチャナリーとの戦闘訓練は、もはや必要ない。  なぜなら、ダンの強さが彼女たちを遥かに凌駕しているからだ。


「無限倉庫の可能性について模索してみよう」


 今日、ナナリーとチャナリーは美味しいものを食べに出かけてしまった。  あのモフモフを撫でられないのは寂しいが、それはそれ。ダンにはやるべきことがある。

 商業都市バラガルドが滅んだ件については、自分の責任だとダンは自覚していた。

 無限倉庫でモンスターを乱獲した結果、生態系が崩れ、モンスターたちがバラガルドに流れ込んだ。結果、都市は滅んだ。


 その後、ナラフリードが率いる多種多様な種族が、無限倉庫の領域に移住してきた。  彼らは今、ギルドを作り、森で狩りをしたり、ダンジョンを探して各地を巡っている。


 ナラフリードによれば、ダンジョンは地下に埋まっていたり、突然現れたり、時には空から降ってくることもあるという。

 さて、ダンは無限倉庫で現状できることを整理してみることにした。


1. 丸いボール状や広範囲に展開して、あらゆる物を無限倉庫に収納可能。

2. 内部で解体することで、素材やスキル(人間の場合)を習得できる。

3. 素材を組み合わせて武器や建物などを生成できる(例:魔石×剣=魔剣)。


 大体こんな感じか、とダンはまとめつつ、ふと次の可能性に思い至る。


「俺自身が無限倉庫に入れるのか?」


 それは単なる好奇心だった。  ダンは巨大な箱状に形作った無限倉庫を中庭に出現させ、中に入ってみる。


「……入れた、のか?」


 生まれて初めて、ダンは自らの無限倉庫の内部へと足を踏み入れた。  そこは、素材やアイテムが宇宙空間のように漂う神秘的な空間だった。  ただただ歩き、意識を集中すると即座に倉庫からはじき出される。

 再び入ってみる。


「すげーな……」


 ただ入れただけ。だが、それだけでもダンは心から感動した。


「避難所としても使えるな、これは」


 次の実験を試みようと外に出たその時。


「あれ……無限倉庫の中に誰かいる?」


 確かに、何かの意識のようなものを感じる。  倉庫一覧を表示させると、そこには——。

==============

《INVENTORY:無限倉庫》

・ダン・ミデルの情報体

==============

「……俺の情報、格納されてる?」

 思わず絶句する。  情報体。それは、解体されたモンスターや人間の「構成情報」のこと。  よく考えてみれば、ダンがモンスターや山賊を解体して得たスキルや知識は、全てこの“情報体”から吸収していた。


 自分の情報が格納されているということは、自分自身の情報体が「倉庫の一部」になってしまったということだ。


「……じゃあ、試してみるか」


 ダンは、過去に解体したシャドウウルフの情報体を取り出してみた。  すると、空中に浮かぶ透明な光のような存在が現れる。


「おもしろ……」


 指先で触れてみると、その瞬間——情報が、流れ込んでくる。  シャドウウルフの生態、生きざま、狩り方、その誕生の理屈まで。


「なるほど……モンスターが発生する仕組みまでわかっちまった」



 情報体は、倉庫内に格納されている時は名前と簡単な属性しか分からない。  だが、こうして取り出して触れることで、詳細な知識を得ることができるらしい。


「……これ、他人にも渡せるんじゃね?」


 しかししばらく触れていると、情報体は消滅——正確には、ダンに吸収されてしまった。


「今の……ダンジョンの場所だったよな」


 シャドウウルフの記憶から得た情報には、かつて奴が巣くっていたダンジョンの所在地まで含まれていた。

 続いてダンは、自分自身の情報体を取り出すことにした。

 透明な、魂のようなもの。  触れると——自分の過去の記憶が、まるで走馬灯のように駆け巡る。


「……これは面白い」


 が、ここで予想外の事態が起きる。

 情報体が、独自の思考を持ち始めたのだ。

 吸収したはずのそれは、意志を持ち、再び無限倉庫の奥深くへと逃げ込んだ。


「……試しに、もう一度中に入ってみるか」


 再び無限倉庫に足を踏み入れる。  その中心部で待ち受けていたのは——

 もう一人の、自分。


「やぁ、俺。俺は“無限のダン”だ」

「意味が分からんが……そういうことらしいな」


 かくして、  ダンと“無限倉庫に宿ったもう一人のダンとの、奇妙な対話が始まった。


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