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無限倉庫と10人の異世界転移者~倉庫、通販、ガチャ、魔獣、癒し、影支配、武装、召喚、情報、翻訳の力で異世界を支配しろ!  作者: AKISIRO
第1部 10人の覇王候補

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第14話 移動知識都市バルルボッサ

 将棋とは、相手の次の一手を何手も先読みする事から始まる。

 かつて、師匠は言った。


「いいか、タリスマン、無数の手を用意するが、相手が出した手からさらに無数の枝別れる一手を想像するんじゃ、それは人生でも応用が効くからのう、人生もあらゆる手を想像して、その手を選ぶ、勝利という手を選ぶのじゃ」


 そんな師匠は病気になってでも将棋を打ち続けた。

 だが、病気は彼を苦しめ、師匠は将棋を握ったまま病院で死んでいた。


 タリスマン・ガルフォードは師匠と出会って、自分の人生を大きく変わったと感じていた。


「ここはどこなんだ?」


 大きな図書館だと思われる。

 だが、無数に階段がある。螺旋状のそれは随時移動している。

 しかも人はおらず、何か機械のような人型が歩いている。

 彼等はこちらを見ても、あまり気にせず。?という画面で文字を表した。


「すまない、ここはどこかね? 僕は異世界から来たようなんだが」


 現在タリスマンの恰好はどこからどう見ても学者のそれだった。

 眼鏡まで新しくなっている。


【ここは移動知識都市バルルボッサ、機械族が作った首都でございます。あなたの名前はタリスマン・ガルフォード、人間族、そして、スキル:賢者の知恵を持つもの、ようこそ、この都市で知識を蓄えてくだされ、我らは誰でも歓迎する、攻撃をしてこない限り排除はしない】


 まるでAIだと感じたが、機械族にも意思があるようだ。

 

「すまない、色々と助かる」


 機械族との意思疎通はテレビのような顔に現れる文字列だったりする。


 タリスマンはとりあえず椅子に座って、この移動都市の内部を見つめていた。


「本当に大量の本だな」


 そんな事を呟き、窓の外を見る。

 そこには大陸が広がっていた。

 無数にある大陸。

 海の上をこの都市は歩いているようだ。


 1冊の本が置かれた。

 それは先程の機械族だった。


【これがこの移動都市の仕組みだ、理解して欲しい。現在この都市には人間族は君だけだ】


「ああ、助かるよ」


 タリスマンはページを捲った瞬間。

 スキル:賢者の知恵が自動で発動した。


 1ページ捲っただけで、全ての内容を理解した。

 さらには過去の深堀、しまいには今後どうなっていくかという予測が100通り以上も並べ立てられる。


 それも眼の前に文字として出現する。

 あり得ない量の文字が流れていく中で、タリスマンは眼をしょぼしょぼさせる。


「これは凄い」


 文字は頭の中に流れてくる。


「ふむ、興味深い、機械族は遥か昔にどこぞの異世界人が作ったそうだな、この移動都市の核がその異世界人が眠っている場所らしいが、そこに到達するには果てしない冒険が必用だと、どういう事なのだろうか? おおお、そういう事か」


 情報がさらに流れてくる。

 リンク効果、それが賢者の知恵の力だった。


 題材の本があるとすると、その内容に繋がる本を勝手に検索しだす。

 国規模の範囲でその効果が及び、範囲内の本や資料から情報をすくいだす。

 その結果。この、移動都市の歴史と言う本からリンク効果が発生した。


 この移動都市に眠る本、その数だけでも100億冊はくだらないと認識する。

 リンク効果により、本から本へと情報が集められていく。


 恐ろしい量の文字が流れる。

 文字の数を認識するだけでも、1兆文字は越えるだろう。

 脳みそのキャパが潰れると思ったのだが、タリスマンは平然としている。

 彼はいわゆる、脳に障害を持っていた。


 普通の脳みそではなかったのだ。

 だからこそ、将棋で20年間上位を確保し続けた。

 子供の頃に岩に頭をぶつけて、脳みそを損傷した。

 それから、見た事象や物事を一瞬で記憶していくと言う事が出来るようになった。


 そして、その記憶の要領は無限となっている。


「ふーこの図書館にあるすべての本を理解した。物凄い量だ。この世界の仕組みもなんとなく理解出来たが、この世界は沢山の異世界と繋がる集中点という事か、地球の世界ともつながっていると、宇宙では繋がっていないとされているようだが、ふむ」


 脳裏に情報が巡る。


「さてと、僕の戦い方は得た知識で兵器を作る事か」


 脳内には未知なるSF的な技術が並んでいる。

 それはどこぞの異世界から来た人。

 それは今この移動都市の核となって眠り続けている。


 そいつが研究に研究を重ねた知識が今タリスマンに注がれている。


「キーコード【僕は機械王arflood1331】」


 タダ。そのキーコードを呟いた。

 プログラミングの事は理解していない。

 だが、機械王が残した記憶から全てを理解している。


 理解していなかったが理解している。それは矛盾かもしれないが。

 知識として得たという意味でそれを実証した事ではない。


 先程の機械族がやってくる。

 彼は突然、目の前に1冊の機械の本を置く。


「待っていました。機械王様」


 画面の文字で対話するのではなく、それは機械音声として流れた。


「この世界にいる機械族は全員あなたに忠誠を誓います」


「そうか、それなら早い、僕はこの世界で覇王になる必要がある。別に元の世界に戻りたいからではなく、これは将棋なのかもしれない、勝負には勝ってこそ意味がある。よって、お前達を将棋の駒としたい」


「もちろんでございます」


「今から、俺が作る工程を君達に情報コードとして送ろう、それから、兵器の製造を始めてくれ、コードはarflood1332だ先程はarflood1331だったのを作り替えた」


「御意でございます」


 arflood1331は機械王の認証コードだ。

 arflood1332は真機械王の認証コードなる。


 機械族はタリスマンが新しく作ったコードで作り替えられた。

 それは将棋としての戦い方、将棋の駒としての役割を得たという事であった。


 移動都市。SF的な兵器。機械族を統べる王。60歳の白髪のまざった将棋士。

 彼は今、今、知識そのもので勝負を仕掛けようと立ち上がる。




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