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イア;メメント モリ─宿世相対─  作者: 円野 燈
第5章 Verschwinden─裏表─

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38話 タイマン



 ペトロたちは、戦力を分断したことで苦戦を強いられていた。

 怪鳥を倒そうとしているペトロとシモンは、普通の攻撃では再生してしまうので、ハーツヴンデでの攻撃に切り替えた。


朽ちぬ一念(シュナイデン・)玉屑の闇(エントシュルス)!」

泡沫覆う惣闇(ホフノン・)星芒射す(リヒトシャイネン)!」


「‡ェ∈ッ!」怪鳥の胴体を抉ると、普通の攻撃の時とは違い再生はしない。


「効いた!」

「これならいけそうだね!」

(でも。なんだか胸騒ぎがする……)


 目の前の敵に集中したいが、ペトロは胸騒ぎを感じていた。棺の中のユダに何か起きている。信じて待つと誓ったが、意識が逸れて気持ちが途切れそうになる。


「なあ! この状況、いつまで続きそうだ? 誰かがシャックスを倒さねぇと、どうにもならないやつじゃないのかよ!」

(ヤコブの言う通りだ。状況打破のために、誰かがやらないと……)


 ヨハネとヤコブは、見えないながらも襲って来る悪魔の気配を察知して、懸命に広域攻撃を続けてくれているが、運動能力を奪われてるアンデレの状況を考えると、怪鳥を倒してもそのうち防壁が崩壊する恐れもある。

 その場合は自分たちで防御すればいいのだが、視覚と聴覚を補い合う戦法を取っている現状では、窮地に立たされる。

 打破する作戦を取らなければ、今度こそ使徒は負ける。

 ペトロとシモンは、怪鳥へのハーツヴンデでの攻撃を繰り返し、最後の一撃を食らわせる。


泡沫覆う惣闇(ホフノン・)星芒射す(リヒトシャイネン)!」

朽ちぬ一念(シュナイデン・)玉屑の闇(エントシュルス)!」


「‡∈εェ@ッ!」二羽の怪鳥はどうにか消滅し、防壁はひとまず守られた。

 すると、ペトロが次の手に出る。


「アンデレ! まだ大丈夫か?」

「生きてるから大丈夫!」

「いけそうみたいだな。お前はそのまま防御をしながら、ヨハネのフォローに回ってくれ!」

「どうする気だ、ペトロ?」


 再びアプリを介して、ペトロは作戦を伝える。


「オレがシャックスを倒すから、みんなはここを頼む」

「一人で!?」

「無茶だよペトロ!」

「多少は無茶になるかも。でも。現状を考えると、オレが動いた方がいい。ヤコブはバンデのシモンがいれば連携もできるし、ヨハネとはアンデレが組んだ方が安定して攻撃できる」

「お前の言ってることはわかるけど……」

「オレがシャックスを引き付けられれば、喚び出される悪魔も少なくなる。そうすれば戦況も変わる。とにかく、現状打破が最優先だ!」


 仲間たちの制止を無視して、ペトロはアンデレの防壁を飛び出した。


「ペトロ!」


 ペトロは〈誓志(アイド)〉を手に、襲い掛かって来る悪魔を蹴散らしながらシャックスに接近する。


「シャックス!」


 切り掛かると、シャックスの羽根を掠めた。


「同士を見捨て、捨て身に出たか」

「何言ってるかわかんないけど、愚かなんかじゃないからな!」


 もう一度切り掛かるが、なんと、シャックスの後ろに隠れ続けていたトマスが〈氷野疼獄ライデン・シュタングラツィオーン〉を手に阻止した。


「主」

矢張(やっぱ)り、来なきゃ良かったよぉ。シャックスが頑張ってくれるから、おれの出番なんて絶対に無いと思ってたのに」

「邪魔するな! お前のことなんか後回しにしたいんだよ!」

「折角、勇気出したのに酷いなぁ。おれを仲間外れにしないでよぉ。今迄(いままで)も散々、塵芥(ちりあくた)みたいに捨てられて来たのにさぁ……。だから、仲間に入れて()()()。隠れてるだけじゃ、使徒をやっつけられ()()()


 途中から突然、トマスの声音と口調、そして青い双眸が標的を定めた目付きに変わった。


(どうやら。(それがし)の主は、(ようや)く切り替えてくれたようだな)

「此れでも死徒の端くれだ。(たま)には、目ぇひん剥いた仲間の面を拝んでやっても良いよなぁ!」


 トマスは、刃の円盤〈氷野疼獄ライデン・シュタングラツィオーン〉を握り振るう。「くっ……!」ペトロは〈誓志(アイド)〉で受け止めようとするが、公園の方に吹っ飛ばされ茂みに突っ込んだ。


「おれと、楽しい楽しいタイマンやろうよ!」


 享楽的なキャラに変貌したトマスは、円盤の刃を両腕に装備し、ペトロに投げた。回転しながら向かって来る黒い刃を、ペトロは〈誓志(アイド)〉で弾く。


天の罰雷(ドンナー・ヒンメル)!」


 連続して投擲される刃の円盤を、身を翻してかわしながら攻撃を放つが、トマスは俊敏に雷を避けていく。


赫灼の浄泉(クヴェレ・ブレンデン)!」


 間を置かず放った光の泉も避けられる。が、攻撃をしつつ接近していたペトロは踏み出し、剣を振るう。


「はあっ!」

「甘いよ」


 トマスが人差し指を立てて横に振ると、さっき弾き飛ばした円盤の刃がブーメランのように戻り、ペトロの背中を斬り付けた。


「ぐっ……!」


 剣を振り下ろすも捉えられず、トマスは武器を手に飛び掛かって来る。ペトロは剣で刃を受け止める。


「お前の力はそんな物かぁ? もっと本気出してくれよぉ。でないと、楽しくならないだろぉ!?」


 刃を交える左右から別の円盤の刃が飛んで来て、ペトロは後退して回避する。


闇世への帰標(ベスターフン・ニヒツ)!」


 回避と同時に光線を放つも、円盤の刃が盾となりトマスに届かない。そのお返しとばかりに、ペトロの後方から別の刃が飛んで来て、二の腕と太腿をやられる。


「くぅっ!」

「やり返してくれよぉ。一緒に楽しもうぜぇ!」




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