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起動

ベッドに入り指定された通りにUSBを差し、ゴーグルをかぶって携帯をつなぐと、目の前のモニターにお知らせ事項が表示され、何かに同意しろと言うので、読みもせずに同意ボタンを押すと、瞬間めまいがするかのように視界が暗くなると、暗転直後に目の前に何かメッセージが浮いて、次の瞬間にはボタンを押すために目の前にあげた自分の手の質感が、光る網の線のようなものに変わっていた。ちゃんと曲げようと思えば曲がるし、腕も上がるし、膝を曲げてみるとちゃんと膝に頭も動く。ボタンを推す瞬間までは寝ているので重力が背中側にかかっていたのが、いきなり足元方向に地面が移った感じだ。


全身を動かしてストレッチングしてみると、本当の自分の体より全然柔らかくなっており、なんと膝に額がつく。もしやと思って前に向かって走って前方宙返りを打ってみると、頭から落下しておらずちゃんと1回転して足を止めるコントロールもできる。これはすごい。


小学生のころ、学校の走り高跳びのマットに向かって宙返りの練習をした経験がある自分としては、この空中で重力が移り変わってお尻から下に落ちていく時に後ろ足で踏ん張るこの感覚が、本当に事実そのものに思えてきた。すでに50代になった自分の重くて動かない体が、まるで10代の頃の様に動くので喜んでいろいろと動かしてみると、もともと自分が立っていた場所に何かボタンがついてるのが見えた。漫画の核兵器発射ボタンのような、箱に黄色の普通のボタンが空中に浮かんでいる。結構遠くまで来てしまったので相当遠いはずなのにしっかりピントが合っているのを見ると、視力も相当良いということだ。既に老眼になった自分の目ではこうはいかないのにと思いながら、どこかうれしい感じがした


ちょっとおかしいなと思いながら、ボタンまで歩いて戻ってそれを押してみると、ハンドルネームを入力してくださいと言うメッセージが上がってきた。何にしようかな?これはあれだ。変な名前にするとゲームが始まってから後悔するやつだ。せっかくだから戦国時代っぽいものにしたいと思い、豊後守と記入したらオーケーが出ているので他の人にとられてしまう前にこれを使うことにした。そしてオーケーを押すとチュートリアルが始まった。メニューの出し方、メニューのクリックのし方、メニューの消し方、すべてすごく当たり前な内容だ。けれども今までのゲームとは違い、とても新鮮だ。そして保有するゲームをメニューから探してみると、〇長の野望以外は一切買ってないので、1つしか選ぶことができない状態だ。


選択ボタンをクリックすると、早速セーブデータの登録に成功したメッセージが流れ、自分の姿をクリエイトする段階が始まった。シリーズ前作では自分のキャラの男女選択は自由だったはずなのに、さすがにVRMMOなので、男性ユーザが女性にできないようになっている。なので、男か女かよくわからない顔つきの1番若そうに見えるテンプレートを使ってクリエイトを始めた。目の形、髪の色や皮膚の質感以外にも、指の長さもある。

外見とは関係なしに年齢を選ぶこともできるが、なんと年齢はセーブデータに残っていた1番古いセーブファイルから今までの時間をゲーム内の年齢に使うことができた。そしてなんと能力値はその年齢に従って、セーブファイルの情報によって1年何ポイントとかの経験値が年数分加算されて振り分けられると言うシステムだ。なので、セーブファイルの評価による差がある程度あるとはいえ、第一弾を発売当初からやっていた私は、このゲームで得ることができる最大の経験値を持った状態でゲームを始めることができると言うことだった。

次にそれぞれの能力値についてだが、知力は高くなると物事についての情報をより詳細に知ることができる能力となっていた。そして政治の能力値が高いとNPCが自分の言葉をよく聞いてくれるとある。武力については、自分の攻撃が相手に与えるダメージの値となっており思ったよりも能力値の種類が少ない。そして次に適正になっているが、騎馬適正が高いと馬が言うことをよく聞く、弓兵特性が高いと、弓が打ちやすくなる、歩兵特性が高いと単純に力が強くなる。そして面白いのが水軍特性だ。水軍特性が高いと水に浮くと書いてある。これは何かすごいチートが期待できる。鉄砲特性も鉄砲の扱いが上手くなる。鉄砲を当てやすくなるなどと書いてあるが、騎馬と鉄砲の特性をSに上げて見ると、説明書きの欄に騎馬鉄砲を使えるようになると言う説明書きが追加に現れた。兵器も同じく兵器が使いやすくなるとしか説明がない。


なので結局知力全振りにして、騎馬鉄砲ができるように特性をSにチョイスすると、あとの残りは政治に全振りしてみた。それでもまだ余っているので、残りを武力に入れてみると、最終的に次のようなステータスに

なった。


知力100政治100武力58

騎馬S歩兵D弓兵D鉄砲S兵器D


次に勢力を選ぶ段階になると、大名クラス数百家からどこでも好きなところを選べるようだ。やはり1番やりやすいのは島津だから薩摩をチョイスしてみる。すると足元に転移魔方陣が現れ、薩摩の国の城門前に転移する。そして目の前の案内メッセージを見ると、どのランクでプレイするのかを選ぶようになっているので、迷わず大名をチェックするすると、再度転移魔方陣が現れ、評定の間に転移された。壇上には薩摩守護、島津貴久が座っている。私は最前列で島津貴久の正面に立っていた、周りに20人ぐらいのプレイヤーが座っている。寝転んでいる人もいるし、その姿勢を見ると、評定中にはとても見えないが、周囲のNPCは真剣そのものだ。後ろの方にはモロ戦国武将な人たちが床に頭をつけて平服している外、壇上両側の護衛の武者も、真剣そのものだ。


壇上を見ると、目の前に案内メッセージが現れる。


「現在当主島津貴久は家督を誰に継ぐのか評定で決めようとしております。この評定は本日16時をもって終了します。16時の時点に島津貴久の判定基準で最も能力値が高いと考えた人物に、家督は譲渡されます。」


了解のボタンをクリックすると、周りのプレイヤーの頭の上にハンドルネームが現れる。そしてすぐ隣にいる「ノブユキ」というハンドルネームの真っ赤な服装に赤い髪の毛のプレイヤーの、頭の上にあるハンドルネームの右側の虫眼鏡ボタンを見つめながらクリックをしてみると、武将紹介と能力値が表示された。


ノブユキ

称号 なし

武力70知力60政治60

騎馬D歩兵S弓兵D鉄砲D兵器D

掲載された紹介文がありません


ステータスを読んでいると、彼の視線がこちらの視線と重なり、いきなり嫌な顔をされた。赤のプレイヤーが視線を真ん中あたりに戻すと、いきなりふっと消えてしまった。

なるほど、多分これは「戻る」のボタン押して、他の大名家に行ったのであろう。私の能力値を見て、自分はここでは大名になれないと思ったのかもしれない。


島津貴久の方を見ながら右側に視線をずらすと詳細説明のボタンがあるので、それを選ぶと現在の待機者リストを見ることができた。能力値合計を基準で並んでおり、今のところ私がトップだ。5位より下とは結構な能力差があるが、2位から4位までのプレイヤーは能力値が結構高く、合計能力値の差が10ポイントもない。


時間が結構残っているので、せっかくだからと思い、他の大名家はどのような感じかなと見て回ることにした。1番人気の高い織田家には、私より能力値が高い人が5-6人いた。ひっきりなしにユーザーが出入りするが、1560年スタートなので、領地が1番広い三好も人気だ。後はドラマで定番の武田とか、上杉毛利伊達とかが人気だ。人気のないところまではは確認していないのでわからないけれど、十数件見て回ったところの中では、私の能力値はゲーム内で20番目位には高いということがわかった。最も高い能力値の5人と私の能力値差も、合計ポイントで3しか差がなかったので、自分がほぼサーバー内最強だろうと結構安心できた。

そろそろ時間なので島津に戻ると。、やはり私の能力値がトップだった。

戻ってみると、島津貴久の上の方にカウントダウンが出ていた。当主希望だったプレイヤーが最初のころは十数人いたけれども、最後に残ったのは最初の頃にトップファイブだった人だけだった。知力政治オールインの私が合計トップで、他の4人は全員武力が100だ。すごいのは右側にいるカタカナでケンシンと言うハンドルネームの人で、武勇が100で4特性全てSと言う強者がいる。後は島津貴久の判断基準が何なのかによって決定すると言うシステムなので、正直現状では誰になるのかがわからない。


顔を下げていた貴久が顔を上げながら声を上げる。

「皆のもの、これより評定を始める」


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